論語と算盤・現代語訳(20)立志と学問9

『論語と算盤』勇猛心の養成法

論語と算盤 勇猛心の養成法

現代語訳

活力旺盛になって心身溌剌とすれば、自然と大きな活動が出来る。だが大活動するに当たって活動の法を間違えると、大きな過失を犯すことになる。そこで普段から注意して、どうやって猛進するか考えておかねばならない。

猛進する力が正義にかなっていると、大きく勢いがつくが、その正義を断行する勇気の養い方は、普段から意図的に、まず肉体を鍛錬しなければならない。つまり武道の稽古、下腹部の鍛錬で、これらは自然に体を健康にし、著しく精神を鍛え、心身一致の行動を習慣づけ、自信を生んで自動的に勇猛心を向上させる。

下腹部の鍛錬は、現在では腹式呼吸法とか、静座法とか、息心調和法とか称して盛んに流行しているが、およそ人の常として脳が充血しやすいから、自動的に神経過敏になって、物事に動じやすくなるが、下腹部に力を込める習慣があると、心広やかな人になって、冷静沈着に見え、勇気のある人になる。

だから古来、武術家の性格が一般に沈着で、しかも動きは俊敏なのは、武術の試合が下腹部を鍛錬するからで、体の全力を出し切る練習より、自由自在に体を動かせるようになるからだと思う。

勇気の修養には肉体上の鍛錬と共に、内省的な鍛錬も必要だ。読書して昔の勇者の言葉に感化されるのもいいし、上司に感化されて説話を聞いて、その通り行動して体で実践する習慣を養い、一歩一歩前進して剛健な精神を向上させ、正義へのあこがれと自信を養って、喜んで正義に従うようになれば、勇気は自然に湧いてくるだろう。

ただし気を付けるべきは、青年時代の血気にはやり、分別を誤って血気を悪用し、勇気を間違った用途に使って、乱暴でおごり高ぶった行動に出るような事があってはならない。人物が卑しいのは勇気ではなく、自然と粗雑で卑しく凶暴になり、却って社会に被害を与え、しまいには我が身を滅ぼす事になるから、この点は重々注意し、普段の修養を怠ってはならない。

要するに現在の我が国は、その場限りの考えで従来の事業を鹿爪らしく受け継いで、それでいいという時代にはない。まだ創業の時代であって、先進国の発展に追いつき、さらに追い越さなくてはならないのだから、誰もが一大覚悟をして、万難を排して勇躍猛進すべき時だ。

そのためにはたゆまず心身の健全な発展を促し、溌剌とした活動を出来る活力を旺盛にする心がけを忘れてはならない。青年に対しては、特にこの点を望んで止まない。

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