2020.9.30:主な改訂内容

孔子没後、儒家は一旦滅んだ。孔子没後一世紀のちに生まれた孟子がそう証言している。

論語 孟子
聖王不作,諸侯放恣,處士橫議,楊朱、墨翟之言盈天下。天下之言,不歸楊,則歸墨。
聖王あらわれず、諸侯ほしいままにほしいままをなし、処士よこしまにかたり、楊朱、墨翟の言、天下にみつ。天下の言、楊に帰せざらば、則ち墨に帰す。(『孟子』滕文公下)

そういった世に生まれて、孟子は歎いたのではない。舌なめずりしたのだ。たまたま孔子の父の出身地に生まれたという縁から、孟子は儒家を知ったらしい。そこで没落した儒家の当主、孔子の孫・子思に師事し、その教えを受け継いだと当人は言い回っている。

子思は孔子の一人息子、孔鯉の息子で、孔子は孔鯉にも、子思にもその素質無しと見てか、まともに学問や技芸を授けなかった。だからこそ子思は、儒家の当主に祭り上げられても、曽子を頼るほか無かった。だが曽子は儒者ではなく、孔子家の下男でしかなかった。

同様に、孔子の優れた弟子たちの系統は他国に移った上、細々と生き残っているに過ぎなかった。一応子思という宗家があることに遠慮したというのもあったろうが、端的に儒家は儲からず、食えなかったからだ。子游派のように、開き直って冠婚葬儀屋に徹した派閥もある。

対して墨家は儲かった。大規模土木や築城、攻城の技術者集団だった墨家は、喜んで諸侯が雇った。楊朱=列子派は、墨家の昆虫の如き合理性に嫌気が差した人々に、道家と共に受け入れられた。学んで役人になるにも、すでに廃れた射や御を教える儒学は、時代遅れだった。

そういう事情で、孟子が子思に学んだとしても、断片的にしか儒学を学べなかったはずだ。それより孟子には、創作の才が有った。孟子は儒家の衰微と共に、再び忘れられ始めた「仁」に着目し、貴族(らしさ)→立派な貴族らしさ→とても有り難い道徳的態度、へと作り替えた。

時代に合わせ、作り替える必要があったのだ。

孟子 お笑い芸人
だから孟子は「仁」ではなく、ほぼ「仁義」として売り出した。義とは”正しい”の意である。買い取り切った諸侯は出なかったが、一時的に有り難がる振りをし、捨て扶持をくれた諸侯は出た。中でも当時最も知られた学士院である、斉の「稷下」に交わったのが大きかった。

捨て扶持の額が大きかったのもあるが、そこで打ち上げれば、全中国に伝わったからだ。だから戦国期にはすでに、仁=道徳的な何か、になっていたのだ。そして孟子没後、さまざまないきさつの末にその学派が、漢帝国の国教となった。仁=道徳的何か、は固定化された。

仁=貴族という語義が忘れられた時代では、仁義と聞けば、人の正しさ、と聞いた者は思った。人間の正義は人間の数だけある。だから仁義という言葉は、自分の(勝手な)筋を通すこと、と思う者もいたし、人を憐れむこと、と思う者もいた。それゆえ意味が多様になった。

その解釈が、現代日本の辞書にも引き継がれている。

旧説を大幅に改めたため、現代語訳のページは本ページと整合するよう、追って改訂中。必ずしも本ページの解釈とそぐわない場合があります。 仁とは...

論語の本章については、唐石経で冉有→冉求となっていたのが不可解。

「冉有」は姓+字で敬称だが、「冉求」は姓+名で蔑称である。唐代の避諱=君主の名を文書に使うのを避けること、について訳者は詳しくないが(参考:唐代寫本における避諱と則天文字の使用)、「有」はそこに含まれているのだろうか。

そうでないなら、本章で孔子が怒鳴っていることや、冉有を破門した(論語先進篇16)ことの尻馬に乗って、儒者が勝手に貶めていることになる。


裏返せば、冉有はコスプレなしでも、その才だけで十分に出世した実績があるからこそ、こういう問答になったと言うべきだろう。加えて冉有は武勲をたてに、亡命中の孔子を呼び返すよう、筆頭家老の季孫氏に求めている(『史記』孔子世家)。師にもの申す力があったのだ。

論語雍也篇(12)要約:仁一つ取っても、孔子塾の修行は並ではありません。先生は優れた弟子にはとりわけ、厳しい修行を要求しました。実務家として優れた冉求も、これには音を上げました。切って返す先生は冉求に…。

警告

漢文業界の者は嘘つき中国人そっくりで、微塵も信用ならぬ(→理由)ので、数言申し上ぐ。


出典明記の引用は自由だが(ネット上では可動リンク必須)、盗用・剽窃は居合を嗜む有段者の訳者が、櫓櫂の及ぶ限り追い詰める。言い訳無用。訳者が「やった」と思ったら、全国どこでも押し込む。頭にきたら海外にも出かけ、バッサリやってすぐ帰る。訳者は暇であるし、惜しむものを持っていないし、面倒が苦にならぬゆえ、こうして古典を研究している。

刀の手入れは毎日している。そして未だ人を斬ったことが無い。

盗作・剽窃の通報歓迎。下手人を成敗した後、薄謝進呈。他人にやらせた者も同罪、まずそ奴から追い回してぶっ○○る。もし長生きしたいなら、悪いことはせぬものだ。それでもやるなら、覚悟致せ。

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