論語解説 論語における「禮(礼)」 歴代の儒者も日中の漢学教授も、「礼」を礼儀作法や、冠婚葬祭の式次第の範疇と決めて疑わない。だが孔子生前の「礼」とはもっと幅広く、当時の君子=貴族の一般常識を指した。孔子塾で「礼」を教えたのは、それが仕官するための必須教養だったからに他ならな... 2019.04.08 論語解説
論語解説 論語における「徳」 「徳」とは人間や生物が持つ”機能”、およびそれが発揮された結果”能力”・”利益”・”恩恵”を意味する。”人徳”とは本来その意味であり、”道徳”=”社会から要請される行動原則”の語義が付け加わったのは、早くとも戦国時代になる。諸国は領民に愛国... 2019.04.20 論語解説
論語解説 論語における「仁」(旧説) ※研究の進展に伴い、訳者が従来掲げてきた仁の定義は、大幅な修正が必要と感じられたので、ひとまずそれを述べた部分を削除した。現在のところ仮説として、仁とは”貴族らしさ”であり、道徳的意味が極めて薄いと考えている。新説を参照。(2020.9.2... 2019.04.20 論語解説
論語解説 論語における「知」 知の由来孔子はおそらく中国史上初めて、「知」と言い出した人物である。現行の「知」の字体は始皇帝による中国統一期になるまで現れない。同音の「智」は甲骨文からあるが、”知る”の意味だったかは極めて心細い。「智」の初形は「𣉻」の字の、さらに下半分... 2019.06.10 論語解説
論語解説 論語における「法」 現代人は、法とは議会に提案され、討議され、可決されて、さらに公開されなければ法ではないと思っている。それが法治主義の基本。しかし孔子は、法とは為政者の裁量そのものを指し、言い換えれば勝手気ままに出来る統治の道具だった。ただしそれでは世が乱れ... 2019.06.28 論語解説
論語解説 『論語』読解と漢文の示準化石 本論考は、『論語』の史実性について、その多分に疑わしい側面を書体の視点から検討したものである。合わせて、安易に児童生徒への教育や社会教育に用いてはいけないことを警告する。序論 漢字の来歴と示準化石漢字の来歴 漢字は絵文字の類とその組み合わせ... 2020.06.01 論語解説
論語内容補足 二・二六事件叛乱軍蹶起趣意書:現代語訳 前口上戦後のRedな詐欺師が世間に向かって、マニフェスト(英)とかシニフィアン(仏)とかゲマインシャフト(独)とかいった、普通の人には聞き慣れない横文字を使ったように、戦前の世間師は漢語を使った。どちらもハッタリで脅し付けるためである。 論... 2020.06.15 論語内容補足
論語解説 定州漢墓竹簡『論語』日本語訳 定州漢墓竹簡『論語』は、現存する世界最古の論語のテキストである。それより古いとあるいは称する平壌楽浪地区出土『論語』は、不審が多いのでこのサイトでは扱えない。以下は定州竹簡論語の前書きの翻訳。()内は訳者による注釈。凡例については別ページに... 2020.09.18 論語解説
論語解説 論語における漢字の音通と古代音 音通とは音通とは、同音や近音の漢字を、別の意味に転用すること。仮借カシャ”仮かりて借りる”とも言う。その発生は、口語は野放図に人間の口から生まれるのに対し、文字は「ああ、そういう意味ね」との、大勢の同意が要るからだ。牛はと書いたから、ウシな... 2020.09.21 論語解説
論語解説 論語における漢字の通用と古書体 漢字には音がまるで違っていても、字形が似ているゆえに、同じ意味を表す字がある。それを漢字の通用という。通用は古代ほど甚だしい。ゆえに論語の時代の漢文は、思わぬ漢字が思わぬ語義を担う。これは青銅器の銘文を読む際にも共通する。従って『大漢和辞典... 2020.09.22 論語解説
論語解説 論語における「仁」(新説) 仁とは何か論語における「仁」の意味は、大きく二つに分かれる。一つは現伝の儒教的解釈で、道徳的な意味をもち、薄い漢和辞典や国語辞典にさえ、それぞれに別の意味が載っている。つまりはっきりしない。世間がそれでよしとするのは、その程度しか論語に期待... 2020.09.26 論語解説
論語解説 論語=春秋時代の身分秩序~卿大夫士 高校世界史教科書的には、周王朝の身分制度は、上から周王-諸侯-卿-大夫-士、となっている。左に行くほど身分が高いことは、誰にも異論が無いだろうし、周王とは何かについては、共通した認識があるだろう。しかし卿以下について、どの程度偉かったかは明... 2020.09.27 論語解説
論語解説 論語における「束脩」 論語とわかめ中国人江戸時代、寛永年間の末。中国で明王朝が滅び、大勢の中国人が国外逃亡した。その一人に、廃業したラーメン屋のおやじがいた。海からワカメだらけになって上がってきたおやじを、水戸の黄門様が這いつくばって拝んだ。日本人が、まるで中国... 2020.10.02 論語解説
論語解説 孔子はなぜ偉大なのか 孔子が偉大な理由は、無慮二千年間人間を奴隷化した儒教の開祖だからではなく、身長2mの巨人で武術の達人だったからでもない。千載一遇の運を拾って宰相になった、出世物語の成功者だからでもない。そんなのはいくらでもいる。別して孔子はその精神が、古代... 2020.11.21 論語解説
論語解説 孔門十哲の謎について 孔子を押し上げた人たちスペースシャトルはNASA技術の結晶だったが、自力では打ち上がらない。二本のブースターに巨大な燃料タンクを抱いて、宇宙へ飛んでいった。春秋時代の身分社会で、底辺から孔子がのし上がるには、ブースターの門閥だけでなく、新興... 2020.12.23 論語解説
論語解説 論語における「恕」(ジョ) 孔子は「恕」を説けなかった現伝『論語』では、「恕」は”思いやり”→”仁愛”の意だと解されている。『学研漢和大字典』恕条 会意兼形声。如は、汝(ジョ)(自分とペアをなす相手)と同系のことば。自分と同じような対者という意味を含む。恕は「心+(... 2021.03.12 論語解説
論語解説 後漢というふざけた帝国 現伝の論語の章立てや各文が確立したのは、ほぼ後漢の時代になる。前漢の定州竹簡論語と比較すれば、どれほど後漢の時代にいじくられたかがわかる。そんな作業をし出かした後漢という王朝と、仕えた儒者とは、どんなのであったか。中国四千年というウソ閲覧者... 2021.04.29 論語解説