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『笑府』現代語訳:巻九・官話

  • 標準語を振り回して父親に叱られる

原文

有兄弟徑商者。學得一二官語。將到家。兄因如廁。暫留隔河。命弟先往見父。々一見問曰。汝兄何在。弟曰。撒屎。父驚曰。何䖏殺死。荅曰。河南。父方哀苦。而兄適至。父遂罵其次子曰。汝何妄言如是。曰。我官話耳。父曰。如此官話。只好嚇你爺。

書き下し

兄弟の徑きて商う者有り。一二の官語を學び得たり。將に家に到らんとするに、兄因りて廁に如き、暫く河を隔てて留まる。弟を命て先に往きて父に見えしむ。々一見して問うて曰く、汝の兄何れに在るや。弟曰く、屎を撒けり。父驚いて曰く、何れの䖏で殺され死せん。荅えて曰く、河南なり。父方に哀しみて苦だし。し而兄適きて至る。父遂に其の次子を罵しりて曰く、汝何ぞ妄りに言うこと是の如きか。曰く、我官話耳せり。父曰く、此の官話の如きは、只だ好く你の爺を嚇すのみ、と。

現代語訳

兄弟で行商をしている者がいた。出稼ぎ先ですこし標準語をかじり、家に帰って自慢しようとしたのだが、兄は急に腹具合が悪くなって川岸にしゃがんだ。弟が父に帰りの挨拶をしていると、父は兄はどこだと聞いた。

弟「撒屎(サースー:大きいのをしにいきました)。」
父「殺死(サースー:殺されたって)! どこでじゃ。」
弟「河南(ホーナン:川の南岸です)。」
父「河南(ホーナン:河南省じゃと)!」

父がシクシク泣いていると、兄がさっぱりした顔で帰ってきた。父は真っ赤になって弟を怒鳴りつけて言った。

「このウソツキめが! お前の標準語など、わしを怒らせるタネにしかならぬわ!


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論語内容補足
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