論語語釈「ロ」

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語釈 urlリンクミス

路(ロ・13画)

論語 路 金文
史懋壺・西周中期

初出は西周中期の金文。カールグレン上古音はglɑɡ(去)。

論語では孔子の弟子・仲由子路の名として頻出。

学研漢和大字典

形声。各は「夂(足)+口(かたい石)」からなり、足が石につかえて、ころがしつつ進むことを示す。路は「足+(音符)各(ラク)・(カク)」で、もと連絡みちのこと。絡(ラク)(太い経脈を横につなぐ細い脈)と同系。類義語に道。草書体をひらがな「ろ」として使うこともある。

語義

  1. {名詞}みち。じ(ぢ)。太いみちをつなぐ横みち。連絡のみち。転じて広く、みちのこと。《類義語》道・径。「道路」「行路人(コウロノヒト)(旅人)」。
  2. {名詞}みち。たどるすじみち。行き方。やり方。「筆路(筆のはこび)」「思路(考え方)」「路、悪在=路、悪くにか在る」〔孟子・尽上〕
  3. {名詞}重要なポスト。「要路」「夫子、当路於斉=夫子、斉にて路に当たる」〔孟子・公上〕
  4. {名詞}天子・諸侯の乗用の車。▽天子の五車として、玉路・金路・象路・革路・木路があった。《同義語》輅。
  5. {形容詞}王宮の建物のうち、表向きのものであること。「路寝(王の表御殿)」「路門(王宮の門)」。
  6. {名詞}宋(ソウ)代、都を中心として、方向によってわけた行政区画。東路・西路・北路・南路などをおいた。現代の省にあたる。

字通

[形声]声符は各(かく)。各に賂・輅(ろ)の声がある。各は祝禱して神をよび、神霊が降格することを示す字。夂(ち)は下降する足を示す。路とは神の降る道をいう。〔説文〕二下に「道なり」として会意とし、〔繫伝〕に各声とする。道は異族の首を携えて、道路を祓う儀礼。道路とは呪的に清められた通路をいう。路はまた天子のことに関して用い、路寝・路門・路車のようにいう。

輅(ロ・13画)

初出は秦の隷書。論語の時代に存在しない。カールグレン上古音はglɑɡ(去)。同音に路、露、潞”川の名”、鷺、璐”美しい玉”、賂、簬”竹の名”。呉音は「ル」。

定州竹簡論語では「路」と記す。『大漢和辞典』に「輅に通ず」という。

学研漢和大字典

形声。「車+(音符)各(ラク)」。大路をいくくるまのこと。

語義

  1. {名詞}くるま。大きなくるま。
  2. {名詞}くるま。天子の乗るくるま。《同義語》⇒路。「玉輅(ギョクロ)」「大輅(タイロ)」「乗殷之輅=殷の輅に乗る」〔論語・衛霊公〕
  3. {名詞}車のながえにしばりつけた横木。くるまを引くとき胸にあてる部分。

字通

[形声]声符は各(かく)。各に路・賂(ろ)の声がある。〔説文〕十四上に「車軨(しやれい)前の横木なり」とあり、その横木によって車を挽(ひ)く。柩車などに用いる古式のもので、〔論語、衛霊公〕に「殷の輅」とみえる。天子の車を、また大輅という。

魯(ロ・15画)

論語 魯 金文
作周公簋・西周早期

初出は甲骨文。カールグレン上古音はlo(上)。

学研漢和大字典

会意。「魚(にぶい動物の代表)+曰(ものいう)」で、言行が魚のように大まかで間ぬけであること。▽「ロシア」の意味では「露」とも書く

語義

  1. {形容詞}おろか(おろかなり)。大ざっぱで、間がぬけている。《類義語》鹵。「魯鈍(ロドン)」「参也魯=参也魯なり」〔論語・先進〕
  2. {名詞}国名。周の武王が、弟の周公旦(タン)の領地として与えた国。その子伯禽(ハクキン)が成王によって封ぜられてから三十四代約八百年続き、前二四九年楚(ソ)に滅ぼされた。都は曲阜(キョクフ)(山東省曲阜県)。孔子がうまれた国。
  3. 《日本語での特別な意味》「魯西亜(ロシア)」の略。「日魯漁業協定」。

字通

[会意]魚+曰(えつ)。曰は祝禱を収める器。魚を薦め、祝禱する儀礼を示す字である。〔説文〕四上に字を白に従う形とし「鈍詞なり。白に從ひ、魚(ぎよ)聲」とするが声が合わず、「鈍詞」という意も明らかでない。おそらく魯鈍の意とするものであろうが、金文には魯休・魯命・純魯・魯寿など、嘉善の意に用いる字である。なお〔エイ 外字𣪘(えいき)〕「拜して稽首し、天子の厥(そ)の順福を造(な)したまへるを魯(よろこ)びとす」、〔井人鐘(けいじんしよう)〕「賁純(ひじゆん)にして以て魯(おほ)いなり」、〔士父鐘(しほしよう)〕「余(われ)に魯(さいは)ひを降し、多福無疆ならんことを」などの用法がある。祖祭に魚を用いることは辟雍(へきよう)の儀礼にみえ、魯とは祖祭に関する儀礼をいう字であろう。魯鈍の意は、朴魯(ぼくろ)の義から転じたものとみられ、もとは純魯をいう字であったと考えられる。

老(ロウ・6画)

論語 老 金文
殳季良父壺・西周末期

初出は甲骨文。カールグレン上古音は声母のl(上)のみ。藤堂上古音はlog。

学研漢和大字典

象形文字で、年寄りが腰を曲げてつえをついたさまを描いたもの。からだがかたくこわばった年寄り。牢(ロウ)(かたい)・留(こりかたまる)などと同系のことば。

語義

  1. {動詞・形容詞}おいる(おゆ)。年をとってからだがかたくなる。ふける。ふけたさま。ひからびてかたいさま。《対語》⇒若・弱。「老若」「老而無妻曰鰥=老いて妻無きを鰥と曰ふ」〔孟子・梁下〕
  2. {形容詞}長い経験をつんでいるさま。年功をへている。長くなれ親しんでいる。「老練」。
  3. {名詞}おい。年寄り。年をとること。年寄りの生活。「養老」「終老」「扶老(老人をたすけささえる、老人をささえる杖(ツエ))」「不知老之将至云爾=老いのまさに至らんとするを知らずと云はん爾」〔論語・述而〕
  4. {名詞}年をとって官職をやめること。「告老(老年退職をこう)」「祁奚請老=祁奚老を請ふ」〔春秋左氏伝・襄三〕
  5. (ロウトス)(ラウトス){動詞}老人とみとめていたわる。「老吾老、以及人之老=吾が老を老として、以て人の老に及ぼす」〔孟子・梁上〕
  6. {名詞}年をとって物事をよく知っている人。また、そのような人に対する敬称。「長老」「郷老」「陳老(陳家のおじいさん)」。
  7. {名詞}老子の略。無為自然を説いた思想家。「老荘の学(老子・荘子の思想)」。
  8. {助辞}《俗語》親しい仲間を呼ぶとき、仲間の姓につけることば。また、動物につけることば。「老李(ラオリイ)(李さん)」「老虎(ラオフウ)」。

字通

[会意]耂+匕(か)。老は長髪の人の側身形。その長髪の垂れている形。匕は化の初文。化は人が死して相臥す形。衰残の意を以て加える。〔説文〕八上に「考なり。七十を老と曰ふ。人毛の匕(くわ)するに從ふ。須(鬚)髮(しゆはつ)の白に變ずるを言ふなり」とするが、匕は人の倒形である。〔左伝、隠三年〕「桓公立ちて、乃ち老す」のように、隠居することをもいう。経験が久しいので、老熟の意となる。

勞/労(ロウ・7画)

論語 労 金文 論語 怒り 労
叔夷鎛?・春秋

初出は甲骨文。カールグレン上古音はlog(平/去)。

上掲の金文は出典が不明だが、『字通』によると「叔夷鎛」(イシュクハク)から白川静博士が独自に採取した文字だと思われる。叔夷とは斉の霊公十五年(BC567)に活動の記録がある人物だから、論語の時代からあった文字だと判定する。

学研漢和大字典

会意。𤇾(ケイ)・(エイ)は、熒の原字で、火を周囲に激しく燃やすこと。勞は「𤇾+力」で、火を燃やし尽くすように、力を出し尽くすこと。激しくエネルギーを消耗する仕事や、そのつかれの意。

意味

  1. {名詞}激しい仕事のつかれ。「苦労」「労苦而功高=労苦しくして而功高し」〔史記・項羽〕
    ま(ロウス)(ラウス){動詞}つかれる(つかる)。つからす。激しく使ってつかれる。つかれさせる。「或労心、或労力=或いは心を労し、或いは力を労す」〔孟子・滕上〕
  2. (ロウス)(ラウス){動詞}激しく働く。「労而不怨=労して怨みず」〔論語・里仁〕
  3. {名詞}激しい仕事。労働。「有事、弟子服其労=事有れば、弟子其の労に服す」〔論語・為政〕
  4. {名詞}つらい仕事をやり遂げた苦労。「功労」「報功臣之労=功臣の労に報ゆ」〔曹冏・六代論〕
  5. (ロウス)(ラウス){動詞}いたわる(いたはる)。ねぎらう(ねぎらふ)。なぐさめる。▽去声に読む。「慰労」「郊労(諸侯が上京したさい、郊外に宴を設けて旅の疲れをねぎらうこと)」「労之来之=これを労ひこれを来たす」〔孟子・滕上〕
  6. 《日本語での特別な意味》
    (1)「労働者」「労働組合」の略。「労使」。
    (2)旧「労働省」の略。「労相」▽現在は「厚生労働省」。「厚労省」。

字通

[会意]エイ 外字(えい)+力。エイ 外字は庭燎、かがり火を組んだ形。力は耒(すき)の象形。エイ 外字は聖火で、これを以て耒を祓ってから、農耕がはじまる。農耕のはじめと終わりとに、農具を清める儀礼があり、それで害虫を避けうると考えられた。火で清めることを勞といい、丹青を以て清めることを靜(静)という。爭(争)は上下から力(耒)をもつ形。これによって作物がえられるので、〔詩、大雅、既酔〕に「籩豆(へんとう)靜嘉」という句がある。嘉も加(耒と祝詞の器の𠙵(さい))に壴(鼓)を加え、祈りと鼓声とで耒(力)を清める儀礼をいう。〔説文〕十三下に「劇しきなり。力と熒(けい)の省とに從ふ。熒火、冖(べき)を燒く。力を用ふる者は勞す」というが、会意の意が明らかでない。また重文一字を録し、労 ロウ 外字に作る。近出の〔中山王方鼎〕に心に従う字があり、また斉器の〔叔夷鎛(しゆくいはく)〕に労 ロウ 外字に作る字があって、「其の政事に菫労 ロウ 外字(きんらう)す」という。労 ロウ 外字は衣裳を聖火を以て清める魂振りの儀礼を示す字であろう。労は「労賜」「労賚(ろうらい)」のように、神の恩寵を受けることが原義。〔詩、大雅、旱麓(かんろく)〕「神の勞する所なり」の〔箋〕に「勞は勞來なり。猶ほ佑助と言ふがごとし」とあり、「労賚」の意とする。のち転じてひろく事功・勤労の意となり、労苦・労役の意となる。

牢(ロウ・7画)

論語 牢 金文 琴牢
貉子卣・西周早期

初出は甲骨文。カールグレン上古音は声母のl(平)のみ。藤堂上古音はlog。

論語では孔子の弟子の一人・琴牢の名として登場。

学研漢和大字典

会意。「宀(やね)+牛」で、牛などの家畜を、しっかり小屋の中にとじこめることを示す。老(骨組みがかたくなって、動きがとれない)・留(しこり固まって動かない)などと同系。類義語の獄は、がみがみといがみ合う裁判のことから、転じて監獄の意となったことば。

語義

  1. {名詞}家畜をとじこめてかこう小屋。「執豕于牢=豕を牢に執らふ」〔詩経・大雅・公劉〕
  2. {名詞}ひとや。罪人をかたくとじこめるろうや。「牢獄(ロウゴク)」「秦築長城比鉄牢=秦は長城を築いて鉄牢に比す」〔汪遵・長歳〕
  3. {名詞}とじこめて飼った家畜を、祭礼の犠牲(ギセイ)として供えたもの。いけにえ。「太牢(タイロウ)(牛・羊・豕(シ)を犠牲にしたもので、一級品の供えもの)」「少牢(ショウロウ)(羊と豕を犠牲にしたもので、二級品の供えもの)」。
  4. (ロウタリ)(ラウタリ){形容詞}かたい(かたし)。がっちりとかたくて、動きがとれないさま。「牢固(ロウコ)」「牢不可破=牢として破るべからず」〔韓愈・平淮西碑〕
  5. {形容詞}とじこめられたさま。「発牢騒=牢騒を発す」。

字通

[会意]宀(べん)+牛。宀は家ではなく、牢閑(おり)の象。卜文の牢閑には■(冖+牛)・■(冖+羊)に作り、柵かこいの形であるから、■(冖+牛)に作るのがよい。〔説文〕二上に「閑なり。牛馬を養ふ圈(けん)なり。牛と冬の省とに從ふ。其の四周帀(めぐ)るに象る」とするが、冬の省に従う字形ではない。入口が狭く、中が広い牛圏の形である。〔墨子、天志下〕に「人の欄牢(らんらう)に入りて、人の牛馬を竊(ぬす)む」とあり、欄・闌(らん)ともいう。閑字条十二上に「闌なり」とあり、闌圏を設けたところ。その構造は堅牢、そこにおしこめるので牢籠(ろうろう)の意となる。獄舎の意に用いて牢獄という。字を仮借して用いることが多く、牢落は遼落(りようらく)、牢愁・牢騒(ろうそう)は憂愁の意。牢人とは牢騒の人、捜牢・牢灑(ろうさい)は、騒ぎにまぎれて婦女や財物を掠め取ること、牢剌(ろうらつ)はばらばらというほどの擬声語である。

𨹟/陋(ロウ・9画)

初出は後漢の隷書。論語の時代に存在しない。カールグレン上古音は不明(去)。藤堂上古音はlug。部品「㔷」の初出は戦国文字

高床式倉庫
©Σ64 via wikipedia

阝=𨸏(フ)は丸太を刻んで階段にした形、丙は祭壇などの台座、匚は箱などに入れて隠すこと。従って『字通』のいう聖域かどうかはともかく、たかどのに据えられた台座を隠すことで、取るべきではないいみじきものを隠し盗むこと。

学研漢和大字典

会意兼形声。丙の原字は、しりを左右に開いたさま。陋の右側は、丙にL印のわくをはめ、足さえ左右に開けないほどのせまさをあらわした。陋はそれを音符とし、阜(土盛りしたかべ)を加えた字で、土かべに囲まれて、足も開けないほどせまいようすをあらわす。せまくちぢんだ、の意を含む。寠(ロウ)(ちぢんでわびしい)・僂(ロウ)(ちぢこまって背中が曲がっていること)などと同系。類義語に狭。

語義

  1. (ロウナリ){形容詞}せまい(せまし)。小さくせまくるしい。ちぢんでゆとりがない。《対語》⇒寛。「陋巷(ロウコウ)(せまい小路)」「陋屋(ロウオク)」。
  2. (ロウトス){動詞}せましとする(せましとす)。せま苦しいと思う。いやしいと思う。
  3. (ロウナリ){形容詞}せまい(せまし)。心や知識がせまい。身分がいやしい。せせこましくてみにくい。《対語》⇒雅(ガ)。《類義語》坂(ロウ)。「浅陋(センロウ)(知恵がせまい)」「卑陋(ヒロウ)(いやしい)」。
  4. (ロウナリ){形容詞}そまつなさま。「簡陋(カンロウ)」。

字通

[形声]声符は㔷(ろう)。㔷に側陋の意がある。〔説文〕十四下に「阸陜(やくけふ)なり」とあって、狭隘のところをいう。㔷十二下に「側逃なり」というのは、隠れる意であるらしく、〔史記、宋世家〕「乃ち神祇の祀を陋淫す」とは、神への犠牲を盗んで匿す意であろう。陋は神梯の象である𨸏(ふ)に従い、その聖域のものを盗む行為で、もっとも陋劣のこととされた。のち身分や性行に関して用い、また陋巷・陋居のようにいう。〔論語、子罕〕に「君子之れに居らば、何の陋か之れ有らん」という語がある。

祿/禄(ロク・12画)

論語 禄 金文
散氏盤・西周末期

初出は甲骨文。カールグレン上古音はluk(入)。

『大漢和辞典』の第一義は”幸運”。この甲骨文と金文は、漢字古今字資料庫になく、白川博士独自の採取と思われる。『字通』によると、「金文には彔の字を用いる。彔は錐もみ状に刻む字の形であるから、その声を仮借して、らい(訳者注、たまわる)・(訳者注、おさめる)の意に用いたものであろう」という。従って恐らく上掲の金文は、西周晩期の「散氏盤」(集成10176)から採取したのだろう。

学研漢和大字典

によると会意兼形声文字で、彔(ロク)は、刀でぽろぽろと竹や木を削るさまを描いた象形文字。小片が続いてこぼれおちるの意を含む。剥(ハク)の原字。祿は「示(祭壇)+〔音符〕彔」で、神からのおこぼれ、おかみの手からこぼれおちた扶持米(フチマイ)などの意。

淥(ロク)(こぼれおちる水たま)・錄(=録。竹や木を削って字を書く)・碌(ロク)(ころがる石ころ)などと同系のことば。旧字「祿」は人名漢字として使える。

意味

  1. {名詞}さいわい(さいはひ)。神の恵みのおこぼれ。与えられたさいわい。「福禄(フクロク)」。
  2. {名詞}ふち。おかみからもらう扶持米(フチマイ)。転じて、役人の俸給。「俸禄(ホウロク)」「干禄=禄を干む」「仕而不受禄=仕へて禄を受けず」〔孟子・公下〕
  3. {名詞}俸給を与えて家来を養う力。家来に対する支配力。「禄之去公室五世矣=禄の公室を去ること五世なり」〔論語・季氏〕
  4. 「無禄(ムロク)」「不禄(フロク)」とは、不幸にも死んだこと。
  5. 「天禄(テンロク)」とは、彫刻の模様に用いるめでたい獣の名。
  6. 「禄禄(ロクロク)」とは、ごろごろと大ぜいが、ころがっているさま。いくらでもあって、平凡なさま。《同義語》⇒録録・碌碌。

字通

[形声]声符は彔(ろく)。〔説文〕一上に「福なり」、〔広雅、釈詁一〕に「善なり」とみえる。天より与えられる福善をいう。金文には彔の字を用いる。彔は錐(きり)もみ状に刻む形の字であるから、その声を仮借して、賚(らい)・釐(り)の意に用いたものであろう。

論(ロン・15画)

初出は戦国末期の金文。論語の時代に存在しない。カールグレン上古音はlwən(平)。同音は掄”えらぶ・つらぬく”、惀”知りたいと願う・思う・悶える”。部品の侖li̯wən(平)”おもう・筋道を立てる・丸い”が論語時代の置換候補となる。

学研漢和大字典

会意兼形声。侖(リン)は「映(まとめるさま)+冊(文字を書く短冊(タンザク))」の会意文字で、字を書いた短冊をきちんと整理して、まとめることをあらわす。論は「言+(音符)侖」で、ことばをきちんと整理して並べること。輪(リン)(車輻(シャフク)の棒をきちんと並べて組みたてたわ)・倫(リン)(人間関係をきちんと整えた秩序)などと同系。草書体をひらがな「ろ」として使うこともある。

語義

  1. (ロンズ){動詞}すじみちをきちんと整理して説く。ことわけて話す。「評論」「討論」「論道経邦=道を論じ邦を経む」〔書経・周官〕
  2. (ロンズ){動詞}すじを整理して罪をきめる。量刑する。判決を加える。「論罪=罪を論ず」。
  3. {名詞}理屈をたてた話。また、道理を述べて意見を主張する文章。「世論」「理論」「論篤是与=論の篤きに是れ与す」〔論語・先進〕
  4. {名詞}「論語」のこと。▽この場合は平声に読む。「論孟(論語と孟子)」。
  5. {名詞}文章の最後にあって、作者が意見をのべる短評。「論曰=論に曰はく」。
  6. {名詞}《仏教》三蔵の一つ。釈迦(シャカ)の教説を体系づけて、解説を加えたもの。
  7. 「勿論(ロンナク)」とは、文頭について、…はいうまでもないの意。▽日本ではモチロンと読んで副詞となった。

字通

[形声]声符は侖(りん)。侖に次序を以て全体をまとめる意がある。〔説文〕三上に「議(はか)るなり」、また言字条に「論難するを語と曰ふ」とあって、討論することをいう。討は検討。是非を定め、適否を決することをいう。

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