論語詳解405衛霊公篇第十五(27)巧言は徳を乱す

論語衛霊公篇(27)要約:政治家や革命家に必要なのは、まず有能であること。それが徳。そして時を辛抱強く待つ忍耐力。どんなに用意が調っても、時を誤れば計画はおじゃんだからです。それを説く孔子先生と、聞く子貢のお話。

論語:原文・白文・書き下し →項目を読み飛ばす

原文・白文

子曰、「巧言亂德、小不忍、則亂大謀。」

書き下し

いはく、うまことのはとくみだす。すこしくもしのばざらば、すなはおほいなるはかりごとみだす。

論語:現代日本語訳 →項目を読み飛ばす

逐語訳

論語 孔子 キメ
先生が言った。「耳障りのよい言葉は、個人の能力を低下させる。僅かな忍耐もしなければ、間違いなく大きな計画を破綻させる。」

意訳

調子のいいことを言ったり聞いたりしていると、人間が役立たずになる。わずかな辛抱も嫌がるようでは、大きな仕事など達成できない。

従来訳

論語 下村湖人

先師がいわれた。――
「口上手は道義をやぶり、小事に対する忍耐心の欠乏は大計画をやぶるものだ。」

下村湖人『現代訳論語』

論語:語釈 →項目を読み飛ばす

巧言

論語 巧 篆書 論語 言 金文
(金文)

論語の本章では、”耳障りのいい言葉”。

亂(乱)

論語 乱 金文大篆
(金文)

論語の本章では、”ダメにする”。

『学研漢和大字典』によるともつれた糸で、やがてもつれに手を加えるなどの意が出来た。一方『字通』では、”おさめる”が本義で”乱れる・乱す”の方が派生義だという。

德(徳)

論語 徳 甲骨文 論語 徳 金文
(甲骨文・金文)

論語の本章では、”人間が持つ機能”。

『学研漢和大字典』によると本性のまま真っ直ぐですなおな心の意。しかし論語では、まっすぐなどの道徳的な意味で使っておらず、経験や技能に裏打ちされた人間の機能を言う。機能は普段は発揮されないので、隠然たる人格力と言ってもよい。

詳細は論語における「徳」を参照。

論語 忍 金文
(金文)

論語の本章では、”堪え忍ぶ”。

論語 謀 金文
(金文)

論語の本章では、”はかりごと・計画”。

論語:解説・付記

論語の本章は、為政者・革命闘士としての弟子たちに、仕事に関わる心構えを説いたもの。仕事の基本はそれを行う者だが、行う者の能力がすなわち徳であり、当人が備えた機能を言う。しかし機能を発動させるにもやり方=道があり、それは忍耐だと孔子は言う。

孔子は弟子の子夏が代官として赴任する際、この忍耐を説いた。

論語 孔子 楽
急いではならない。些細な結果を挙げようとしてはならない。急げば政治は完成しない。些細な結果を追えば、大きな業績は挙げられない。(論語子路篇17)

論語 子夏
子夏は孔門十哲に挙げられた優れた弟子であり、得意とするのは古典研究だったが、それでも行政官としての徳は備わっていると孔子は見たのだろう。対して論語の本章は、弟子一般のうち、行政や革命工作に従う者たちへの教訓であり、徳の点で不安があったのかも知れない。

徳が十分に備わっているとしても、それは他人の甘言にだまされるとすぐに損なわれると孔子は考えた。とりわけ洞察力が曇るのを警戒したのだろう。人は好意を持った自分物を、そう簡単には冷徹に見られないからだ。政治工作に従う以上、時には冷酷になることも必要だろう。

論語 子貢
孔子一門の政治派の首領である子貢も、もちろんそれを分かっていた。政治工作は多数の人間に関わる事だけに、効果が現れるまでは時間がかかる。あるいは工作を仕掛けて、時が来るまでは隠しておかねばならないこともあっただろう。記録に出てこないのもそのためだ。

子貢は口先三寸で諸国を引き回したように見えるが(『史記』弟子列伝)、諸国の権力者に会うにもまずそれ相応の準備が必要だし、簡単に会って貰えるとも限らない。記録に残っているのはあくまでも最終段階だけで、子貢も普段は地道な下ごしらえをしていたのだろう。

このような論語に記された発言を読むと、やはり孔子一門の政治派は、自分の計画に大勢の人を乗せて動かす事に大きな楽しみを見いだしていたように思える。それは一流の政治家や陰謀家だけが知る喜びであり、伊藤仁斎が論語の後半をくさしたのも、もっともに思える。

論語 伊藤仁斎
学者に陰謀家の解説を求めるのが、どだい無理なのだ。いい悪いの話ではない。

警告

漢文業界の者は嘘つき中国人そっくりで、微塵も信用ならぬ(→理由)ので、数言申し上ぐ。


出典明記の引用は自由だが(ネット上では可動リンク必須)、盗用・剽窃は居合を嗜む有段者の訳者が、櫓櫂の及ぶ限り追い詰める。言い訳無用。訳者が「やった」と思ったら、全国どこでも押し込む。頭にきたら海外にも出かけ、バッサリやってすぐ帰る。訳者は暇であるし、惜しむものを持っていないし、面倒が苦にならぬゆえ、こうして古典を研究している。

刀の手入れは毎日している。そして未だ人を斬ったことが無い。

盗作・剽窃の通報歓迎。下手人を成敗した後、薄謝進呈。他人にやらせた者も同罪、まずそ奴から追い回してぶっ○○る。覚悟致せ。

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