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論語詳解073里仁篇第四(7)補足

  • 『後漢書』吳延史盧趙列傳

原文

嗇夫孫性私賦民錢,市衣以進其父,父得而怒曰:「有君如是,何忍欺之!」促歸伏罪。性慚懼,詣閤持衣自首。祐屏左右問其故,性具談父言。祐曰:「掾以親故,受污穢之名,所謂『觀過斯知人矣』。」使歸謝其父,還以衣遺之。

書き下し

嗇夫の孫性、私に民の銭を賦り、市りたる衣を以て其の父に進む。父得而怒りて曰く、「君有るは是の如し、何ぞ之を欺むくに忍びんや」と。促がして罪に伏せ帰(し)む。性慚じて懼れ、閤に詣でて衣を持ちて自首せり。祐左右を屏てて其の故を問うに、性具に父の言を談る。祐曰く、「掾親の故を以て、污穢之名を受く。所謂、『過を観て斯に人を知る矣』」と。帰ら使めて其の父に謝し、還すに衣を以て之を遺る。

現代日本語訳

〔呉祐(ゴユウ)という情け深い知事がいた。民や下級役人はよく懐いた。〕下級役人の孫性が、勝手に民の銭を巻き上げ、市場で売っていた上着を奪ってその父に差し出した。父はそれを手にすると、怒って言った。「ありがたい知事様がいるというのに、どうしてだませようか。」息子を促がして自首させた。孫性は恥ずかしいやら恐ろしいやらで、その上着を持って役所に出向き、自首した。知事の呉祐が人払いしてから理由を問うと、孫性は父の言葉をありのままに伝えた。呉祐「お前は父のために、汚名を着たのだな。論語にある、『過ちを観て斯に人を知る矣』とはこのことだ。」孫性を罰さず帰らせて、その父親に感謝の言葉を伝えさせ、くだんの上着はそのまま持たせてやった。


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