論語語釈「キュ・ギュ」

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語釈 urlリンクミス

九(キュウ・2画)

九 金文
𦅫鎛・春秋中期

初出は甲骨文。カールグレン上古音はki̯ŭɡ(上)。

学研漢和大字典

象形。手を曲げて引き締める姿を描いたもので、つかえて曲がる意を示す。転じて、一から九までの基数のうち、最後の引き締めにあたる九の数、また指折り数えて、両手で指を全部引き締めるときに出てくる九の数を示す。究(奥深くゆきづまって曲がる最後の所)の音符となる。また、糾合(キュウゴウ)の糾、鳩合(キュウゴウ)の鳩と通じる。草書体をひらがな「く」として使うこともある。▽証文や契約書では、改竄(カイザン)や誤解をさけるため「玖」と書くことがある。

語義

  1. {数詞}ここのつ。《同義語》⇒玖。
  2. {数詞}ここの。順番の九番め。「九月九日」。
  3. {副詞}ここのたび。九回。九度。
  4. {形容詞}数が多い。また、奥深いさま。「為山九仞=山を為(つく)ること九仞なり」〔書経・旅忙〕
  5. {動詞}ひと所に引きしぼり集める。▽平声に読む。糾(キュウ)に当てた用法。「九合諸侯=諸侯を九合す」〔論語・憲問〕
  6. 《日本語での特別な意味》ここのつ。午前十二時、または午後十二時。▽江戸時代のことば。

字通

[象形]竜蛇の形。竜蛇に虫形と九形とあり、九は岐頭の形でおそらく雌竜。虫と九と組み合わせた形は禹。九州の水土を治めたとされる神である。〔説文〕十四下に「陽の變なり。其の屈曲し、究盡するの形に象る」とする。七は陽の正、九は陽の変。ゆえに〔易〕の陽爻を初九・九二・上九のようにいう。数の九に用いる。

及(キュウ・3画)

及 金文
保卣・西周早期

初出は甲骨文。カールグレン上古音はɡʰi̯əp(入)。

学研漢和大字典

「人+手」の会意文字で、逃げる人の背に追う人の手が届いたさまを示す。その場、その時にちょうど届くの意を含む。吸(口がぴたりと水面に届く→すいつく)-汲(つるべが水面に届く→くみ上げる)-給(おいつくようにぴたりとあてがう)などと同系のことば。

意味

  1. {動詞}およぶ。追いつく。「往言不可及=往言は及ぶべからず」〔国語・晋〕
  2. {動詞}およぶ。能力が追いつく。「非爾所及也=爾の及ぶ所に非ざるなり」〔論語・公冶長〕
  3. {動詞}およぶ。→語法「②」。
  4. {動詞}およぶ。そんなことまで行う。「父死不葬、爰及干戈=父死して葬らず、爰に干戈に及ぶ」〔史記・伯夷〕
  5. {動詞}およぼす。そこまで物事の範囲を広げる。「老吾老以及人之老=吾が老を老として以て人の老に及ぼす」〔孟子・梁上〕
  6. {接続詞}および。→語法「①」

語法

①「~および…」「~と…」とよみ、「~と…」と訳す。並列の意を示す。「漢軍及諸侯兵、囲之数重=漢軍及び諸侯の兵、これを囲むこと数重」〈漢軍と諸侯の兵は、幾重にも包囲した〉〔史記・項羽〕

②「~におよび(て)」とよみ、

  1. 「~になると」「~になったとき」と訳す。時間の到達の意を示す。「及父卒、叔斉讓伯夷=父卒するに及びて、叔斉伯夷に讓らんとす」〈父が亡くなると、叔斉は長兄の伯夷に(位を)譲ろうとした〉〔史記・伯夷〕
  2. 「~まで」「~に到って」と訳す。空間の到達の意を示す。「及郡下、詣太守、説如此=郡下に及び、太守に詣(いた)りて、説くことかくの如し」〈郡の役所に到って、太守にお目にかかり、しかじかと語った〉〔陶潜・桃花源記〕
  3. 「~に乗じて」「~という状況になると」と訳す。機会・条件の意を示す。「及其使人也、器之=その人を使ふに及びては、これを器にす」〈人を使うときには、長所に応じた使い方をする〉〔論語・子路〕

③「~と」とよみ、「~とともに」と訳す。対象・従属の意を示す。「爾尚及予一人致天之罰=爾(なんぢ)尚(こひねが)はくは予一人と天の罰を致(いた)せ」〈おまえたちよ、どうかわれと力を併せて天の罰を夏の桀に加えよ〉〔史記・殷〕

字通

人+又(ゆう)。又は手。後ろより手を伸ばして、前の人に追い及ぶ形。〔説文〕三下に「およぶなり」と逮及・逮捕の意とする。古文には逮を誤入している字がある。伋は西周期の金文にみえ、途上に相及ぶ意である。

訓義

およぶ、追いつく、いたる、およぼす、つづく、つぐ。ともに、あわせて、あずかる。

大漢和辞典

会意。又と人の合字。又は手、後人の手が前人におよぶこと。追い及ぶ意。

字解

およぶ。およぼす。および。共に。共にする。弟が兄のあとをつぐ。もし。姓。

久(キュウ・3画)

久 金文
(金文)

この文字は漢字古今字資料庫では甲骨文・金文共に存在しないが、白川フォントには独自の上掲金文を載せる。戦国期の細長い流麗な書体ではないが、論語の時代に存在したとは断定できない。確実な初出は秦系戦国文字から。「国学大師」は、原義を灸を据える姿とする。

カールグレン上古音はki̯ŭɡ(上)。同音に九、灸、疚(やまい・やましい)、玖(黒い宝石)。”ひさしい・ながい”という語釈は、「舊」(旧、カ音ɡʰi̯ŭɡ)と音が通じて後世に生まれた語義だが、もとより「舊」と記されたとすると、むしろ「舊」の語義で解釈すべき。

なお「舊」の藤堂上古音はgɪog、久はkɪuəg。詳細は論語語釈「旧」を参照。

学研漢和大字典

久 解字
会意。背の曲がった老人と、その背の所に、引っぱるしるしを加えたもので、曲がって長いの意を含む。灸(キュウ)(もぐさで長い間、火をもやす)・柩(キュウ)(長い間、死体を保存するひつぎ)の字の音符となる。旧(長く時がたつ)・九(長く数えていきづまった数)・究(曲がりくねって奥深くはいる)・考(背の曲がった老人)などと同系のことば。草書体をひらがな「く」として使うこともある。▽草書体からひらがなの「く」ができた。また、初二画からカタカナの「ク」ができた。

意味

  1. {形容詞}曲がりくねって、くねくねと伸びているさま。「久腰(キュウヨウ)(老人の曲がった腰)」
    (訳者注。中国哲学書電子化計画では、「久腰」の出典が確認できなかった。巢元方『諸病源候論』に「久腰痛候」という言葉はあるが、”久しい腰痛の症状”の意で、「久腰」ではない)。
  2. {形容詞}ひさしい(ひさし)。長く時がたっているさま。いろいろと曲折をへてのびるさま。《対語》⇒暫(ザン)(しばし)。《類義語》旧。「天長地久」「丘之禱久矣=丘(きう)の禱(いの)ること久し」〔論語・述而〕
  3. {動詞}ひさしくする(ひさしうす)。長く時間をかける。ずっとそのままにしている。「可以久則久=以て久しかるべくんば則ち久しうす」〔孟子・公上〕

久 阿闍梨餅
京菓子舗”満月”名物”阿闍梨餅”のパッケージ

字通

屍体を後ろから木で支えている形。〔説文〕五下に「後よりこれを灸す。人の両脛の後に距有るに象るなり」とあり、うしろにものを詰める意とする。〔儀礼、士葬礼〕に「木桁もて之を久す」というように、木桁で支えることもあり、久とはその象であろう。これを櫃中に収めるときには匛・柩(訳者注。ともに”ひつぎ”)という。ぼう部十二下に「柩は棺なり」とあり、棺とは屍をつつんで納める意である。籀文の字形は匶に作る。久・舊(旧)は声義近く、通用する。久は屍を支える形、舊は鳥の足を繋いで係留する意で、ともに久遠の意において通ずる。久を久遠とするのは、顚死者(訳者注。行き倒れ)の象である眞(真)を、永遠に実在するものの意に転化するのと、相似た思弁の結果である。

訓義

1)ささえる、ものをつめる、ふさぐ、おおう。2)ひさしい、ひさしくする、とどまる、3)おくれる、まつ。

大漢和辞典

久 大漢和辞典

弓(キュウ・3画)

亘 金文
亘弓方簋・西周早期

初出は甲骨文。カールグレン上古音はki̯ŭŋ(平)。同音は無い。論語では孔子の弟子・冉雍仲弓の名としても登場。

学研漢和大字典

象形。弓の形を描いたもの。曲線をなす意を含む。躬(キュウ)(からだをまるく曲げる)・穹(キュウ)(曲線をなす天井、まるいテント)などと同系。まるく曲げたひじを貫(コウ)・肱(コウ)というのと縁が近い。類義語の弩(ド)は、留め金に弦をひっかけて、ばねで石や矢をはじくゆみ。

語義

  1. {名詞}ゆみ。まるくそったゆみ。《類義語》弩(ド)。「弓箭(キュウセン)(弓矢)」「弓矢斯張=弓矢斯に張る」〔孟子・梁下〕
  2. {単位詞}歩測で土地を測量するとき、土地の長さをあらわすことば。一弓は、一歩の長さで、六尺のこと(周代の一尺は二二・五センチメートル)。▽一説に五尺ともいう。「歩弓(歩測の幅)」。

字通

[象形]弓体の形。〔説文〕十二下に「窮むるなり。近きを以て遠きを窮むる者なり」と弓・窮の音の通ずることを以て説く。〔釈名、釈兵〕には、「弓は穹なり。之れを張ること弓隆(きゅうりゅう)(ドーム形)然たり」と、その形を以て説く。音よりいえば躬・弘などとの関係が考えられる。

丘(キュウ・5画)

丘 金文
子禾子釜・戦国

初出は甲骨文。カールグレン上古音はkʰi̯ŭɡ(平)。論語ではほぼ、孔子の名「孔丘仲尼」として登場する。

学研漢和大字典

象形。周囲が小高くて中央がくぼんだ盆地を描いたもの。畦・邱とも書く。図の二字めの形は、鎬(=虚。くぼみ)の字の下部にあって意符として用いられる。類義語に山。

語義

  1. {名詞}おか(をか)。小高い所。「丘陵」。
  2. {名詞}小高く土盛りをした墓。塚(ツカ)。「墳丘」。
  3. {形容詞}おかのように大きい。「丘嫂(キュウソウ)(あによめに対する敬称)」。
  4. {名詞}周代の土地区画で、八家を「井」、四井を「邑(ユウ)」、四邑を「丘」という。百二十八家。「丘民」。
  5. {名詞}孔子の名、孔丘(コウキュウ)の略称。

字通

[象形]墳丘の象。〔説文〕八上に「土の高きものなり。人の爲(つく)る所に非ざるなり。北に從ひ、一に從ふ。一は地なり。人の居は丘の南に在り。故に北に從ふ。中邦の居は崑崙の東南に在り。一に曰く、四方高く、中央下(ひく)きを丘と爲す。象形」とあり、会意・象形の二説をあげている。墳墓は多く北郊に営まれるので、北邙のようにいう。ゆえに北一に従うとの説を生じたのであろう。〔詩、小雅、緜蛮〕は悼亡の詩。「緜蠻(めんばん)たる黄鳥 丘阿に止まる」とは、鳥形霊による死者への追想を導く発想である。

大漢和辞典

丘 大漢和辞典

舊/旧(キュウ・5画)

初出は甲骨文。カールグレン上古音はɡʰi̯ŭɡ(去)。

学研漢和大字典

形声。舊の上部は鳥のこと。下部は音をあらわす。もと鳥の名。ただし、普通は、久(年月をへて曲がった)・朽(キュウ)(曲がってくちる)と同系のことばに当てて用いる。類義語に古。

語義

  1. {形容詞}ふるい(ふるし)。くちて曲がった。年月をへてふるびた。また、以前の。《対語》⇒新。《類義語》古。「新旧」「旧邦」「旧令尹之政、必以告新令尹=旧令尹の政は、必ず以て新令尹に告ぐ」〔論語・公冶長〕
  2. {名詞}もと。以前の状態。「依旧=旧に依る」「仍旧=旧に仍る」「如旧=旧のごとし」。
  3. {名詞}昔なじみであること。また、昔なじみの人。《類義語》故。「故旧(昔なじみ)」「有旧=旧有り」「訪旧半為鬼=旧を訪へば半ばは鬼と為る」〔杜甫・贈衛八処士〕
  4. 《日本語での特別な意味》きゅう(きう)。太陰暦のこと。「旧盆」。

字通

[会意]旧字は舊に作り、萑(かん)+臼(きゆう)。臼形のものは、鳥を捕らえるための鑿歯(さくし)のある器。舊は萑がその器に足を取られて、奪去しえない状態を示す。ゆえに留止・旧久の意を生ずる。〔説文〕四上に「𨾦舊(しきう)、舊留なり」とみみずくの意とし、臼声とする。また重文として鵂を録する。〔淮南万畢術〕に「鵂もて鳥を致す」の〔注〕に、「鴟鵂を取り、其の大羽を折り、其の兩足を絆(つな)ぎ、以て媒(ばい)(おとり)と爲し、羅(あみ)を其の旁に張れば、則ち鳥聚まる」とあり、舊はその法を示す字である。金文に「舊友」「先舊」の語があり、また〔邾公華鐘(ちゆこうかしよう)〕に「元器を其れ舊(ひさ)しうせよ」のように用いる。久と声義が近い。

朽(キュウ・6画)

朽 金文
作冊疐鼎・西周早期

初出は西周早期の金文。カールグレン上古音はx(上)。藤堂上古音はhɪog。

論語公冶長篇9で定州竹簡論語が用いている「㱙」は、大漢和辞典による語釈は”くちる・くさい”。台湾中央研究院の「小学堂」㱙字条でもそう扱っている。「国学大師」㱙字条も「同【朽或剐】字」という。剐は大漢和辞典にも見えないが、”つきやぶる・死刑の一種”と「国学大師」剐字条は言う。

学研漢和大字典

会意兼形声。亜(コウ)は、伸びようとするものがつかえて曲がったことをあらわす。朽は「木+(音符)亜」で、くさって曲がった木。考(腰の曲がった老人)・巧(曲がりくねった複雑な細工をする)と同系。類義語に腐。

語義

  1. {動詞・形容詞}くちる(くつ)。草木がくさる。くさって曲がる。また、そのさま。「朽木」。
  2. {名詞}くさった木。「摧朽=朽を摧く」。
  3. {動詞・形容詞}くちる(くつ)。古くなってだめになる。また、そのさま。「老朽」「不朽」。

字通

[形声]声符は丂(こう)。〔説文〕四下に㱙を正字とし、「腐るなり」と訓し、朽を別体の字とする。〔列子、湯問〕に「其の肉を㱙ちしめて棄て、然る後に其の骨を埋む」というのは、屍体の風化を待って葬る複葬の法をいう。丂は曲刀の形。木に斧斤を加えて、そのあとの腐朽することをいい、それを屍に及ぼして㱙という。

求(キュウ・7画)

求 金文 求 甲骨文
廿七年衛簋・西周中期/甲骨文

初出は甲骨文。ただし字形は「」。字形と原義は足の多い虫の姿。”求める”の意になったのは音を借りた仮借。カールグレン上古音は声母のɡʰ(平)のみ。同音は「求」を部品とする漢字群の他、窮洚降嗥厹艽鼽(平)、昊暤浩顥泂舅臼咎(上)、鵠學(入)。うち甲骨文より存在する文字は「咎」のみ。藤堂上古音はgɪog。

漢語多功能字庫」によると、甲骨文では”求める”・”とがめる”の意が、金文では”選ぶ”(邾君鐘・おそらく春秋)、”祈り求める”(𦅫鎛・春秋)の意が加わったという。

論語では、孔子の弟子・冉求子有の名としても現れる。

学研漢和大字典

象形。求の原字は、頭や手足のついた動物の毛皮を描いたもの。毛皮はからだに引き締めるようにしてまといつけるので、離れたり散ったりしないように、ぐいと引き締めること。裘(キュウ)(毛皮)はその原義を残したことば。糾(キュウ)(引き締める)・救(キュウ)(引き止める)・球(中心に引き締まった形のたま)と同系。

語義

  1. {動詞}もとめる(もとむ)。散らないよう、また逃げないように引き締める。《対語》⇒散・放。「求心」「求其放心而已矣=其の放心を求むるのみ」〔孟子・告上〕
  2. {動詞}もとめる(もとむ)。自分のものにしようとする。さがしもとめる。ほしがる。「追求」「探求」「要求」「居無求安=居には安きを求むること無し」〔論語・学而〕。「実事求是(現実に即して、それを支配する道理を求める。朱子学のスローガン)」。
  3. 《日本語での特別な意味》もとめる(もとむ)。買う。

字通

[象形]呪霊をもつ獣の形。この獣を用いて、求めるところを祈る。また獣皮の形で、裘(きゆう)の初文。〔説文〕に求字を収めず、裘字条八上に重文として求の字形を出し、「古文、衣を省す」という。金文に求を贖求(しよくきゆう)の意に用い、〔君夫𣪘(くんぷき)〕「乃(なんぢ)の友を儥(贖)求せよ」、〔舀鼎(こつてい)〕「乃の人を求(つぐな)へ」のようにいい、また〔𦅫鎛(そはく)〕「用(もつ)て考命(永命)彌生(びせい)ならんことを求む」のように用いる。呪霊をもつ獣皮によって祟(たたり)を祓い、欲するところを求めたので、その法を術という。術の従う朮は、古くは求と同形である。

咎(キュウ/コウ・8画)

咎 金文
毓且丁卣・商代晚期

初出は甲骨文。カールグレン上古音はɡʰ(上)。平声の音は不明。藤堂上古音はgɪog(上)またはkog(平)。

学研漢和大字典

会意。各は、格(ひっかかる)の原字で、歩く人の足がかたい石につかえた姿。咎は「人+各(つかえる)」で、障害につかえて順調な進みが曲がることを示す。

語義

キュウ(上)
  1. {名詞}とが。さしさわり。《対語》⇒休。「休咎(キュウキュウ)(吉凶)」「自遺其咎=自ら其の咎を遺す」〔老子・九〕
  2. {名詞}とが。過失。「以督厥咎=以て厥の咎を督さんことを」〔蜀志・諸葛亮〕
  3. {動詞}とがめる(とがむ)。失敗を指摘してこだわる。「既往不咎=既往は咎めず」〔論語・八佾〕
  4. {動詞}さしつかえる。「殺之何咎=これを殺すも何ぞ咎あらんや」〔李華・弔古戦場文〕
コウ(平)
  1. 「咎陶(コウヨウ)」とは、帝舜(シュン)の臣下の名。「皋陶(コウヨウ)」とも。

字通

[会意]人+夂(ち)+口。夂(ち)+口は各。神の降格する意で「各(いた)る」とよむ。口は祝詞を収める器の𠙵(さい)。神が降格して、人に罰することを求める呪詛を行う意。その呪詛によって降されるものを咎という。〔説文〕八上に「災なり。人に從ひ、各に從ふ。各なる者は相ひ違ふなり」と、各を各異の意とするが、呪詛して人にもたらされる災禍を咎といい、神罰を受けることをも咎という。金文の〔ショウ 外字盨(しょうしゆ)〕に「廼(すなは)ち余一人の咎を作(な)さん」、〔詩、小雅、伐木〕「我をして咎有らしむること微(なか)れ」のようにいう。金文に■(疒+咎)という字があり、疒(だく)に従うのは、禍殃として病気となる意であろう。

疚(キュウ・8画)

初出は不明。論語の時代に存在した証拠がない。カールグレン上古音はki̯ŭɡ(去)。同音に久、九、玖”黒い玉”、灸。下掲『字通』が「声義の関係があるようである」という「咎」のカ音はgʰ(上)。部品の「久」初出も秦系戦国文字

学研漢和大字典

会意兼形声。久は「人が背をかがめた姿+ヽ印」の会意文字で、背のかがんだ老人のことである。ヽ印は老人が背をかがめて亀(カメ)のようになった、その背部をさし示す指事記号であろう。故旧の旧と同系。疚は「疒+(音符)久」で、久が、久しいという意に専用されたため、疚が原義をあらわすようになった。

語義

  1. {動詞・名詞}なやむ。やむ。老衰や病気のため、亀(カメ)のように背がかがんだ形になる。また、長わずらいや、老衰。
  2. {動詞・形容詞}やむ。やましい(やまし)。気がとがめる。なやます。また、そのさま。「内省不疚、夫何憂何懼=内に省みて疚しからざれば、それ何をか憂へ何をか懼れん」〔論語・顔淵〕
  3. 「在疚(ザイキュウ)」とは、喪に服していること。《同義語》⇒在柩。

字通

[形声]声符は久(きゅう)。〔釈名、釈疾病〕に「疚は久なり。久しく體中に在るなり」と久疾の意とするが、疚悔の意があることからいえば、咎と声義の関係があるようである。

急(キュウ・9画)

初出は戦国文字。論語の時代に存在しない。カールグレン上古音はki̯əp(入)。

学研漢和大字典

会意兼形声。及(キュウ)は「人+又(て)」の会意文字で、逃げる人のうしろから手を伸ばしてがぶっとつかまえるさま。たるみなく追いかけてやっと届く意を含む。急は「心+(音符)及」で、せかせかと追いつくような気持ち、ゆとりなく迫るような気持ちのこと。吸(息をゆるめず、ひたひたとすいつく)と同系。

語義

  1. {動詞}いそぐ。ゆとりがなくせかせかと物事をする。せく。《対語》⇒緩(カン)・寛(カン)。《類義語》忙(ボウ)・躁(ソウ)。「大王急渡=大王急ぎ渡れ」〔史記・項羽〕
  2. (キュウニ)(キフニ)・(キュウナ)(キフナ){副詞}せかせかと。ひたひたと。ゆるみなく追いたてるように。「急迫」「県官急索租=県官急に租を索む」〔杜甫・兵車行〕
  3. (キュウナリ)(キフナリ){形容詞}きつい。ゆとりがない。ひたひたとさし迫ったさま。《類義語》迫・緊。「緊急」「風急=風急なり」「持法急=法を持すること急なり」「相煎何太急=相ひ煎ること何ぞ太だ急なる」〔曹植・七歩詩〕
  4. {形容詞}傾斜がきつい。「急坂」。
  5. {名詞}変事・災害などで危険がさし迫った事態。「告急=急を告ぐ」「以先国家之急而後私讐也=もって国家の急を先にして私讐を後にすればなり」〔史記・廉頗藺相如〕
  6. 《日本語での特別な意味》
    ①きゅう(きふ)。雅楽などで、最後の拍子の速い部分。「序破急」。
    ②「急行電車」の略。「特急」「準急」。

字通

[形声]声符は及(きゅう)。〔説文〕十下に「褊(かたよ)るなり」とあり、また〔爾雅、釈言〕に「褊は急なり」とあり、互訓の字。及は後ろより人を追う意の字で、その心情を急という。心急ぐものは一褊に執するところがある。急遽・急速の意より、また緊急・急要の意となる。

糾(キュウ・9画)

丩 金文
「丩」湯鼎・春秋

初出は前漢の隷書。論語の時代に存在しない。カールグレン上古音はki̯ŏɡ(上)。同音に虯”みづち”・赳”つよい・はたらき”。部品のキュウ(カ音不明)の語義は”まつわる・まとう”と『大漢和辞典』は言い、初出は甲骨文

学研漢和大字典

会意兼形声。右側の字(音キュウ)は、二本のひもをよじるさまを描いた象形文字。糾はそれを音符とし、糸を加えた字で、ひもをあわせて一本によりあわせること。叫(のどを締めて金切り声を出す)・求(中心にむけてぐっと締める)などと同系。「糺」の代用字としても使う。「糾・糾弾・糾明」。

語義

  1. {動詞}あざなう(あざなふ)。よじる(よづ・よぢる)。ひもをよりあわせる。また、転じて、人々をひとまとめに寄せ集める。「糾合」。
  2. {名詞}よりなわ(よりなは)。よりあわせたなわ。
  3. {動詞・形容詞}よじれる(よぢる)。まとう(まとふ)。何本ものひも状のものがよじれる。また、中心となる物にいくすじもがまといつく。「糾紛(よじれて乱れる)」「糾纏(キュウテン)」。
  4. {動詞}ただす。横にそれないように、中心に向けて締める。悪人を締めあげる。きつくとり締まる。《同義語》⇒糺。《類義語》絞。「糾察」「以五刑糾万民=五刑を以て万民を糾す」〔周礼・大司寇〕

字通

[形声]声符は丩(きゅう)。丩は縄をより合わせる形で、糾の初文。〔説文〕三上に「繩三合するなり」とみえる。あざなうように合するを糾合、また糾縄を以て人を責め糾すので、糾察・糾弾の意となる。

躬(キュウ・10画)

躬 金文大篆 身 金文

「躬」(金文大篆)・「身」 邾公華鐘・春秋晩期

初出は戦国文字で、論語の時代に存在しない。カールグレン上古音は子音のkのみ(平)。同音は論語語釈「救」を参照。母音は不明。藤堂上古音はkɪoŋ。部品の身の字(カ音ɕi̯ĕn、藤音thien)は甲骨文より存在したので、論語時代の置換候補になりうる。論語語釈「身」を参照。

学研漢和大字典

会意兼形声。「身+(音符)弓(弓なりに曲がる)」で、屈曲するからだ。▽本字の猥は「身+呂(連なった背骨)」の会意文字。弓(曲がる)・窮(キュウ)(曲がりくねる)と同系。類義語に自。

語義

  1. {名詞}み。前後左右に曲がるからだ。背をかがめたからだ。《類義語》身。「鞠躬(キッキュウ)(からだをまるく曲げておじぎする)」「在爾躬=爾の躬に在り」〔論語・尭曰〕
  2. {名詞}わがみ。自身。
  3. {動詞}からだを弓形に曲げる。
  4. {副詞}みずから(みづから)。自分で行うさま。自分で。《類義語》身。「禹稷躬稼而有天下=禹稷は躬ら稼して天下を有つ」〔論語・憲問〕

字通

[形声]声符は弓(きゅう)。〔説文〕七下に字を呂部に属して躳に作り、「身なり。身に從ひ、呂に從ふ」と会意とし、別に一体として躬をあげる。呂は脊骨・脊椎の象。漢碑に躬に作るものが多く、躳はその譌形であろうと思われる。

宮(キュウ・10画)

宮 金文
散氏盤・西周末期

初出は甲骨文。カールグレン上古音は声母のk(上)のみ。同音は論語語釈「救」を参照。藤堂上古音はkɪoŋ。「グウ」は慣用音、呉音は「ク・クウ」

学研漢和大字典

会意。「宀(やね)+二つの口印(くちではなくて、建物のスペース)」で、奥深く、いくむねもの建物があることを示す。窮(奥深い)・究(奥深い)・曲(細かくはいりこむ)と同系。類義語に家。「神社」の意味では「グウ」「クウ」と読む。

語義

  1. {名詞}みや。王の住む御殿。《類義語》府(倉屋敷)。「宮中」「壊宮室以為曇池=宮室を壊ちて以て曇池と為す」〔孟子・滕下〕
  2. {名詞}いえ(いへ)。奥深く、いくむねもある建物。大きい屋敷。「一畝之宮、而花木叢萃=一畝之宮にして、而花木叢萃す」〔孟挑・人面桃花〕
  3. {名詞}宮殿や、道教・ラマ教の神殿の名につけることば。「驪宮(リキュウ)」。
  4. {名詞}宮中に住む皇族につける呼び名。「正宮(セイキュウ)(皇后)」「東宮(トウグウ)(皇太子)」。
  5. {名詞}五音の一つ。古代中国の音楽で、階名をあらわす。七音のドにあたる。▽五音は宮・商・角・徴(チ)・羽。「十二律」は、音名。「宮調」。
  6. {名詞}五刑の一つ。生殖器を除く刑罰。「宮刑」。
  7. {名詞}星座のこと。「黄道十二宮」。
  8. {単位詞}中国の天文学で、宇宙空間の角度をあらわすことば。一宮は、円周の十二分の一の、一つの円弧の両端の点が円心に向かってなす角度。三十度。
  9. 《日本語での特別な意味》
    ①みや。皇族。また、皇族の呼び名。「宮家」。
    ②みや。神社。「一の宮」。

字通

[会意]宀(べん)+呂(りよ)。宀は廟屋の象、呂は宮室の相並ぶ平面形。〔説文〕七下に「室なり」という。金文の〔伊𣪘〕に「王、周の康宮に在り。旦に王、穆の大室に格(いた)り、位に卽(つ)く」とみえるように、宮中に儀礼の室があり、室とはもと神位のある所、すなわち大室をいう。

救(キュウ・11画)

救 金文 救 金文
周穴毛匜・西周末期/周穴毛匜・西周末期

初出は西周末期の金文。カールグレン上古音はk(去)。同音は下記の通り。藤堂上古音はkɪog。字形は「求」+「攴」(攵)。害虫を叩き潰すさま。「攻」(毒藥攻邪『黄帝内経』)「降」と同音であることから、原義は恐らく”虫下しして治療する”。「漢語多功能字庫」によると、金文では”救う”の意に用いた(秦王鐘・春秋末期)。

初出 声調 備考
キュウ 楚系戦国文字 →語釈
いえ いへ 甲骨文 →語釈
せめる コウ うつ 春秋金文 →語釈
長いさま もる 説文解字
フクロウ キョウ ふくろふ 楚系戦国文字
コウ さは 秦系戦国文字 →語釈
大袋 おほふくろ 説文解字
太鼓 おほづつみ 秦系戦国文字
もくこく・南京はぜ 木の名 説文解字
はと キュウ はと 前漢隷書
みだす コウ みだす 説文解字
にら キュウ にら 楚系戦国文字
くだる コウ くだる 甲骨文 →語釈
洪水 コウ くだる 甲骨文

学研漢和大字典

会意兼形声。求は、動物の毛皮を引き締めてからだに巻くさまを描いた象形文字。引き締める意を含む。裘(キュウ)(皮衣)の原字。救は「攴(動詞の記号)+(音符)求」で、引き締めて食い止めること。絿(キュウ)(ぐいと引き締めるひも)・球(中心に向かって引き締まった球体)と同系。類義語に助。

語義

  1. {動詞}すくう(すくふ)。食い止める。助ける。▽身投げや失敗などを、ぐいと引き止めて助けるのが、もとの意。《類義語》助。「救助」「救死=死を救ふ」「女弗能救与=女救ふこと能はざる」〔論語・八飲〕
  2. {名詞}すくい(すくひ)。困難を食い止め、または難儀の中からすくい出すこと。助け。「求救於斉=救ひを斉に求む」〔戦国策・趙

字通

[会意]求+攴(ぼく)。求は呪霊をもつ獣の形。これを殴(う)ってその呪霊を刺激し、他から加えられている呪詛を免れる共感呪術的な方法を示す字。それで救済・救助の意となる。〔説文〕三下に「止むるなり」とし、求(きゆう)声とするが、攴部の字には殴つべき対象に対して攴を加えるものが多い。殺・改なども、みな同じ立意の字である。

翕(キュウ・12画)

初出は後漢の『説文解字』。カールグレン上古音はxi̯əp(入)。

学研漢和大字典

会意。「隕+(音符)合(コウ)」で、鳥が羽をあわせて飛びたつ用意をすることをあらわす。合と同系。

語義

  1. {動詞}あつまる。おさめる(をさむ)。あう(あふ)。開いたものを寄せあわせる。《対語》⇒開。《類義語》合。「翕合(キュウゴウ)」。
  2. {形容詞}物事がいっせいにおこるさま。「翕然(キュウゼン)」。
  3. {形容詞}あつまって盛んなさま。

字通

[形声]声符は合(ごう)。合に給(きゆう)の声がある。〔説文〕四上に「起(た)つなり」とあり、鳥がいっせいに飛び立つ意。〔論語、八佾〕に孔子が楽章のことを論ずる語に「始めて作(おこ)るや、翕如たり」というのは、諸楽がいっせいに吹奏をはじめる意。その音の相和するさまをいう。鳥がいっせいに集まること、またその動作が敏速であることをいう。

給(キュウ・12画)

初出は秦系戦国文字。論語の時代に存在しない。カールグレン上古音はki̯əp(入)。同音は急、汲、級、彶”急いで行く”。

学研漢和大字典

会意。「糸+合(欠けめをふさぐ)」で、織り糸の欠けた所をすぐつぎあわすことを示す。欠けめや、すきを入れずに、くっつくの意を含む。吸(すきまを入れず息ですいあげる)・及(あき間をつめて逃げる者においつく)などと同系。類義語の与(與)は、いっしょに持てるように、わけあたえること。予(ヨ)は、自分の物を相手の前に押しやってあたえること。「相手の動作を表すことばにつけて敬意を表すことば」は、口語では普通、命令形以外は用いない。▽「たまう」「たまわる」は、「賜う」「賜る」とも書く。

語義

  1. (キュウス)(キフス){動詞}たりる(たる)。たす。欠けめをすぐつぎたす。「補給」「秋省斂而助不給=秋は省斂して不給を助く」〔孟子・梁下〕。「給人之求=人の求めを給す」〔荀子・礼論〕
  2. (キュウス)(キフス){動詞}あたえる(あたふ)。たまう(たまふ)。不足している者にあてがう。目下の者にあたえる。「支給」「酒肉衣服、給娥甚豊=酒肉衣服、娥に給すること甚だ豊かなり」〔謝小娥伝〕
  3. (キュウス)(キフス){動詞}用に充てる。また、必要に応じる。「給仕」「給事」。
  4. {名詞}あてがい。「俸給」「給不足需=給需に足らず」。
  5. 「口給(コウキュウ)」とは、巧みな弁舌で、とっさにつぎつぎといいたすこと。「禦人以口給=人を禦ぐに口給を以てす」〔論語・公冶長〕
  6. 《日本語での特別な意味》たまう(たまふ)。他人の動作にそえて尊敬の意をあらわすことば。

字通

[形声]声符は合(ごう)。合に翕・歙(きゆう)の声がある。合を金文に答の義に用いる例があり、対(こた)えて給付する意がある。〔説文〕十三上に「相ひ足すなり」とあり、足らざるところを充足するをいう。〔荀子、非十二子〕に「齊給便利にして、禮義に順(したが)はず」とは便速にしてなりふりかまわぬ意。また〔荘子、天地〕「給數(きふさく)にして以て敏なり」とは、すみやかにすることをいう。

廄/厩(キュウ・12画)

厩 金文

卲王之諻簋・春秋末期

初出は春秋末期の金文。カールグレン上古音はkǐu(去)。

学研漢和大字典

会意兼形声。皀(キュウ)は、ごちそうを盛った姿に、匕印のフォークを添えた形。殳は動詞の記号。二つをあわせて食事を与えることを示す。廏はそれを音符とし、广(いえ)をそえた字で、馬に食事を与える馬屋。▽一説に糾合の糾(キュウ)(集める)と同系で、馬を集めて飼う所と解する。

語義

  1. {名詞}うまや。馬を集めて、かいばを食わせる所。「廏舎(キュウシャ)」「廏焚=廏焚けたり」〔論語・郷党〕

字通

[形声]声符は𣪘(きゆう)。〔説文〕九下に「馬舍なり」とし、「周禮に曰く、馬二百十四匹有るを廏と爲す。廏に僕夫有り」と〔周礼、夏官、校人〕の文によって説く。金文の〔貉子卣(はくしゆう)〕に「王■(冖+牛)を■(广+去+欠)(きよ)に■(𤔔+攴)(をさ)む」とあり、〔説文〕阹字条十四下に「山谷に依りて牛馬の圈を爲すなり」というように、阹が養馬のところであった。廏馬の数は〔周礼注〕によると二百十六匹である。

裘(キュウ・13画)

裘 金文
五祀衛鼎・西周中期

初出は甲骨文。カールグレン上古音は声母のɡʰ(平)のみ。藤堂上古音はgɪog。「求」と同音。

学研漢和大字典

会意兼形声。求は、裘の原字で、頭・両足・尾のついたままのかわごろもの姿を描いた象形文字。裘は「衣+(音符)求」。求がぐっと引きしめる→もとめる、の意に使われるようになったため、かわごろもの意には裘が使われるようになった。帯でぐっと引きしめてからだにまとう、かわごろも。類義語に皮。

語義

{名詞}かわごろも(かはごろも)。獣の毛皮でつくった服。「狐裘(コキュウ)」「緇衣羔裘=緇衣(しい)には羔(こひつじ)の裘」〔論語・郷党〕

字通

[会意]求+衣。篆文の字形は衣中に求を加える。求は獣皮の象。〔説文〕八上に「皮衣なり」とし、求(きゆう)声とするが、求は裘の初文。また「一に曰く、象形。衰と同意なり」という。衰(さい)は衣に麻絰(まてつ)を加えた服喪の衣で、裘とは何の関係もない。

嗅(キュウ・13画)

初出は不明。論語の時代に存在しない。カールグレン上古音は不明(去)。藤堂上古音はhɪog。部品の「臭」(藤音kjogまたはkɪog)に”においをかぐ”の語釈がある。

学研漢和大字典

会意兼形声。闌は、上古にはキュウといい「自(はな)+犬」の会意文字で、犬が鼻の細い穴を通してかぐこと。のち臭(=臭)が名詞「におい」をあらわすのに専用されたため、嗅の字で動詞をあらわすようになった。嗅は「口+(音符)臭(シュウ)」。

語義

  1. {動詞}かぐ。においをかぐ。《同義語》⇒軋(キュウ)。「嗅覚(キュウカク)」「三嗅而作=三たび嗅ぎて而作つ」〔論語・郷党〕

字通

[会意]正字は齅に作り、鼻+臭(臭)。嗅はその略字。〔説文〕四上に「鼻を以て臭に就くなり」といい、臭の亦声とし、「讀みて畜牲の畜(きう)の若(ごと)くす」という。その感覚を嗅覚、その器官を嗅官という。〔論語、郷党〕「三嗅して作(た)つ」は、鳥が警戒して飛び立つ意であるが、この嗅は狊(けき)の誤りであろう。〔爾雅、釈獣〕に、臭とは鳥が両翼を張る意であるという。

窮(キュウ・15画)

究 金文 究 外字
究 外字」曶鼎・西周中期

初出は楚系戦国文字。論語の時代に存在しない。カールグレン上古音はɡʰ(平)。同音多数。部品の躬k(平)に”行き詰まる”の語釈は『大漢和辞典』に無い。近音同訓究k(去)の初出は西周中期の金文。ただし究 外字という大変複雑な字形。糾ki̯ŏɡ(上)の初出は前漢の隷書。穹kʰi̯ŭŋ(平)の初出は後漢の説文解字。なお九ki̯ŭɡ(上)には”数の窮まり”の語義を『大漢和辞典』が載せる。初出はもちろん甲骨文。

学研漢和大字典

会意兼形声。「穴(あな)+(音符)躬(キュウ)(かがむ、曲げる)」で、曲がりくねって先がつかえた穴。穹(キュウ)(弓形に曲がる)と同系。究とも縁が近い。異字同訓にきわまる・きわめる 窮まる・窮める「進退窮まる。窮まりなき宇宙。真理を窮(究)める」 極まる・極める「不都合極まる言動。山頂を極める。栄華を極める。見極める。極めて優秀な成績」 究める「学を究(窮)める」。

語義

  1. (キュウス){動詞・形容詞}きわまる(きはまる)。物事がぎりぎりのところまでいってつかえる。また、いきづまって動きがとれない。おしつまったさま。《類義語》困。「困窮」「図窮而匕首見=図窮まりて而匕首見はる」〔史記・荊軻〕。「君子固窮=君子固(もと)より窮す」〔論語・衛霊公〕
  2. {形容詞}生活が行きづまっている。《対語》通・達。「貧窮」「窮人」。
  3. {動詞}きわめる(きはむ)。ぎりぎりのところまでやり尽くす。つきつめる。さいごまで見とどける。《類義語》究・尽。「窮尽(きわめつくす)」「窮理=理を窮む」「上窮碧落下黄泉=上は碧落を窮め下は黄泉」〔白居易・長恨歌〕
  4. {名詞}行きづまり。いちばん奥の所。はて。へんぴないなか。「窮極」「窮棲(キュウセイ)」。
  5. 「無窮(ムキュウ)」「不窮(フキュウ)」とは、どこまでいってもつかえ止まらないこと。《同義語》無尽。「不窮之功(フキュウノコウ)」「天壌無窮(天地のように永遠に続く)」「楽亦無窮也=楽しみも亦た窮まること無きなり」〔欧陽脩・酔翁亭記〕

字通

[会意]穴+躬(きゅう)。穴中に躬(み)をおく形で、進退に窮する意。〔説文〕七下に「極まるなり」と訓し、竆を正形とする。究・穹と声義近く、「究は窮なり」「穹は窮なり」のように互訓する。極は上下両木の間に人を入れて、これを窮極する意で、罪状を責め糾す意。窮にもその意があり、罪状を糾問することを窮治という。

牛(ギュウ・4画)

牛 金文
牛鼎・西周早期

初出は甲骨文。カールグレン上古音はŋi̯ŭɡ(平)。

学研漢和大字典

象形。牛の頭部を描いたもの。ンゴウという鳴き声をまねた擬声語であろう。

語義

  1. {名詞}うし。家畜の一種。▽「楚辞」の天問や「山海経」によると、殷(イン)の王子王亥(オウガイ)がはじめて牛を飼いならしたという。
  2. {名詞}二十八宿の一つ。規準星(牽牛(ケンギュウ)中央大星)は今のやぎ座にふくまれる。いなみ。
  3. {形容詞}牛のように大ぐらいでのっそりとしたさま。「牛飲馬食」「牛歩」。
  4. 「牛蒡(ゴボウ)」とは、野菜の名。根は長く、食用・薬用にする。▽平安時代のころ呉音読みをして日本語に借用された。
  5. 《日本語での特別な意味》ぎゅう(ぎう)。牛の肉。牛肉。

字通

[象形]牛を正面からみた形。羊も同じ意象の字。〔説文〕二上に「大牲なり」とし、「角頭三、封・尾の形に象る」という。封とは肩甲墳起のところ。あるいは腰骨の形としてもよい。牛は犠牲の首たるもので、神事に供するときには一元大武という。武は足。盟誓のときにその血を用いる。主盟のことを「牛耳を執る」という。その半肉を半、その肉を「胖(ゆた)か」という。西周期の〔舀鼎(こつてい)〕は高さ二尺、深さ九寸、銘文四百四字に及ぶ大鼎で、「䵼牛鼎(しようぎゆうてい)」(牛を䵼(に)る鼎)と称している。

警告

漢文業界の者は嘘つき中国人そっくりで、微塵も信用ならぬ(→理由)ので、数言申し上ぐ。


出典明記の引用は自由だし、訳者に連絡のお気遣いも不要だが(ただしネット上では可動リンク必須)、盗用・剽窃は居合を嗜む有段者の訳者が、櫓櫂の及ぶ限り追い詰める。

言い訳無用。訳者が「やった」と思ったら、全国どこでも押し込む。頭にきたら海外にも出かけ、バッサリやってすぐ帰る。訳者は暇であるし、惜しむものを持っていないし、面倒が苦にならぬゆえ、こうして古典を研究している。

刀の手入れは毎日している。そして未だ人を斬ったことが無い。

盗作・剽窃の通報歓迎。下手人を成敗した後、薄謝進呈。他人にやらせた者も同罪、まずそ奴から追い回してぶっ○○る。もし長生きしたいなら、悪いことはせぬものだ。朴ったら○すぞ。それでもやるなら、覚悟致せ。



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