論語語釈「美」・「善」

語義・語源

『大漢和辞典』 うまい。うつくしい。よい。めでたい。よみする。よくする。なる。しげる。みちる。あふ。ただしい。たのしむ。よろこび。さいはひ。アメリカ合衆国の略称。 よい。よく。よくする。さいはひ。徳の名。善行。善政。善人。よし。姓。よみす。をしむ。をさめる。膳に通ず。
学研漢和大字典 「羊+大」の会意文字で、形のよい大きな羊を表す。微妙で繊細なうつくしさ。微-眉(細いまゆげ)-尾(細いおの毛)-媚(なまめかしい)などと同系のことば。▽義・善・祥などにすべて羊を含むのは、周人が羊を最もたいせつな家畜としたため。麗は、汚れなく整っている。艶は、つやっぽい。姣は、なまめかしい。娟は、細くしなやか。 羊は、義(よい)や祥(めでたい)に含まれ、おいしくみごとな供え物の代表。言は、かどある明白なもののいい方。善は「羊+言二つ」の会意文字で、たっぷりとみごとなの意をあらわす。饘(おいしい食べ物)-饍(みごとにそろった食べ物)-亶(たっぷりとする)と同系のことば。のち、広く「よい」意となる。
字通 羊の全形。下部の大は、羊が子を生む時のさまをたつというときの大と同じく、羊の後脚を含む下体の形。〔説文〕四上に「甘きなり」と訓し、「羊に従ひ、大に従ふ。羊は六畜に在りて、主として膳に給すものなり。美は善と同意なり」とあり、羊肉の甘美なる意とするが、美とは犠牲としての羊牡をほめる語である。善は羊神判における勝利者を善しとする意。義は犠牲としての羊の完美なるものをいう。これらはすべて神事に関していうものであり、美も日常食膳のことをいうものではない。 正字は譱に作り、羊+キョウ。羊は神判に用いるもので、解廌かいたい。誩は両言で原告と被告の当事者。この当事者が盟誓ののち神判を受け、その善否を決するのである。〔説文〕三上に「吉なり。誩に従ひ、羊に従ふ。これ義・美と同意なり」とするが、義・美は犠牲として供するものについていうもので、羊神判をいう善とは立意が異なる。敗訴者の解廌は、その人(大)と、自己詛盟のさいの器蓋を外した𠙴きょとを、合わせて水に投じ、その穢れを祓った。その字はほうで法の初文。廌を略して、のち法の字となる。勝訴した解廌の胸に、心字形の文飾を加えて神寵に感謝する。その字は慶。善・慶・灋(法)は羊神判に関する一連の字。のち神意にかなうことをすべて善といい、また徳の究極をいう語となった。

なお羊神判については、『墨子』明鬼下篇:現代語訳を参照。

論語での用例

    1. 有子曰:「禮之用,和為貴。先王之道斯為,小大由之。有所不行,知和而和,不以禮節之,亦不可行也。」(學而)
    2. 子夏問曰:「『巧笑倩兮,目盼兮,素以為絢兮。』何謂也?」子曰:「繪事後素。」曰:「禮後乎?」子曰:「起予者商也!始可與言詩已矣。」(八佾)
    3. 子謂韶,「盡矣,又盡善也。」謂武,「盡矣,未盡善也」。(八佾)
    4. 子曰:「里仁為。擇不處仁,焉得知?」(里仁)
    5. 子曰:「不有祝鮀之佞而有宋朝之,難乎免於今之世矣!」(雍也)
    6. 子曰:「如有周公之才之,使驕且吝,其餘不足觀也已。」(泰伯)
    7. 子曰:「禹,吾無間然矣。菲飲食,而致孝乎鬼神;惡衣服,而致乎黻冕;卑宮室,而盡力乎溝洫。禹,吾無間然矣。」(泰伯)
    8. 子貢曰:「有玉於斯,韞匵而藏諸?求善賈而沽諸?」子曰:「沽之哉!沽之哉!我待賈者也。」(子罕)
    9. 子曰:「君子成人之,不成人之惡。小人反是。」(顏淵)
    10. 子謂衛公子荊,「善居室。始有,曰:『苟合矣。』少有,曰:『苟完矣。』富有,曰:『苟矣。』」(子路)
    11. 叔孫武叔語大夫於朝,曰:「子貢賢於仲尼。」子服景伯以告子貢。子貢曰:「譬之宮牆,賜之牆也及肩,窺見室家之好。夫子之牆數仞,不得其門而入,不見宗廟之,百官之富。得其門者或寡矣。夫子之云,不亦宜乎!」(子張)
    12. 子張問於孔子曰:「何如斯可以從政矣?」子曰:「尊五,屏四惡,斯可以從政矣。」子張曰:「何謂五?」子曰:「君子惠而不費,勞而不怨,欲而不貪,泰而不驕,威而不猛。」子張曰:「何謂惠而不費?」子曰:「因民之所利而利之,斯不亦惠而不費乎?擇可勞而勞之,又誰怨?欲仁而得仁,又焉貪?君子無眾寡,無小大,無敢慢,斯不亦泰而不驕乎?君子正其衣冠,尊其瞻視,儼然人望而畏之,斯不亦威而不猛乎?」子張曰:「何謂四惡?」子曰:「不教而殺謂之虐;不戒視成謂之暴;慢令致期謂之賊;猶之與人也,出納之吝,謂之有司。」(堯曰)

    1. 季康子問:「使民敬、忠以勸,如之何?」子曰:「臨之以莊則敬,孝慈則忠,舉而教不能,則勸。」(為政)
    2. 子謂韶,「盡美矣,又盡也。」謂武,「盡美矣,未盡也」。(八佾)
    3. 子曰:「晏平仲與人交,久而敬之。」(公冶長)
    4. 顏淵、季路侍。子曰:「盍各言爾志?」子路曰:「願車馬、衣輕裘,與朋友共。敝之而無憾。」顏淵曰:「願無伐,無施勞。」子路曰:「願聞子之志。」子曰:「老者安之,朋友信之,少者懷之。」(公冶長)
    5. 季氏使閔子騫為費宰。閔子騫曰:「為我辭焉。如有復我者,則吾必在汶上矣。」(雍也)
    6. 子曰:「德之不脩,學之不講,聞義不能徙,不不能改,是吾憂也。」(述而)
    7. 子曰:「三人行,必有我師焉。擇其者而從之,其不者而改之。」(述而)
    8. 子曰:「聖人,吾不得而見之矣;得見君子者,斯可矣。」子曰:「人,吾不得而見之矣;得見有恆者,斯可矣。亡而為有,虛而為盈,約而為泰,難乎有恆矣。」(述而)
    9. 子曰:「蓋有不知而作之者,我無是也。多聞擇其者而從之,多見而識之,知之次也。」(述而)
    10. 子與人歌而,必使反之,而後和之。(述而)
    11. 曾子有疾,孟敬子問之。曾子言曰:「鳥之將死,其鳴也哀;人之將死,其言也。君子所貴乎道者三:動容貌,斯遠暴慢矣;正顏色,斯近信矣;出辭氣,斯遠鄙倍矣。籩豆之事,則有司存。」(泰伯)
    12. 曰:「篤信好學,守死道。危邦不入,亂邦不居。天下有道則見,無道則隱。邦有道,貧且賤焉,恥也;邦無道,富且貴焉,恥也。」(泰伯)
    13. 顏淵喟然歎曰:「仰之彌高,鑽之彌堅;瞻之在前,忽焉在後。夫子循循然誘人,博我以文,約我以禮。欲罷不能,既竭吾才,如有所立卓爾。雖欲從之,末由也已。(子罕)
    14. 子貢曰:「有美玉於斯,韞匵而藏諸?求賈而沽諸?」子曰:「沽之哉!沽之哉!我待賈者也。」(子罕)
    15. 子張問人之道。子曰:「不踐跡,亦不入於室。」(先進)
    16. 齊景公問政於孔子。孔子對曰:「君君,臣臣,父父,子子。」公曰:「哉!信如君不君,臣不臣,父不父,子不子,雖有粟,吾得而食諸?」(顏淵)
    17. 季康子問政於孔子曰:「如殺無道,以就有道,何如?」孔子對曰:「子為政,焉用殺?子欲,而民矣。君子之德風,小人之德草。草上之風,必偃。」(顏淵)
    18. 樊遲從遊於舞雩之下,曰:「敢問崇德、脩慝、辨惑。」子曰:「哉問!先事後得,非崇德與?攻其惡,無攻人之惡,非脩慝與?一朝之忿,忘其身,以及其親,非惑與?」(顏淵)
    19. 子貢問友。子曰:「忠告而道之,不可則止,無自辱焉。」(子路)
    20. 子謂衛公子荊,「居室。始有,曰:『苟合矣。』少有,曰:『苟完矣。』富有,曰:『苟美矣。』」(子路)
    21. 子曰:「人為邦百年,亦可以勝殘去殺矣。誠哉是言也!」(子路)
    22. 定公問:「一言而可以興邦,有諸?」孔子對曰:「言不可以若是其幾也。人之言曰:『為君難,為臣不易。』如知為君之難也,不幾乎一言而興邦乎?」曰:「一言而喪邦,有諸?」孔子對曰:「言不可以若是其幾也。人之言曰:『予無樂乎為君,唯其言而莫予違也。』如其而莫之違也,不亦乎?如不而莫之違也,不幾乎一言而喪邦乎?」(子路)
    23. 子曰:「南人有言曰:『人而無恆,不可以作巫醫。』夫!」「不恆其德,或承之羞。」子曰:「不占而已矣。」(子路)
    24. 子貢問曰:「鄉人皆好之,何如?」子曰:「未可也。」「鄉人皆惡之,何如?」子曰:「未可也。不如鄉人之者好之,其不者惡之。」(子路)
    25. 子曰:「人教民七年,亦可以即戎矣。」(子路)
    26. 南宮适問於孔子曰:「羿射,奡盪舟,俱不得其死然;禹稷躬稼,而有天下。」夫子不答,南宮适出。子曰:「君子哉若人!尚德哉若人!」(憲問)
    27. 子貢問為仁。子曰:「工欲其事,必先利其器。居是邦也,事其大夫之賢者,友其士之仁者。」(衛靈公)
    28. 子曰:「知及之,仁不能守之;雖得之,必失之。知及之,仁能守之。不莊以涖之,則民不敬。知及之,仁能守之,莊以涖之。動之不以禮,未也。」(衛靈公)
    29. 孔子曰:「益者三友,損者三友。友直,友諒,友多聞,益矣。友便辟,友柔,友便佞,損矣。」(季子)
    30. 孔子曰:「益者三樂,損者三樂。樂節禮樂,樂道人之,樂多賢友,益矣。樂驕樂,樂佚遊,樂宴樂,損矣。」(季子)
    31. 孔子曰:「見如不及,見不如探湯。吾見其人矣,吾聞其語矣。隱居以求其志,行義以達其道。吾聞其語矣,未見其人也。」(季子)
    32. 佛肸召,子欲往。子路曰:「昔者由也聞諸夫子曰:『親於其身為不者,君子不入也。』佛肸以中牟畔,子之往也,如之何!」子曰:「然。有是言也。不曰堅乎,磨而不磷;不曰白乎,涅而不緇。吾豈匏瓜也哉?焉能繫而不食?」(陽貨)
    33. 子夏之門人問交於子張。子張曰:「子夏云何?」對曰:「子夏曰:『可者與之,其不可者拒之。』」子張曰:「異乎吾所聞:君子尊賢而容眾,嘉而矜不能。我之大賢與,於人何所不容?我之不賢與,人將拒我,如之何其拒人也?」(子張)
    34. 子貢曰:「紂之不,不如是之甚也。是以君子惡居下流,天下之惡皆歸焉。」(子張)
    35. 堯曰:「咨!爾舜!天之曆數在爾躬。允執其中。四海困窮,天祿永終。」舜亦以命禹。曰:「予小子履,敢用玄牡,敢昭告于皇皇后帝:有罪不敢赦。帝臣不蔽,簡在帝心。朕躬有罪,無以萬方;萬方有罪,罪在朕躬。」周有大賚,人是富。「雖有周親,不如仁人。百姓有過,在予一人。」謹權量,審法度,修廢官,四方之政行焉。興滅國,繼絕世,舉逸民,天下之民歸心焉。所重:民、食、喪、祭。寬則得眾,信則民任焉,敏則有功,公則說。(堯曰)

 

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