論語詳解478子張篇第十九(7)百工は肆に居り

論語子張篇(7)要約:職人は仕事場で仕事を成し遂げる。君子は学ぶことで「道」を実現する、と弟子の子夏。「道」とは何かは極めてあいまいですから、儒者や官僚の無能や怠慢、果ては収賄や横暴を免罪するタネになった、罪深い一節。

論語:原文・白文・書き下し →項目を読み飛ばす

原文・白文

子夏曰、「百工居肆、以成其事。君子學、以致其道。」

書き下し

子夏しかいはく、ももなすたくみたなり、ことす。君子くんしまなび、みちいたす。

論語:現代日本語訳 →項目を読み飛ばす

逐語訳

子夏が言った。「さまざまな職人は仕事場にいることで、その仕事を仕上げる。君子は学ぶことで、するべき仕事を達成する。」

意訳

同上

従来訳

論語 下村湖人

子夏がいった。――
「もろもろの技術家はその職場においてそれぞれの仕事を完成し、君子は学問において人間の道を極める。」

下村湖人『現代訳論語』

論語:語釈 →項目を読み飛ばす

子夏

論語 子夏

論語では孔子の若い弟子、卜商子夏を指す。

百工

論語 百 金文 論語 工 金文
(金文)

論語の本章では、”さまざまな職人”。「百」は種類の多さを表しており、具体的数値ではない。

論語 居 金文
(金文)

論語の本章では”居る”。原義は腰を落ち着けてその場に座ること。

肆(シ)

論語 肆 古文
(古文)

論語の本章では”工房”。商業施設を指す場合があり、日本語の「書肆」などにその名残がある。甲骨文~戦国文字には見られない言葉で、古文にはさまざまな字形で見られる。古文は必ずしも古い文書とは言えないから、本章は秦漢帝国時代に成立した可能性がある。

「肆」は『学研漢和大字典』によると並べて広げる・連ねるの意で、日本語の「みせ」の語源になった「見世棚」と奇しくも一致している。言葉としては漢字の通例通り多義語で、”ほしいまま(にする)・ながい・ ゆえに・ ここに・殺してさらす”などの意がある。

また類義語の「店」同様、”宿屋”の意があり、必ずしも商業施設のみを指さない。現代中国語の「飯店」(ファンティエン)は、”hotel”に宿泊施設の意を含めて当てた音訳。「肆」に関する儒教的説明は、漢代に創作された法螺話に過ぎない。
肆

成其事

論語 成 金文
「成」(金文)

論語の本章では、”仕事を仕上げる”。「成」は単に作業をすることではなく、完成させることを意味する。

致其道

論語 致 金文
「致」(金文)

論語の本章では、”志を達成する”。「道」はどうとでも訳せる極めてあいまいな表現で、君子の「道」は”君子がやりたがること・すべきこと”とでも訳すしかない。「致」の原義は届けることで、ここでは達成すると訳した。

論語:解説・付記

論語の本章はただつまらないだけでなく、王朝時代の中国が続く間、君子=為政者階級の怠慢と無能を弁護するお墨付きになった。「道」が何を指しているか不明なのがくせもので、業績が無くとも「道を致しているのだ」と言い張れば、それが通ったからである。

歴代の中国王朝は、統治のための政府と言うより、特権階級である役人を食わせるための装置で、出自が怪しい出来たて王朝がまず始めたのは、官僚採用試験である科挙だった。識字率が極めて低い社会だったから、字が読める連中に特権を与えないと、即座に打倒されたからだ。

その上試験内容はポエムや古典だったから、受かった役人に行政能力があったわけではなく、おつむの程度も実は怪しい。暗記は得意だったかも知れないが、数理的推論が出来ない脳みそに、先を見通して政策を打つなどできないからだ。いわば私立文系バカだったといっていい。

訳者もその一人だから、その無能や推して知れる。しかしそれでもかまわなかった。実際の行政は地方や利権に根付いたボスと、その手先である世襲の下役人(胥吏ショリという)が行ったからで、科挙官僚はよけいな行政改革さえしなければ、いくらワイロを取ってもかまわなかった。

これは言い換えると、良心的な官僚が、始めから出ないように仕組まれたからくりと言える。しかもそれは中華文明と分かちがたく一体化しているから、現代に至るまで改まらなかった。その結果が王朝の交代ごとに出る、すさまじい数の死者であり、それに伴う地獄である。

儒者は学んでどんな道を致したのか。収賄とポエム書きに他ならない。

警告

漢文業界の者は嘘つき中国人そっくりで、微塵も信用ならぬ(→理由)ので、数言申し上ぐ。


出典明記の引用は自由だが(ネット上では可動リンク必須)、盗用・剽窃は居合を嗜む有段者の訳者が、櫓櫂の及ぶ限り追い詰める。言い訳無用。訳者が「やった」と思ったら、全国どこでも押し込む。頭にきたら海外にも出かけ、バッサリやってすぐ帰る。訳者は暇であるし、惜しむものを持っていないし、面倒が苦にならぬゆえ、こうして古典を研究している。未だ人を斬ったことが無い。刀(登録証付)の手入れは毎日している。

盗作・剽窃の通報歓迎。下手人を成敗した後、薄謝進呈。他人にやらせた者も同罪、まずそ奴から追い回す。覚悟致せ。
斬首
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