- 儒者の言い訳
原文
有道學先生行房。既去褻衣*。拱手大言曰。吾非。為好色而然也為祖宗綿血食也。乃凸一下。又曰。吾非為好色而然也為朝廷添戶口也又凸一下。復曰。吾非為好色而然也。為天帝廣化育也。又凸一下。或問弟四凸說甚麼。有識者曰。如此道學先生。只三凸便完了。還有甚說。(『笑府』巻二・行房)
書き下し
道学先生有りて房(ねや)を行う。既に褻(セツ)衣を去りて、手を拱き大言で曰く。吾は色を好み而然るを為すに非ざる也。祖宗の為に綿として血食せしめる也。乃(すなわ)ち一下(たび)凸(つ)く。又た曰く。吾は色を好み而然るを為すに非ざる也。朝廷の為めに戸口を添える也。又た一下凸く。復た曰く。吾は色を好み而然るを為すに非ざる也。天帝の為めに化し育てるを広げる也。又た一下凸く。或るひと問う。弟四の凸く説は甚(なに)なる麼(や)。識る者有りて曰く。此の如き道学先生、只だ三たび凸かば便ち完え了んぬ。還た甚の説有らんや。
現代日本語訳
ある儒者の先生が妻と寝る。普段着を脱いで裸にると、大げさな礼を行い、大声で言う。
「私は色好みで行うのではない。ご先祖さまの祭祀を欠かさぬためである」と一突き。
「私は色好みで行うのではない。お国のために人口を増やすためである」と一突き。
「私は色好みで行うのではない。天神が万物を営むのを助け申し上げるのである」と一突き。
ある者「四回目は何と言い訳するんですかね?」
もの知り「こんな先生に言えることなどあるものか。三こすり半でおしまいだよ。」
訳注
褻衣:儒者の着る普段着。論語郷党篇6に出典がある。
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