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論語語釈「モ」

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語釈 urlリンクミス

孟(モウ・8画)

孟 金文 孟 金文
父乙孟觚・殷代末期/番匊生壺・西周中期

初出:初出は殷代末期の金文

字形:「皿」”たらい”+「子」で、赤子が産湯を使っているさま。原義は”長子”。男児に限らない。

音:カールグレン上古音はmăŋ(去)。

用例:「漢語多功能字庫」によると、金文では原義に(孟姬甗・年代不明)、”始まりの”(蔡𥎦紐鐘・春秋末期)、”四季の第一月”(陳璋方壺・戦国)の意に用い、戦国の竹簡では地名に、印璽では氏族名に用いた。

”大きい”・”猛々しい”の語釈を『大漢和辞典』が載せる。論語の時代の「猛」măŋ(上)の置換候補。論語語釈「猛」を参照。

備考:孔子の生国・魯国の門閥家老家に三桓がおり、その一家・孟孫氏は、代々司空=法相兼建設相を家職として受け継いだ。その当主孟子は、きっかけは定かでないが、若き日の孔子の才能を見出し、自分の跡取り=孟子とその弟である南宮敬叔の教育を委ねた。

のちに当主となった孟懿子は、弟と共に孔子の洛陽留学を援助し、帰国後は孔子を政界に押し上げた。孔子の破天荒な出世は、孟孫家無しではありえない。

学研漢和大字典

会意。「子+皿(かぶせるさら、おおい)」で、おおいをおかして子どもが成長することを示す。季節のはじめ、兄弟の順番のはじめを孟というのは、勢いよく伸びる先端にあたるからである。萌(ホウ)(地面をおかして芽が伸びる)・猛(障害をおかしてつき進む)と同系。

意味〔一〕モウ/ミョウ

  1. {名詞}かしら。兄弟の序列で、最年長の人。▽兄弟を年齢の上の者から順に孟・仲・季という。また、伯・仲・叔・季ともいう。「孟女(モウジョ)(長女)」。
  2. {名詞}はじめ。季節や時代のはじめ。「孟春(モウシュン)」。
  3. {形容詞}大きい。「莫敢高言孟行、以過其情=敢へて高言孟行して、以て其の情を過ぐることなし」〔管子・任法〕
  4. {動詞}つとめる(つとむ)。困難をおかして努力し、前進する。《類義語》勉。「孟晋(モウシン)(つとめ進む)」。
  5. {名詞}「孟子(モウシ)」の略。「孔孟(孔子と孟子)」。

意味〔ニ〕モウ/ボウ

  1. 「孟浪(モウロウ)・(マンラン)」とは、つとりとめもない、でたらめの意。「夫子以為孟浪之言=夫子は以て孟浪の言を為す」〔荘子・斉物論〕づ目的もなく各地をさまよい歩くこと。

字通

[会意]子+皿。生まれた子に産湯をつかわせている形。〔説文〕十四下に「長なり」とし、皿(べい)声とするが、声が異なる。古文の字形は呆(ほう)に従い、保の従うところと同じで、呆は生子儀礼を示す字である。生まれてはじめての儀礼であるから、孟初の意となり、兄弟の序列に及ぼして孟長の意となる。〔方言、十二〕や〔広雅、釈親〕には「姉なり」と訓し、女子には孟、男子には伯という。金文には男子に用いることもあり、魯には孟孫・叔孫・季孫の氏を称するものがあった。

猛(モウ・11画)

猛 楚系戦国文字
「郭店楚簡」老甲.33・戦国楚

初出:初出は楚系戦国文字

字形:「犭」”けもの”+「孟」”一番年長の”。成獣したけもののさま。

音:カールグレン上古音はmăŋ(上)。

用例:「上海博物館蔵戦国楚竹簡」従政甲08に「□(猛)則亡新(親),罰則民逃」とあり、”激しく厳しい”と解せる。

「郭店楚簡」老子甲33に「攫鳥□(猛)獸弗扣」とあり、”たけだけしい”と解せる。現伝の『老子道徳経』では「猛獸不據,攫鳥不搏」となっている。

論語時代の置換候補:存在しない。『大漢和辞典』の同音同訓に「孟」măŋ(去)があり、”大きい”・”猛々しい”の語釈を載せるが、春秋末期までの用例は、全て地名・人名・”長子”の意であり、論語時代の置換候補になれない。論語語釈「孟」を参照。

学研漢和大字典

会意兼形声。孟は「子+皿(ふたをしたさら)」の会意文字で、ふたをして押さえたのをはねのけて、どんどん成長することを示す。猛は「犬+(音符)孟」で、押さえをきかずにいきりたって出る犬。はげしく外へ発散しようとする勢いを意味する。萌(ボウ)(外へ出ようといきりたつ芽ばえ)と同系。類義の厲(レイ)は、強い力で、まさつをおこすこと。烈は、ずるずると延焼して止めようもないさま。
付表では、「猛者」を「もさ」と読む。

語義

  1. {動詞・形容詞}たける。たけし。たけだけしい(たけだけし)。いきりたつ。いきりたって荒々しいさま。「勇猛果敢」「威而不猛=威ありて猛からず」〔論語・述而〕
  2. {形容詞}はげしい(はげし)。気力や勢いがはげしいさま。《対語》⇒寛。《類義語》厲(レイ)(ひどい)・烈。「猛雨」「猛烈」「寛以済猛猛以済寛=寛以て猛を済へ猛以て寛を済ふ」〔春秋左氏伝・昭二〇〕。「苛政猛於虎也=苛政は虎よりも猛し」〔礼記・檀弓下〕

字通

[形声]声符は孟(もう)。〔説文〕十上に「健(たけ)き犬なり」とあって、猛犬をいう。〔戦国策、韓二〕に「齊の大夫諸子、犬有りて甚だ猛なり」とあり、猛犬を飼う風があった。中山王墓には、盛飾を施した犬が陪葬されていた。獳(どう)字条に「怒れる犬の皃なり」とあり、合わせて獳猛という。

門(モン・8画)

→論語語釈「門」

問(モン・11画)

→論語語釈「問」

論語語釈
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