論語詳解463微子篇第十八(3)斉の景公孔子を待ちて

論語微子篇(3)要約:三十代半ばで斉に一時亡命した孔子先生。殿様の景公から、安めの待遇で雇ってやろうと言われます。先生はそれを断ったのかどうか。いずれにせよ景公は家臣の反対にあい、先生を雇うことを諦めたのでした。

論語:原文・白文・書き下し →項目を読み飛ばす

原文・白文

齊景公待孔子曰、「若季氏則吾不能。以季孟之閒待之。」曰、「吾老矣、不能用也。」孔子行。

書き下し

せい景公けいこう孔子こうしつにいはく、季氏きしごときは、すなはわれあたはず。季孟きまうあひだもつこれたむ。いはく、われり、もちゐることあたはざるなりと。孔子こうしりぬ。

論語:現代日本語訳 →項目を読み飛ばす

逐語訳

斉の景公が孔子を召し抱える待遇について言った。「季氏のようには、どうあっても私には出来ない。季氏と孟氏の間で待遇しよう。」(時を置いて)言った。「私は年老いた。用いることが出来ない。」孔子は去った。

意訳

孔子が斉にに一時亡命した三十六歳ごろのこと、斉の景公が孔子を召し抱えようとして言った。
景公「済まぬが、そちが魯で季孫氏から受けたような条件では雇えない。孟孫氏との間ぐらいの待遇でどうか。」

しか景公は、重臣の晏嬰の反対により、孔子の雇用を考え直した。
「済まぬがわしは歳を取った。家臣の反対を押し切ってまで雇うことは出来ぬ。」
孔子は斉を去った。

従来訳

斉の景公が、先師を採用するにつき、その待遇のことでいった。――
「季氏ほどに待遇してやることは、とても力に及ばないので、季氏と孟氏との間ぐらいのところにしたいと思う。」
 しかし、あとになって、またいった。
「自分も、もうこの老年になっては、孔子のような遠大な理想をもっている人を用いても仕方があるまい。」
 先師はそのことをもれ聞かれて、斉の国を去られた。

下村湖人『現代訳論語』

論語:語釈 →項目を読み飛ばす

齊(斉)景公

論語 景 金文 論語 公 金文
「景公」(金文)

論語では東方の大国・斉の君主。?-BC490。BC547、孔子5歳の年に即位し、BC490、孔子62歳の年に在位のまま没した。名君とは言いがたいが、賢臣である晏嬰アンエイの助けを得て大過なく斉を治めた。

BC522、孔子30歳の年、魯を訪問して孔子に政治を問うている(論語顔淵篇11)。BC517、孔子35歳の年、斉国に亡命した孔子を受け入れ、領地まで指定して召し抱えようとしたが、晏嬰の反対にあって取りやめた(『史記』孔子世家)。

論語 待 金文
(金文)

論語の本章では、ある待遇を整えて、人をもてなし、または雇うこと。「待遇」の「待」。

季氏

論語 季 金文 論語 氏 金文
(金文)

論語では、魯国門閥家老家筆頭の季孫氏のこと。孔子が季孫氏に仕えた記録は『史記』に見え、論語本章の話が史実であることを否定できる史料もない。

論語 孟 金文
(金文)

論語の本章では、魯国門閥家老家の一家、孟孫氏のこと。『史記』によると孔子より一世代上の当主・孟子が孔子を見込み、跡継ぎの孟子とその弟の南宮敬叔の教育を任せたという。ここから見られるように、元来は、孟孫氏と孔子の関係は良好だった。

論語:解説・付記

論語の本章の時間軸について、『史記』が記す所に従えば、孔子は魯公の昭公が国外逃亡するのに付き合うように、一時斉に亡命している。この時35歳と史記は言う。

BC 魯昭公 孔子 魯国 その他
517 25 35 内乱を避けて斉の高昭子のもとへ避難 宮殿に九官鳥が巣をかける。闘鶏が原因で家老同士が私闘、乗じた昭公は季氏を討伐するが、返り討たれて斉に逃亡、さらに晋に行き乾侯に住まう。叔孫昭子死去。 斉、魯の昭公に領地を与えようとする
516 26 36 斉で音楽を聴き、「三ヶ月肉の味を知らず」。斉の景公に仕官が内定するが、家老・晏嬰アンエイが反対して取りやめ

斉、魯を攻撃して鄆を取る。周王朝再統一。彗星現る

515 27 37 斉の家老に殺されかけ、魯に帰る。途中、帰国中の呉の公子・季札が行った葬礼を参観。この頃までに主要な弟子を取る。弟子の樊遅ハンチ生まれる

季平子、范献子に賄賂し晋は昭公の受入拒否(晋世家)

衛と宋、晋に魯君の受入要求。呉王・闔閭コウリョ即位

亡命の前年、孔子は孟孫氏の後押しで洛陽に留学して老子から礼を学んだことになっている。そのころ、孔子は季氏の倉庫番、牧場管理人として働いたと『史記』は言う。孔子が亡命した理由を白川静『孔子』は陽虎の実権掌握のゆえと言うが、年代が合わない。

『史記』によると陽虎の奪権は季氏の当主の代替わりに際してであり、すでに魯では定公が即位しその五年(BC50)、孔子47歳の時のことだった。

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