論語陽貨篇(ようかへん)第十七現代語訳

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論語陽貨篇:要約

論語 孔子 微笑み 論語 アルファー 10
アルファー:孔子先生の解説は、訳者がこの篇の詳解を終えてから掲載します。しばらくお待ち下さい!

陽貨篇は一定のテーマでまとめられておらず、いわば取りこぼした孔子の語録集になっている。

季氏の執事、陽貨(陽虎)が私を部下に招こうとしたが、断った。
そうしたら贈り物に子豚の丸焼きを送ってきた。礼法として、挨拶に出向かずばなるまい。仕方がないので留守を狙った。ところがその帰り、陽貨と出くわしてしまい、奴めが言った。

「これはこれは孔子どの。さ、拙宅でお話しでも。」
仕方がないのでついていき、奴の屋敷に戻った。

陽貨「ふところに宝を隠し持ったまま、使いもしないで自国を迷わす。あわれみと言えますか。」「言えぬでしょうな。」
「成し遂げたい仕事があるのに機会を逃してばかりいる。賢いと言えますか。」「言えぬでしょうな。」
「月日は過ぎゆく。年は人を待ってはくれない*。いかがかな。」「よろしい。あなたに仕え申そう。」

*原文「歳不我與。」主語-否定辞-目的語-動詞の形式は、殷代の甲骨文にも見られる古い語法。なお孔子は結局陽貨に仕えず、陽貨は反乱を起こして国外に出た。
また陽貨は、かつて十代後半の孔子を小僧扱いして、宴会場から閉め出した当人で当然年上。ところが孔子の才を認めると即座に態度を変え「得る」あたり、なみたいていの人物ではない。

人は生まれつき似ている。
だが習慣が別人にする。

しかし例外的に賢い者は元から賢い。
どうしようもないバカには付ける薬がない。

子游が遠い武城の代官になった。弟子を連れて様子を見に行くと、みやびな音楽が聞こえてくる。私は思わず微笑んで、出迎えた子游に言った。

「大げさだね。ヤキトリの下ごしらえに牛切り包丁かい? こんな小さな町に。」
「むかし、先生から教わりました。君子が文化を学ぶと人を愛する、凡人が学ぶと使いやすくなると。ですからこのように音楽を広めてみました。」
「はっはっは、もっとももっとも。諸君、今のヤキトリうんぬんは冗談だよ。」
*孔子の角が取れすぎているので、最晩年の話と理解したい。

季氏の家臣、公山弗擾コウザンフツジョウが費邑に立てこもって反乱を起こした。
私を招こうとしたので行こうとしたら、子路が血相を変えて言った。

「おやめ下さい! なぜに公山めに手を貸すのです!」
「呼ぶからには仕事をさせる気だろう? 私が手を貸せば、そこに都の如き文化国を立てて見せようぞ!」

*結局行かなかった。樊遅ハンチが弟子になるまで、おそらく孔子の身辺警護を務めていたのは子路で、本章のような孔子のいい加減さを、おそらくは殴り倒してでもいさめたと思われる。

子張「仁を身につける心がけとは?」
「慎み深さ・大らかさ・義理堅さ・素早さ・恵み深さの五つだな…。」

慎み深ければ、バカにされない。
大らかなら、人が寄ってくる。
義理堅ければ、信用される。
素早ければ、仕事が出来る。
恵み深ければ、人を使える。

「…わかったかね?」「ありがとうございました。」

中原西北の大国・晋で、仏肸ヒツキツ*が中牟のまちに立てこもって、主人にそむいた。私を招いたので、行こうとした。すると子路が血相を変えて言った。

「むかし先生は仰いましたね、手ずから悪事を働くような奴のところへ、君子は行かぬものだと。仏肸めは謀反人ですぞ? なぜ行かれるのです。」
「ああそう言ったよ。だが古い歌にあるじゃないか…。」

♪固いな固いな、擦っても減らない。
♪白いな白いな、染めても落ちる。
♪ぶらりとしても、ひょうたんは。
♪ぶらぶら下がって、食われない。

「…私はひょうたんで終わりたくないんだよ。」

*「フツキツ」とも。晋の大家老、趙簡子の家臣。

「これ子路や、お前はリクゲンリクヘイ*を知っているか。」
「何ですかそれ。」「まあお座り。」「はい。」

情けを心がけても学ばないと、お人好しで終わる。
知識に心がけても学ばないと、おたくになる。
義理に心がけても学ばないと、人殺しもしかねない。
正直に心がけても学ばないと、行き詰まる。
勇気を心がけても学ばないと、乱暴になる。
物堅さに心がけても学ばないと、もの狂いになる。

*六言六蔽。六つの徳目と六つの弊害。

君たち! 詩を学びなさい。詩は―。

心をかき立て
人生を見つめ
同好の友人が出来
想いを伝える。

家では父に、外ではあるじに、仕えるのに役立つ。
おまけに草木や鳥や獣の名前が頭に覚わる。

10

子の伯魚に言った。

「周南・召南の詩*を学んだか? あれを学ばないと、目の前の壁をじっと見つめてるようなもので、右も左も分からないぞ。」

*『詩経』で地方歌編(国風)の最初の二巻で、首都洛邑周辺の歌を載せる、とされる。なお達磨大師の「面壁九年」は、案外これが元ネタかも知れない。

国宝「慧可断臂図」
京都国立博物館蔵

11

礼法も音楽も、道具ばかりいじっていては何にもならない。

12

厳つい顔して中身はへたれ。
こそ泥のたぐいだ、そういう奴は。

13

田舎の大将は相手にするな。
何も知りゃあしないんだから。

14

受け売りばかりしていると、いつまでたっても小僧のままだぞ。

15

ああ全く*、下らない男を同僚に持つべきではないな。
狙った地位を手に入れたはいいが、首になりはしまいかと、どんな悪事でも平気でやる。

*原文「鄙夫可與事君也與哉」。最後の「與哉」は無くても意味が変わらないので、古来置き字として無視するが、與は疑問や反語、哉は嘆きを意味するから、「ああ全く」と訳した。

16

昔から始末に負えない人はいたが、今日びはそれどころでなくなった。

昔のもの狂いは好き勝手で済んだが、今のもの狂いはだらしがない。
昔の自己崇拝は孤高だったが、今の自己崇拝は文句ばかり言う。
昔のバカは素直だったが、今のバカはひたすら小ずるい。

17

猫なで声と愛想笑い。
これで仁が身に付くはずがない。

*学而篇と同じ。

18

紫色は嫌いだ。朱色が古風でよろしい。
鄭国の歌はエロくてよくない。雅楽が古風でよろしい。
口車は国や家を滅ぼしかねない。口下手がよろしい。

19

「もう何も言う気が失せた。」
子貢「えっ! 先生が何も仰らないなら、私如きが何を言えます。」
「天が何か言うかね。言わなくても季節は巡り、万物が生まれ育まれる。天が何か言うかね。」

20

宰我「親の喪中が三年とは、長すぎますよ。その間稽古しないままでは、礼法も音楽も忘れてしまいます。穀物だって一年で古びます。その一年で十分では?」
「親が亡くなってたった一年で、うまいものを飲み食いして、お前はそれで平気なのか?」
「ええ。」
「それじゃそうしなさい。」

宰我が下がってつぶやいた。
あわれみ心のない奴だ。子は三年間親に抱かれて、やっと歩き出す。だから三年間なのだがな。あいつは可愛がって貰えなかったのだろうか。」

*両者の言葉が回りくどいので、大幅に意訳。逐語訳はこちら

21

腹一杯食って一日中ボーッとしている。それも苦痛だ。
バクチでも打ってた方がまだましだ。

22

子路「君子は勇気を尊ぶでしょう?」
「そうとも限らんぞ。筋が通っていなくちゃならん。筋が通らぬ勇気は、君子なら人を謀反人にし、凡人なら盗賊にする。」

23

子貢「君子にも嫌うものがあります?」
「あるぞ…。」

人の欠点をあげつらう奴。
妬みで悪口を言う奴。
勇ましいだけで無礼な奴。
向こう見ずのくせにすぐ腰が砕ける奴。

子貢「ではわたくしも…。」

話の出鼻をくじいて得意がる奴。
図々しさを勇ましさと勘違いした奴。
人のいやがる話をして正直がる奴。

24

とりわけ女性と凡人は教えづらい。
親しめばつけあがるし、放置するとうらむ。

25

四十になっても人に嫌われるようでは、おしまいだ。

*当時の平均寿命は三十代前半。四十で生きているというのは、生き字引でもあるし、超人でもある。

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