論語語釈「キン・ギン」

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語釈 urlリンクミス

今(キン・4画)

今 甲骨文 今 金文
甲骨文/大盂鼎・西周早期

初出は甲骨文。「コン」は呉音。カールグレン上古音はki̯əm(平)。字形は「シュウ」”集める”+「一」で、一箇所に人を集めるさまだが、それがなぜ”いま”を意味するのかは分からない。「一」を欠く字形もあり、英語で人を集めてものを言う際の第一声が”now”なのと何か関係があるかも知れない。「漢語多功能字庫」によると、甲骨文では”今日”を意味し、金文でも同様(縣妃簋・西周中期)、また”いま”を意味するという(訓匜・西周)。

学研漢和大字典

会意。「亼印(ふたで囲んで押さえたことを示す)+一印(とり押さえたものを示す)」で、囲みとじて押さえるの意味をあらわす。のがさずに捕らえ押さえている時間、目前にとり押さえた事態などの意を含む。また、含(ガン)(周囲をふさぎ口の中に含む)や、吟(ギン)(口をふさいで声だけ出す)などに含まれる。禽(キン)(とり押さえる)と同系。付表では、「今朝」を「けさ」「今日」を「きょう」「今年」を「ことし」と読む。

語義

  1. {名詞}いま。現在。《対語》⇒古。「今上(キンジョウ)」「今也不然=今や然らず」〔孟子・梁下〕
  2. {副詞}いまに。→語法「①」。
  3. {副詞}いま。→語法「③」

語法

①「いまに」とよみ、「まもなく」「そのうちきっと」と訳す。未来推量の意を示す。「吾属今為之虜矣=吾が属今これが虜と為らんとす」〈われわれはそのうちきっとこいつ(劉邦)のとりことなるだろう〉〔史記・項羽〕

②「いま」とよみ、「今は」「ところで」と訳す。過去と現在、説話と現実などの対比で、話題の転換を示す接続詞。「今天下三分、益州疲弊=今天下三分して、益州疲弊(ひへい)す」〈今や、天下は三つにわかれ、(そのうちの)益州は弱り衰えている〉〔諸葛亮・出師表〕

③「いま」とよみ、「もし~ならば」と訳す。順接の仮定条件の意を示す。▽「則」「必」とともに多く用いる。「今有殺人者=今人を殺す者有り」〈たとえば、ここに人を殺した者がいるとしよう〉〔孟子・公下〕

④「今者」は、「いま」とよみ、「今」「今日」と訳す。「今者、妾観其出、志念深矣=今者(いま)、妾その出づるを観るに、志念深し」〈今日、わたくしはそのお出ましを拝見しましたが、ほんとうに思慮深いお姿でした〉〔史記・管晏〕

字通

[仮借]もと象形の字で、壺などの蓋栓の形。酒壺に蓋栓を施した形を酓(あん)という。飮(飲)の初形は酓に従い、㱃に作り、飲酒をいう。今は蓋栓の形であるが、その意に用いることはなく、のちもっぱら時の今昔の意に用いる。すなわち仮借の用法である。昔も腊肉の象であるが、のち仮借して今昔の意にのみ用い、初義には別に腊の字を作ってそれにあてた。〔説文〕五下に「是の時なり。亼(しふ)に從ひ、乁(きふ)に從ふ。乁は古文及なり」と字を会意とするが、字は蓋栓の形にすぎず、酓・㱃によって字の初義を考えることができる。今声の字に、上より蓋(ふた)して閉塞する意をもつものが多い。

斤(キン・4画)

斤 謹 金文
征人鼎・西周早期

初出は甲骨文。カールグレン上古音はki̯ən(平)。同音は論語語釈「謹」を参照。字形は斧のかね部分。「漢語多功能字庫」は甲骨文での語義を不明とし、金文では地名(天君鼎・年代不詳)、重量単位(王子中府鼎・年代不詳)の用例を載せ、「謹」への転用は戦国の竹簡からと言う。

学研漢和大字典

象形。斤とは、ある物に、おのの刃を近づけて切ろうとするさまを描いたもので、おののこと。また、その石おのを、はかりの分銅に用いて、物の重さをはかったため、目方の単位となった。

語義

  1. {名詞}おの(をの)。《類義語》斧(フ)。「斧斤伐之=斧斤もてこれを伐る」〔孟子・告上〕
  2. {単位詞}重さの単位。一斤は十六両で、周代には二五六グラム、唐代以後は約六〇〇グラム、現代の中国では、五〇〇グラム。
  3. 「斤斤(キンキン)」とは、近づいて細かく見定めるさま。▽去声に読む。
  4. 《日本語での特別な意味》尺貫法の重さの単位。一斤は、普通一六〇匁で、約六〇〇グラム。ものによって一定していない。

字通

[象形]おのの形。〔説文〕十四上に「木を斫(き)るなり」とあり、手斧をいう。武器に用い、斤を両手でふりあげている形は兵。兵とは武器をいう。また重量の単位として用いる。

近(キン・7画)

近 楚系戦国文字 近 秦系戦国文字
(楚系戦国文字・秦系戦国文字)

初出は楚系戦国文字。カールグレン上古音はɡʰi̯ən(上/去) で、同音は論語語釈「勤」を参照。その中に「勤」「懃」(つとめる)「芹」(せり)「慬」(うれえる・つつしむ)があるが”ちかい”の語釈が『大漢和辞典』にない。同訓同音の「㞬」は小篆にすら見られない。同訓近音の「幾」ɡʰi̯ərまたはki̯ərは西周中期から見られる。詳細は論語語釈「幾」を参照。

戦国文字の字形は「チャク」(辶)”みちのり”+「斤」”おの”で、「斤」は音符、全体で”道のりが近い”。

なお『字通』は金文の時代、”ちかい”に「𤞷」(音不明、白川説では=)ȵi̯ărを用いたという(大克鼎・西周中期)。「小学堂」「漢語多功能字庫」「国学大師」はそろって「邇」の金文を載せていない。

下記『学研漢和大字典』の解字から、部品の「斤」ki̯ən(平)が論語時代の置換字になりうるが、論語の時代までにその語義を確認できない。「漢語多功能字庫」は、戦国時代の金文を載せ、人名に用いる例があるという。

『学研漢和大字典』による音の変遷
上古周秦 中古隋唐 現代北京語 ピンイン
gɪən gɪən kiən tšɪən jìn
kɪər kɪəi kɪəi tši

学研漢和大字典

会意兼形声。斤(キン)は、ふたつの線がふれそうになったさま。または、厂型の物に、<型の斧(オノ)の先端がちかづいたさまとみてもよい。近は「辵(すすむ)+(音符)斤」で、そばにちかよっていくこと。祈(キ)(幸福にちかづこうとする)・幾(キ)(ちかい)と同系。類義語の迫は、紙ひとえにせまること。附は、くっつくこと。切は、肌身をこするように、じかにこたえること。親は、じかに接すること。逼(ヒツ)・(ヒョク)は、ぴったりとくっつきそうにせまること。

意味

  1. {形容詞・名詞}ちかい(ちかし)。そばによって、ふれそうになっている。距離・場所・時間のへだたりが少ない。ちかい所。ちかくにあるもの。《対語》⇒遠。《類義語》幾(キ)・迫・切・親。「近接」「近代」「付近」。
  2. {形容詞}ちかい(ちかし)。身ぢかである。手ぢかでわかりやすい。《対語》遠。「言近而指遠者、善言也=言近くして而指の遠き者は、善言也」〔孟子・尽下〕
  3. {形容詞}ちかい(ちかし)。よく似ている。「近似」「近於愚=愚に近し」。
  4. {動詞}ちかづく。そばによっていく。▽去声に読む。《対語》遠(とおざかる)。「近利=利に近づく」。
  5. (キンス){動詞}身ぢかによせて親しむ。▽去声に読む。「近幸(そばにちかづけてかわいがる)」「有七孺子皆近=七孺子有り皆近せらる」〔戦国策・斉〕

字通

[形声]声符は斤(きん)。〔説文〕二下に「附くなり」とあり、附近の意。もと場所的に接近する意。のち側近・卑近、また近時・近年のように関係や時間の意に用いる。〔詩、大雅、崧高〕「往け近(こ)の王舅」は䢋(き)の誤字で、䢋は助詞。「往けや王舅」の意である。

均(キン・7画)

均 金文
蔡侯紐鐘・春秋末期

初出は春秋末期の金文。カールグレン上古音はki̯wĕn(平)。

学研漢和大字典

会意兼形声。勻(イン)は「手をひと回りさせた姿+二印(そろえる)」の会意文字で、全部にそろえて平均させること。均は「土+(音符)勻」で、土をならして全部に行き渡らせることを示す。類義語に斉。「ひとしい」は「等しい」「斉しい」とも書く。

語義

キン(平)
  1. {形容詞}ひとしい(ひとし)。全部に公平に行き渡っているさま。「平均」「不患寡、而患不均=寡なきを患へず、均しからざるを患ふ」〔論語・季氏〕
  2. {動詞}ひとしくする(ひとしくす)。公平に行き渡らせる。「願言均此施=願はくは言此の施しを均しうせん」〔蘇軾・足柳公権聯句〕
  3. {副詞}ひとしく。平均して。
ウン(去)
  1. {名詞}詩句の響きをあわせること。また、その調和のとれた部分。母音を含む音節の後半部。▽たとえば、単・干のanの部分。《同義語》⇒韻・韵(イン)。「押均(=押韻)」。

字通

[形声]声符は勻(きん)。勻は同量のものを鋳こんだ銅塊の形である〓に従う字。それで均等・平均の意がある。金もその形に従い、もと一定量の銅塊を意味する字であった。均は土をならして平衡にすること。〔説文〕十三下に「平徧なるなり」とし、字を会意にして亦声とするが、勻に平均の意があり、土は限定符である。

矜(キン・9画)

初出は楚系戦国文字。論語の時代に存在しない。カールグレン上古音はɡʰi̯ĕn(平)。同音は存在しない。藤堂上古音では”ほこる”の語義でgɪən(平)、”あわれむ”の語義でkɪəm(平)。下掲『学研漢和大字典』では”あわれむ”の語義は「憐」藤音len(平)にあてたものという。「矜」kɪəm(平)とずいぶん違うが、つくりの「令」の藤音はlɪeŋ(去・平)で、音通と言えるのだろう。

憐 石鼓文
「憐」石鼓文-呉人・春秋末期

『大漢和辞典』で音キン訓ほこるは他に存在しない。音キョウ訓ほこるに「𠑪」(初出・上古音不明)、「悙」(初出・上古音不明)、「憍」ki̯oɡ(平)・初出は楚系戦国文字、「譀」ɣam(去)・初出は後漢の説文解字がある。音キョウ・キン訓あわれむに「鹶」(初出・上古音不明)。

近音に「隱」(隠)”あわれむ”ʔi̯ən(上・去)、「憫」”あわれむ”mi̯wæn(上)、「愍」”あわれむ”mi̯wæn(上)、「𢛦」(イン)”あわれむ”(初出・上古音不明)、「憐」lien(初出は春秋末期の石鼓文、上)。

「国学大師」による古代の異体字に「矝」。初出は楚系戦国文字。論語語釈「矝」を参照。

呉音は「ゴン・キョウ・ケン」。

漢語多功能字庫

(解字無し)

学研漢和大字典

矜 篆書
(篆書)

形声。篆文(テンブン)では「矛+令」、楷書(カイショ)では、「矛+今」。「あわれむ」という意味は、憐(レン)に当てたもので、「矛+(音符)令(レイ)・(レン)」。矛の柄や自信が強いの意に用いるのは「矛+(音符)今(キン)」。今では両者を混同して同一の字で書く。矜はかたく締めてとりつけた矛の柄。かたく固定することから、自信のかたいことをもあらわす。

語義

キンqín(平)
  1. {名詞}え。ほこのえ。刃物をかたくとりつけるえ。「伐棘棗而為矜=棘棗を伐りて矜と為す」〔淮南子・兵略〕
  2. {動詞}あわれむ(あはれむ)。かわいそうに思う。くよくよと思い悩む。《類義語》憐(レン)。「哀矜(アイキン)」「矜不能=不能を矜む」〔論語・子張〕
キョウjīn(平)
  1. {動詞}ほこる。かたく自信を持って自負する。「矜持(キョウジ)・(キンジ)」「君子矜而不争=君子は矜なれども争はず」〔論語・衛霊公〕
  2. {動詞}かたくまもる。
  3. 「矜矜(キョウキョウ)」とは、しっかりと構えて自信あるさま。
カンguān(平)
  1. {名詞}あわれな人。▽鰥(カン)(やもお)に当てた用法。「矜寡(カンカ)」。

字通

[形声]声符は今(きん)。〔説文〕十四上に「矛(ほこ)の柄なり」とあり、矛を意符とする字である。それが原義であろうが、用例はない。哀矜・矜持のように用いる。矛の柄を矛槿(ぼうきん)といい、矜にも槿の声がある。また「鰥寡(くわんくわ)」を「矜寡」に作ることがあり、鰥の義にも用いる。おそらく矛槿が字の原義、他の声義は仮借通用の義であろう。矜を哀矜の意とするのは、〔方言、一〕によると斉・魯の間の語であり、矜式の意は敬、矜急の意は緊、矜寡の意は鰥の仮借であろう。通用義の多い字である。

勤/勤(キン・12画)

勤 金文
㝬鐘・西周末期

初出は西周末期の金文。但し字形はつくりを欠く「堇」。現行書体の初出は戦国末期の金文。カールグレン上古音はɡʰi̯ən(平)。同音は以下の通り。「ゴン」は呉音。

初出 声調 備考
キン つとめる 西周末期の金文
せり 楚系戦国文字
つとめる 後漢隷書
うれへかなしむ 楚系戦国文字
ちかい 楚系戦国文字 上/去 →語釈

漢語多功能字庫

金文從「」,「」聲,本義是勤勞。


金文は「」の字形の系統に属し、「」の音。原義は勤労。

学研漢和大字典

会意兼形声。左側の字(音キン)は「廿(動物のあたま)+火+土」の会意文字で、燃やした動物の頭骨のように、熱気でかわいた土のこと。水気を出し尽くして、こなごなになる意を含む。勤は、それを音符とし力を加えた字で、細かいところまで力を出し尽くして余力がないこと。それから、こまめに働く意をあらわす。饉(キン)(食物を食べ尽くして残り少ない)・僅(キン)(わずか)と同系。類義語に力。異字同訓につとめる⇒努。旧字「鏥」は人名漢字として使える。

語義

  1. {動詞・名詞}つとめる(つとむ)。つとめ。いそしむ。こまめに働く。精を出す。また、そのこと。《対語》⇒怠。《類義語》労。「勤労」「精勤」「四体不勤=四体勤めず」〔論語・微子〕
  2. {形容詞}こまごまと行き届くさま。《同義語》懃。「殷勤(インギン)(=殷懃。行き届いてていねいなさま)」。
  3. 《日本語での特別な意味》
    ①つとめる(つとむ)。つとめ。会社・役所などの職員・従業員として働く。またその仕事。「欠勤」。
    ②つとめ。僧の日課としての読経(ドキョウ)。「お勤め」。

字通

[形声]声符は堇(きん)。堇は飢饉のとき巫を焚いて祈る形。力は耒(すき)の象形。農耕のことに勤苦することをいう。〔説文〕十三下に「勞するなり」とあり、勞(労)もまた力に従う。金文に堇を勤の意に用い、〔宗周鐘〕「王肇(はじ)めて文武の堇(つと)めたまへる疆土を遹省(いつせい)す」、また〔単伯鐘(ぜんはくしよう)〕「大命に勳堇せり」のようにいう。堇は勤の初文とみてよい。もと飢饉を救うために特に奔走勤労する意であろう。

禽(キン・13画)

禽 金文 禽 甲骨文
多友鼎・西周末期/甲骨文

初出は甲骨文。カールグレン上古音はgʰi̯əm(平)。「漢語多功能字庫」は「鳥を捕らえる鳥網の象形」という。

論語では子貢の弟弟子、子禽(姓は陳、諱は亢。『孔子家語』に依れば孔子より40年少)の名として現れる。

子禽問於子貢曰…。(論語学而篇10)

学研漢和大字典

禽 解字会意兼形声。もと「柄つきの網+(音符)今(キン)(ふさぐ)」の会意兼形声文字。のち、下部に會(動物の尻)を加えたもので、動物を網でおさえて逃げられぬようにふさぎとめること。擒(キン)(とらえる)の原字。吟(口をふさいでうなる)・禁(ふさぎとめる)・陰(とじこめる)などと同系。類義語の鳥は、吊(チョウ)と同系で、長く尾をつり下げたとり。「とりこ」は「擒」「虜」とも書く。

意味

  1. {名詞}とり。網やわなで捕らえる動物。また、のち、猟をして捕らえるとりのこと。「禽獣(キンジュウ)(とりやけもの)」「君子之於禽獣也=君子の禽獣におけるや」〔孟子・梁上〕
  2. {動詞・名詞}とりこにする(とりこにす)。とりこ。捕らえる。また、捕らえられたもの。《同義語》⇒擒(キン)。「何為為我禽=なんすれぞ我が禽と為るや」〔史記・淮陰侯〕

字通

[会意]亼(しゆう)+畢(ひつ)。畢(あみ)でとらえ、上から覆う形で、擒の初文。〔説文〕十四下に「走獸の總名なり。厹(じう)に從ひ、象形。今(きん)聲なり。禽・离(り)・兕(じ)は頭相ひ似たり」という。象形にして今声というのは一貫せず、离・兕とは形も似ていない。周初の金文〔禽𣪘(きんき)〕は周公の子、伯禽の器で、その字は畢(あみ)の上を覆う形に作る。〔爾雅、釈鳥〕に「二足にして羽あるもの、之れを禽と謂ふ」とみえ、鳥の意とする。〔礼記、曲礼上〕に「猩猩(しやうじやう)は能く言(ものい)へども、禽獸を離れず」のように、禽と獣とを厳しく区別せずに用いることがある。擒は禽の動詞形の字である。

錦(キン・16画)

初出は楚系戦国文字。論語の時代に存在しない。カールグレン上古音は不明(上)。王力系統ではkǐəm。『大漢和辞典』で音キン訓にしきは他に存在しない。部品の「帛」bʰăk(入)の初出は甲骨文。訓は良く通じるが音がまるで違う。論語語釈「帛」を参照。

学研漢和大字典

会意兼形声。「帛(絹織り)+(音符)金」。金糸を織りこんだ絹織物。のち、布帛(フハク)の最高のものを錦といった。

語義

  1. {名詞}にしき。金糸や色糸を織りこんだ美しい模様の織物。あや織りの生地。「文錦」。
  2. {形容詞}錦(ニシキ)のように美しい。転じて、美しくほめたたえるときのことば。「錦雲」「錦心」「錦地」。

字通

[形声]声符は金(きん)。〔説文〕七下に「襄邑の織文なり」とあり、漢代にはその地で虎文などを織成し、歳貢とした。〔書、禹貢〕に揚州の織貝を歳貢としたことがみえる。蜀錦の起源も古く、金文のヒ 外字(艹+𠀆)伯(びはく)の器に、王室に帛(錦の類)を献ずることがみえる。ヒ 外字伯は漢水流域の族であった。

謹(キン・17画)

謹 金文 堇 甲骨文
司馬楙編鎛・春秋末期/「堇」甲骨文

初出は春秋末期の金文。またごんべんを欠いた「堇」の字形の初出は甲骨文。字形は「𦰩」+「火」であり、「𦰩」は「口」+「大」”人の正面形”。天に口を利く人、つまりみこ。「堇」全体で、みこを火あぶりにするさま。原義は”雨乞いをする”・”日照り”。カールグレン上古音はki̯ən(上)。同音は下記の通り。

初出 声調 備考
キン をの 甲骨文 平/去 →語釈
すぢ 秦系戦国文字
ギン/キン たつ 晋系戦国文字
キン つつしむ 春秋末期金文
したがふ 説文解字
むながひ 西周中期金文

藤堂上古音はkɪən。同音同訓の「仱」「憖」「矜」「禁」「赾」「緊」には、甲骨文・金文が存在しない。「欽」は戦国末期の金文からしか現れない。「肵」は甲骨文から存在するが、藤堂上古音・カールグレン上古音共に不明。

斤 謹 金文
「斤」(金文)

カールグレン上古音の同音に「斤」(おの)があり、甲骨文から存在し、『大漢和辞典』に”つつしむ”の語釈を載せる。

「漢語多功能字庫」謹条によると、金文に「堇」の字形で”つつしむ”(啟卣・西周)の語義があるという。堇条によると、金文で”美玉”を(頌鼎・西周)を意味し、その他”朝見”・”勤労”・”謹慎”・国名人名を意味したとするが、出典を記していない。

漢語多功能字庫

金文寫作「」,「」是「」的後起字。啟卣:「啟從征,堇(謹)不憂(擾)。」「堇(謹)不憂(擾)」猶言「謹慎小心,沒有錯亂。」(參何琳儀、黃錫全)。參見「」。


金文では「堇」と書き、「謹」は「堇」より後に出来た。「啟卣」に、「啟從征,堇(謹)不憂(擾)。」とり、「堇(謹)不憂(擾)」とは、「慎重に気を付けよ、錯乱するな」の意。(參何琳儀、黃錫全)。「堇」条を参照。

→「堇」条

」甲骨文從𦰩從火,象一人口向上張之形,置於火上,當與《說文》「」同字,會焚人牲以求雨,表示乾旱。


「堇」は甲骨文では「𦰩」と「火」の字形に属し、人が火の上で、口を上に向けて突き出す象形。『說文解字』の「熯」と同字であり、人を焼いて雨乞いする意を示し得、日照りを意味する。

学研漢和大字典

会意兼形声文字で、右側の堇(キン)は「動物の頭+火+土」からなり、かわいた細かい土砂のこと。謹はそれを音符とし、言を加えた字で、細かく言動に気を配ること。こまごまと小さい、の意を含む。

僅(キン)(細かい、わずか)・饉(キン)(食物がわずか)などと同系。懃(キン)ときわめて近く、懇切の懇(コン)とも縁が近いことば。

意味

  1. {動詞・形容詞}つつしむ。こまかに気を配る。また、ていねいにかしこまるさま。《同義語》⇒懃。《類義語》慎。「謹慎」「謹而信=謹みて而信あり」〔論語・学而〕
  2. {動詞}つつしむ。こまかに気を配って、狂いやもれのないようにつとめる。「謹権量=権量を謹む」〔論語・尭曰〕
  3. {動詞}あいてをうやまって使うていねい語。「謹白」「謹啓」。

字通

[形声]声符は堇(きん)。堇は焚巫(ふんぷ)の象に従う字で、飢饉に関する語は多くその声義に従う。〔説文〕三上に「愼むなり」と謹慎の意とする。行き倒れの道殣(どうきん)を葬り、その呪霊を封ずるために祈ることを謹という。その屍を殣(きん)、埋葬することを墐(きん)という。愼(慎)もまた顚死者の象である眞(真)を填(うず)め祈る字で、謹慎とは、もと道殣に対する呪儀をいう。

饉 外字/饉(キン・20画)

饉 金文
曶鼎・西周中期

初出は西周中期の金文。カールグレン上古音はgʰi̯æn(去)。定州竹簡論語が論語先進篇25で用いている饉 外字の字は『大漢和辞典』にもなく、「饉」の異体字として扱う以外に方法が無い。

論語の時代に存在が確認され、かつ”飢える”を意味しうる言葉だが、正確に言えば語義は”不作”であって”飢える”ではない。”飢える”を意味し得る言葉は、『大漢和辞典』によれば次の通り。

(以下略)

学研漢和大字典

会意兼形声。「食+(音符)僅(とぼしい)の略体」。▽飢・饑の語尾が転じたことば。僅(キン)(わずか)と最も近い。

語義

  1. {形容詞}食物がとぼしい。《類義語》飢・饑(キ)。「饑饉(キキン)」。

字通

[形声]声符は堇(きん)。堇は飢饉に際して巫を焚いて祈る形である𦰩(かん)に従う字。堇声の字には飢饉に関するものが多い。〔説文〕五下に「蔬の孰(みの)らざるを饉と爲す」とし、饑字条に「穀の孰らざるを饑と爲す」とするが、蔬と穀との区別なく、すべて凶作を饉といい、饉による飢餓の状態を饑という。

誾(ギン・15画)

誾 金文
師簋・西周末期

初出は西周末期の金文。カールグレン上古音はŋi̯æn(平)。

学研漢和大字典

会意。「言+門」。

語義

  1. 「誾誾(ギンギン)」とは、一方にかたよらず正当なさま。また、おだやかに是非を論じるさま。「与上大夫言、誾誾如也=上大夫と言ふ、誾誾如たり」〔論語・郷党〕

字通

[会意]門+言。〔説文〕三上に「和說(わえつ)して諍(あらそ)ふなり」とし、字を門(もん)声とするが音が合わず、もとより会意字である。門は廟門。その廟門に祝詞を収める器(𠙵(さい))をおいて神意をうかがうは問。言は盟誓して祈る意で、神意を待つことを誾という。夜中幽暗のとき、そこに声を発して神意が示されることがあり、その字は闇。〔玉篇〕に「和敬の皃なり」とあり、謹んで神意を待つことをいう。

新漢語林

  1. おだやかに議論する。
  2. やわらぐさま。うちとけるさま。
  3. 香気の強いさま。

新字源

訢訢ぎんぎん・言言ぎんぎん

警告

漢文業界の者は嘘つき中国人そっくりで、微塵も信用ならぬ(→理由)ので、数言申し上ぐ。


出典明記の引用は自由だし、訳者に連絡のお気遣いも不要だが(ただしネット上では可動リンク必須)、盗用・剽窃は居合を嗜む有段者の訳者が、櫓櫂の及ぶ限り追い詰める。

言い訳無用。訳者が「やった」と思ったら、全国どこでも押し込む。頭にきたら海外にも出かけ、バッサリやってすぐ帰る。訳者は暇であるし、惜しむものを持っていないし、面倒が苦にならぬゆえ、こうして古典を研究している。

刀の手入れは毎日している。そして未だ人を斬ったことが無い。

盗作・剽窃の通報歓迎。下手人を成敗した後、薄謝進呈。他人にやらせた者も同罪、まずそ奴から追い回してぶっ○○る。もし長生きしたいなら、悪いことはせぬものだ。朴ったら○すぞ。それでもやるなら、覚悟致せ。



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