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論語語釈「切磋琢磨」

切の字を除き、磋琢磨ともに、論語の時代に存在しない。

「切」(カールグレン上古音はtsʰiet、同音無し)の字が現れるのは後漢の『説文解字』からだが、それ以前は「七」と書き分けられていなかった。七の字は、甲骨文から存在する。
七 金文
「七・切」(金文「乙鼎」春秋晚期・集成2607)

「国学大師」は次の通り言う。

此字始見於篆文。篆文字形從刀、七聲。七聲,表示音讀,也兼表義。「切」本作「七」,甲骨文「七」字像把物品切斷,後加刀旁寫作切。六書屬於形聲兼會意。教育部標準楷書把左旁寫成豎挑,避免誤寫成土旁。

また「七」について、次のように言う。

甲骨文作十,横畫表示被切割的物體,直筆表示切斷,「切」字的初文。金文作,承甲骨文而來。戰國文字横畫略為右下彎,篆文直筆略作彎曲,以示與九十之「十」有所分別。隸書承篆文而直筆右彎,楷書沿之而定體。在六書中屬於指事。

また李学勤「字源」に、次の通りある。
切 字源

磋はtsʰɑで、同音は傞(酔って舞うさま)・瑳(あざやか)で、共に金文以前に遡れない。琢はtŭkで、同音は豖(行き悩む様)や蜀を旁に持つ漢字群や斲(切る)。斲は戦国時代の金文が初出。磨はmwɑで同音は摩・麼・塺。いずれも金文以前に遡れない。

語義・語源

大漢和辞典

切磋琢磨

その他

 
学研漢和大字典 七は、│印の中程を─印で切り取る示す指事文字。切は「刀+音符七」の会意兼形声文字で、刃物をぴったり切り口に当てて切ること。

玉+音符差(ぎざぎざ)の会意兼形声文字。

みがく。

玉+音符チョクの形声文字。啄(とんとんと口ばしでつつく)と同系のことば。

みがく、たたく。

麻は广(いえ)+𣏟(麻の繊維)からなり、家の中で麻の繊維をはぎ取るさまを示す。そのさい、こすりあわせて、繊維を細かくわける。磨は石+音符麻(こする)の会意兼形声文字で、石をこすること。靡(こすって小さくする)・摩(こする)と同系のことば。

みがく。

字通 七+刀。説文に「るなり」とし、七声とするが七は骨節の形。膝のような部分をいう。そこを切り離して分解する。 揃いのもの、ざらざらしたものの意があり、磋とは砥石にかけて磨くことを言う。 声符は豖。豖にうちたたく意がある。 声符は麻。説文に䃺を正形とし、靡声。「石磑いしうすなり」とあり、石臼をいう。爾雅釈器に「石、これを磨と謂ふ」とあり、広雅釈器に「みがくなり」という。手を以て撫するを摩、石で磨礪するを磨という。

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