漢文読解メモ「これ」

用例

漢文で「これ」と読む主な語は次の通り。

伊(イ)
指示代名詞。「伊昔紅顔美少年=伊れ昔は紅顔の美少年」〔劉廷芝・代悲白頭翁〕
侯(コウ)
文章のはじめにつけて相手の注意をひくことば。「侯誰在矣=侯れ誰か在る矣」〔詩経・小雅・六月〕
寔(ショク)
是に当てた用法。「寔命不同=寔れ命同じからず」〔詩経・召南・小星〕
惟・維(イ)
文頭または句間において語調を転じて強調する意を示す。「其命惟新=その命これ新たなり」〔孟子・滕上〕
斯(シ)
(1)指示代名詞。「先王之道、斯為美=先王の道は、これを美と為す」〔論語・学而〕
(2)「~は…である」。用例は極めて少ない。「攻乎異端、斯害也已矣=異端を攻むるは、これ害のみ」〔論語・為政〕
旃(セン)
(1)指示代名詞。近くのものをさすことば。
(2)詩の調子を整えることば。「上慎旃哉=上はくは旃を慎まん哉」〔詩経・魏風・陟桟〕
是(シ)
(1)指示代名詞。これ、それ。「由是観之=これに由(よ)りてこれを観る」〔孟子・公上〕
(2)「~は…だ」。「自称臣是酒中仙=自ら称す臣はこれ酒中の仙と」〔杜甫・飲中八仙歌〕
(3)倒置して強調したことを明示する。「孔徳之容、唯道是従=孔徳の容、ただ道にこれ従ふ」〔老子・二一〕
(4)ここ。「今其人在是=今その人ここに在り」〔史記・魯仲連〕
時(ジ)
指示詞。「時日害喪=時の日害(いつ)か喪(ほろ)びん」〔孟子・梁上〕
此(シ)
指示詞。これ、この、ここ。「出一編書曰、読此則為王者師矣=一編の書を出して曰く、これを読まば則(すなは)ち王者の師と為らん」〔史記・留侯〕
焉(エン)
(1)ここに。一字で「於是」「於此」の意を示し、文末におかれる。「吾夫又死焉=吾が夫またここに死す」〔礼記・檀弓〕
(2)これより。一字で「於是」「於此」の意を示し、文末におかれる。「晋国天下莫強焉=晋国は天下これより強きは莫(な)し」〔孟子・梁上〕。
茲(シ)
指示代名詞。「築室于茲=室を茲に築く」〔詩経・大雅・緜〕
諸(ショ)
(1)近称の指示詞。「君子求諸己、小人求諸人=君子はこれを己に求め、小人はこれを人に求む」〔論語・衛霊公〕
(2)反語を示す。「一言而可以興邦、有諸=一言にしてもって邦(くに)を興す可きこと、これ有りや」〔論語・子路〕
這(シャ)
指示詞。これ、この。現代中国語の这。宋(ソウ)代に「これ」「この」という意味の語を遮個・適個と書き、その遮や適の草書体を誤って這と混同した。「這個(シャコ)(これ)」「這人(シャジン)(この人)」。
遮(シャ)
俗語。近称の指示詞。これ。この。宋(ソウ)・元(ゲン)の白話文に用いた。這と同じ。
雖(スイ)
「ただ~(のみ)」「これ」とよみ、限定・強調の意を示す。「ただ~だけ」「~にすぎない」。「雖有明君能決之=ただ明有るの君のみよくこれを決す」〔管子・君臣〕

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