論語詳解408衛霊公篇第十五(30)過ちて改めざる

論語衛霊公篇(30)要約:人間誰でも間違いはつきもの。しかし間違いを覚ったらすぐさま改めないと、事態はますます悪化しますよと孔子先生。自分の過去を否定したくないのは人情ですが、損切りはお早めに、は人生も同じだと言う一節。

論語:原文・白文・書き下し →項目を読み飛ばす

原文・白文

子曰、「過而不改、是謂過矣。」

書き下し

いはく、あやまちてあらためざる、これあやまちふ。

論語:現代日本語訳 →項目を読み飛ばす

逐語訳

論語 孔子 怒
先生が言った。「間違いを起こして改めない、それが間違いだというのだ。」

意訳

論語 孔子 楽
間違っていない、と言い張る者こそ、間違っているのだよ。自分を空しくして考え直してごらん。

従来訳

論語 下村湖人

先師がいわれた。――
「過って改めないのを、過ちというのだ。」

下村湖人『現代訳論語』

論語:語釈 →項目を読み飛ばす

論語 過 金文
(金文)

論語の本章では”間違える”。

『学研漢和大字典』によると会意兼形声文字で、咼は、上にまるい穴のあいた骨があり、下にその穴にはまりこむ骨のある形で、自由に動く関節を示す象形文字。過は「甦+(音符)咼」で、両側にゆとりがあって、するするとさわりなく通過すること。勢い余って、行きすぎる意を生じる。

▽滑(するりとすべる)は、その語尾がtに転じたことば、という。

論語 改 金文
(金文)

論語の本章では”改める・修正する”。

『学研漢和大字典』によると会意兼形声文字で、己(キ)は、起の原字で、はっとしておきたつさまを描いた象形文字。改は「攴(動詞の記号)+(音符)己」で、はっと緊張させておこすこと。たるんだものに活を入れておこす意となる。

革(力をこめて堅く張る皮)・亟(キョク)(力をこめて張りきる)と同系。また、更(しんに力を入れて強くすること)ときわめて近い、という。

論語 謂 金文 論語 謂 篆書
(金文・篆書)

論語の本章では”AはBだと評論する”。

論語 矣 金文大篆 論語 矣 篆書
(金文・篆書)

論語の本章では”~だというのだ”。断定を意味する。詳細は論語語釈「矣」を参照。

論語:解説・付記

論語の本章は、論語にたびたび現れる「実事求是」=事実に基づいて正しさを求める精神を説いたもので、現代にも通用する普遍的価値がある。孔子もまたたびたび間違いを犯し、時にひどい目に遭っているが、根本教説の礼と仁を除き、場面に応じて生涯変われる人でもあった。

同じ説諭は、すでに論語の冒頭・学而篇に見える。

論語 孔子 切手
諸君が他人から重く見られないなら〔なおさら〕厳かな態度をつくろうな。学んでも頭が固くならないようにせよ。自分と他人を偽らないようにせよ。勉強の遅れている友人がいないようにせよ。間違えたら改めるのを恥ずかしいと思うな。(論語学而篇8)

学者、とりわけ人文系の学者にとって、学べば学ぶほど頭が固くなり、間違いを認められなくなる宿命的な病いがある。論理よりも知識の量がものを言う文系学問では、知識を蓄えるに費やしたコストを思うと、間違いに出くわした時、それまでの投資が不良債権化するからだ。

従って文系の学者の善し悪しを見分けるのは簡単で、横柄でない、怒鳴らない、聞く耳を持つならその人はまとも。対して横柄でよく怒鳴り聞く耳を持たない者は、地位を取り外したらつまらないオジサンオバサンであると分かることが多い。これは学問の世界に限らないだろう。

論語 怒鳴る上司
業績でも経験でもなく、その場にいた年数が長いだけで地位が上がるのは、実社会でも珍しくない。その不合理が一掃されようとしているこんにち、過ちて改めないのを戒めるのは、生き残っていくためには心得ておくべき教訓かもしれない。改めない者は成長しないからだ。

論語に話を戻すと、実事求是は孔子一門にとって致命的に重大な問題で、思い込みから政治工作に突っ走ると、一門揃って没落の危険があった。論語の時代としては過激な主張を持ちながら、孔子逝去まで一門が残り続けたのは、事実に応じて自らを修正できたからだ。

無論、根本主張は変えられない。しかし振る舞いややり方=道を変えることは出来る。論語の言葉同士が時に矛盾しているのは、変えてはならない教説と、変えてよい手段とが別ものだったからだ。だから孔子は、学びには順序があり、手続きを経て向上すること強調した。

論語 孔子 不愉快
基礎も学ばないで、いきなり奥義を聞こうというのかお前は。(論語雍也篇21)

四則演算が出来ねば一次式は分からず、因数分解が出来ないと代数・幾何に進めないように、政治判断が出来るようになるまでには、長い時間がかかる。それにも関わらず弟子のほとんどは、三年学ぶと仕官していった。革命に携わらないのであれば、それで十分だったのだろう。

警告

漢文業界の者は嘘つき中国人そっくりで、微塵も信用ならぬ(→理由)ので、数言申し上ぐ。


出典明記の引用は自由だが(ネット上では可動リンク必須)、盗用・剽窃は居合を嗜む有段者の訳者が、櫓櫂の及ぶ限り追い詰める。言い訳無用。訳者が「やった」と思ったら、全国どこでも押し込む。頭にきたら海外にも出かけ、バッサリやってすぐ帰る。訳者は暇であるし、惜しむものを持っていないし、面倒が苦にならぬゆえ、こうして古典を研究している。

刀の手入れは毎日している。そして未だ人を斬ったことが無い。

盗作・剽窃の通報歓迎。下手人を成敗した後、薄謝進呈。他人にやらせた者も同罪、まずそ奴から追い回してぶっ○○る。覚悟致せ。

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