論語子罕篇(しかんへん)第九現代語訳

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論語子罕篇:要約

論語 アルファー 論語 孔子 キメ
アルファー:こんにちは。ナビゲーターAIのアルファーです。

孔子:解説の孔子じゃ。

アルファー:先生、論語子罕篇はどんなお話なんですか?

孔子:うむ。主にワシの最晩年の言葉が記されておる。呉国の後ろ盾を得たワシは、滞在していた衛国を引き払い、68歳で生まれ故郷の魯国に戻った。なにしろ後ろ盾が覇権国寸前の呉じゃからな、かつてワシを排斥した門閥家老どもが、下にも置かぬ態度で迎えたのじゃぞ。

論語 アルファー2 論語 孔子 悩み
アルファー:へ~え。やっと苦労が実ったんですね。じゃあ、それから安らかに老後を暮らしたんですか?

孔子:ところがそうではないのじゃ。帰国して二年後、呉は越に攻められて一挙に没落に向かい、それを見た家老どもは、ワシを閑職に追いやって、ろくに俸禄も出さんかった。そんな折、息子の鯉に先立たれたのじゃが、人並みの葬儀も出してやれんほどじゃった(論語先進篇7)。

論語 アルファー 15 論語 孔子 遠い目
アルファー:まあ…。

孔子:生涯を教育と政治に捧げてきたワシじゃが、さすがにこれはこたえた。しかも期待した弟子の顔回にも先立たれ、最も長くワシに付き添ってきた子路も、衛国の内乱で命を落としてしもうた。がっくり来たワシは、その翌年世を去ったのじゃよ(BC479、魯哀公十六年)。

論語 アルファー23 論語 孔子 キメ
アルファー:お気の毒に…。

孔子:じゃがワシは、最後まで語ることをやめんかった。弟子に言葉を残して、将来に夢を託したんじゃ。それが論語の意義でもある。ウスノロ弟子の曽子も言っておったが、「人の死せんとするや、その言やし」(論語泰伯篇4)じゃ。では、始めるぞ!

逹巷タツコウの町人がはやしよった。「♪孔子先生はお偉いな、何でも知ってて何にもなれない。」
弟子「先生、連中あんな事言ってます。」

「はっはっは。では猟師になろうか、御者か…御者になろう。」


論語 アルファー7 論語 孔子 微笑み
アルファー:先生、からかわれてますが?

孔子:うむ。じゃが、これでいいのじゃ。

五十代前半で魯国の政権を握っておった頃、ワシは確かにやり過ぎた。厳しい取り締まりで、庶民の口を閉ざしてしまったんじゃ。それよりは、こうやって囃される方がまだよい。論語は長い間の言葉を記しただけに、ワシの成長記録と言ってもよい。

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麻の冠は正式で、今は絹を使う。これはまあ節約にもなるから、いい。
家臣は主君を宮殿の下から拝むのが正式、今は殿中で拝む。これはいかん。無礼である。


論語 アルファー 15 論語 孔子 キメ
アルファー:先生、節約になると言うのは?

孔子:うむ。麻はほぐすのが大変じゃ。「麻の如く乱れる」という言葉もあるじゃろう? 論語の時代に布と言えば、くずや麻の繊維を織ったものか、絹しかなかった。絹の繊維は真っ直ぐじゃから、まゆをゆでて生糸を取り出すのはそれほど難しくない。ただし高価じゃがな。

論語 アルファー6 論語 孔子 楽
アルファー:綿を使えばよかったんじゃ?

孔子:論語の時代には、綿はまだない。中国に入るのは遠い先の事じゃ。あれば勧めたんじゃろうがな。

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『三才圖會』所収「麻冕」(マベン、麻の冠)。東京大学東洋文化研究所蔵

放浪中、悪党と間違えられてキョウの町で取り囲まれたから言ってやった。

「退がれ退がれ、私を誰だと心得る。周の開祖文王はみまかったが、その文化は私だけが受け継いでいる。私を殺せば文化が絶える。子孫にどう言い訳するつもりだ!」


論語 アルファー7 論語 孔子 居直り
アルファー:先生大変な鼻息ですね。

孔子:当然じゃ! 論語の時代、中華文明を最もよく知っておったのはこのワシじゃからな。匡のまちは鄭国にあってな、ワシの若い頃に陽虎という暴れ者が攻め込んだことがあって、ワシはあ奴に間違えられたんじゃ。

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呉へ使いに出した子貢が帰ってきて、宰相伯嚭ハクヒどのとの話をべらべら喋った。
「伯嚭どのが先生をおっしゃったんです、”孔子先生は聖者(万能の人)ですな。何でもお出来になる”と。私はうれしくなりましてね、”仰る通り、天が先生に万能の才をお授けになったのです”と申し上げました。」

孔子「子貢よ。そりゃほめ言葉じゃないぞ。伯嚭どのは私の出身を皮肉っているんだ。私も若い頃は身分が低かった。いろんな仕事で食いつないだもんさ。」


論語 アルファー21 論語 孔子 遠い目
アルファー:先生の前半生も大変だったんっですね。

孔子:うむ。ワシは父上が誰だかよく知らん。母上もご存じなかったかも知れん。母上は遊行の巫女でな、ワシは社会の底辺に生まれ、そして一国の首相にまで上り詰めたのじゃ。司馬遷くんの『史記』と論語を合わせ読むと、ワシの出世物語がよく分かるのじゃぞ。

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弟子の牢「先生はかつて仰った。”私は就職できなかったから多芸になった”と。」


論語 アルファー2 論語 孔子 悩み
アルファー:先生、牢さんって誰です?

孔子:う~む、ワシもよく覚えておらん。後世の朱子くんは、論語に注釈を付けて、姓は琴、あざなは子開または子張、と想像しておるがな。やり過ぎの子張(セン孫師)とは別人じゃぞ。

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…子貢よ。私は物知りではない。あの物を知らぬ呉の田舎者相手に、政治の手練手管をすっかり教え尽くしてしまったが、どうにも最近様子が怪しいではないか。


論語 アルファー7 論語 孔子 楽
アルファー:先生、「両端をたたいてつくしぬ」ってこういう意味だったんですね。

孔子:うむ。論語の時代の酒瓶に、横置きの円筒形のものがあってな。真ん中に注ぎ口が付いておったんじゃよ。

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…本当に怪しいのだ。我が若殿哀公さまが即位なさって十年(BC485)。ついに呉国が斉を破り、覇者となったというのに…。

どうもおかしいな。呉王がこんなに威勢がいいというのに、めでたい鳳凰も飛んでこぬしありがたい龍馬も出ない。

…しくじったかな。


論語 アルファー 16 論語 孔子 とぼけ
アルファー:先生、めでたい鳥や馬って? なんだか論語らしくない。

孔子:そんなことはないぞ。聖王が出て世が治まるきざしがあると、天はそうした使いを下界に送って、万民に知らせることになっておる。ところが全然出てこんかったんじゃよ。

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『三才圖會』所収「鳳・龍馬」。東京大学東洋文化研究所蔵

そんな折り、私は急な病に倒れた。寝ている間に子路が、弟子を家臣に仕立てて見栄を張ったらしい。持ち直して目が覚め、様子に気付いたので言ってやった。

「これ子路や。お前はずっとハッタリばかりかましてきたな。うちに家臣なぞおらんだろうが。天罰が下るぞ。」

論語 子路 あきれ
「…。」
「私はね、ニセモノの家臣なんぞに看取られるより、あるがまま弟子の諸君に囲まれて死にたい。もう旅には出んから、大げさな葬式は出せなくとも、野垂れ死にはせんよ。」


論語 アルファー5-2 論語 孔子 楽
アルファー:へええ。魯国で静かに暮らしていたんですか?

孔子:いや、この時はまだ衛国におった。最初の衛国滞在では、顔濁鄒ダクスウ親分の屋敷に滞在し、政治工作をやって衛国を追い出されてしまったが、この時はおとなしく、ご家老の屋敷に世話になっておったんじゃよ。論語の中には、こうした弟子の目撃話も少なからずあるのじゃ。

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子貢が言った。「いよいよ呉国での工作が終わりました。で、どうです?(ニヤリ)玉は箱に収めて隠します? それともいいアキンドに売りに出します?」
「売るぞ売るぞ! アキンドをずっと待っていたのだ!」


論語 アルファー8 論語 孔子 喜
アルファー:あら、この時は調子がよさそう。

孔子:うむ。論語の記述は、必ずしも時系列になっておらんのでな。話が前後することがある。

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10

さて、東の蛮族の国(呉)へ行くかのう、と言ったら、ある弟子が不満顔。
「え~。いやですよあんなけがらわしいところ。先生だってそうでしょう?」

孔子「諸君と一緒なら、平気さ!」


論語 アルファー 論語 孔子 悩み
アルファー:あら、あら。普段、外国の人を蛮族呼ばわりしてたのが(論語八佾篇5)、仇になったんですね。

孔子:まあ、そうじゃ。政治的判断というものは、素直な者には向かぬようでな。身から出た錆じゃから、仕方がないのう。

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11

私は衛国から魯国に帰ったのち、なっちゃいなかった魯の音楽を正した。
それで古楽もふさわしいときに演じられるようになった。
家老どもめ、分不相応はもうさせぬぞ。


論語 アルファー7 論語 孔子 微笑み
アルファー:ここでも先生、鼻息荒いですね。前に思い上がった門閥家老の音楽に怒ってたのが(論語八佾篇2)、ウソみたい。

孔子:そうじゃ。魯に帰国したばかりの頃は、家老どももワシに遠慮しておったしな。

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12

出勤したら上司に仕え、家では年上を世話し、葬儀では経を唱えてやり、酒を飲んでも飲まれない。私にとってこれぐらい、何でもないさ。

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13

散歩したら川に出た。

…とうとうと流れているなあ。昼も夜も絶え間なく。


論語 アルファー3 論語 孔子 遠い目
アルファー:これが論語の名言、「逝くものはかくの如きか、昼夜をおかず」ですね。

孔子:そうじゃ。ワシも晩年になって、人界の政治ではなく、天地の大いなる営みに目が向くようになったのじゃ。

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14

どいつもこいつも、秘めたるパワーを身につけるより、女の方がいいようだ。

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15

同志諸君!

革命とは山を作るようなものだ。カゴ一杯盛らねば一杯分成功が遠のく。
革命とは穴を埋めるようなものだ。カゴ一杯盛ったら一杯分成功が近づく。

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16

顔回が死んだ!

私が話してもうんざりしないのは、顔回だけだったな。


論語 アルファー21 論語 孔子 慟哭
アルファー:まあ…。

孔子:うむ。痛恨の出来事じゃった。しばらく顔回話が続くが、辛抱してくれい。

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17

顔回。

惜しい弟子だった。進歩し続け、ついぞ退化しなかった。

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18

顔回よ、安らかに。

種を撒いて穂が出ないのもあろう。出ても実らないのもあろう。

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19

顔回を思うと涙が出る。

年下はバカにできない。自分より劣りとどうしてわかる。
晩年になっても評判が悪い、どうしようもない奴だっているというのに。


論語 アルファー 15 論語 孔子 哀
アルファー:論語の名言、「後生おそるべし」っていうのも、もとは顔回さんの話だったんですね。

孔子:うむ。本当に出来のいい弟子じゃった。

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20

神のお告げを聞かない者はいないが、それに従って自分の間違いを改める者は少ない。
神に申し上げるように語れば誰もが喜ぶが、話の中身を分かる者は少ない。
うわべだけ聞いた振りする者は、教えようがないのだ。


論語 アルファー6 論語 孔子 褒める
アルファー:先生、「法語之言」「巽與センヨ之言」って難しい言葉が出てきますが。

孔子:これは当時の祭礼や、裁判を知らぬと分からぬじゃろうな。「法語之言」は、神様のお告げ。「巽與之言」は、神様に申し上げるような言い方の事じゃ。後世の儒者が論語に注釈を付けて、あれこれ好きなように想像しておるが、間違いじゃ。

二十世紀の後半から二十一世紀にかけて、日本の漢字学はすいぶん進んだようじゃの。おかげで個人の感想ではない、論語の意味が分かるようになったのは、ワシもありがたい事じゃ。

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21

諸君。言い残しておくことがある。

己を偽るな。人をだますな。つっかえている者は教えてやれ。
間違いを改めるのを恥と思うな。


論語 アルファー 15 論語 孔子 楽
アルファー:これって論語学而篇と同じですよね。

孔子:うむ。学而篇でも話したが、元ネタはこの子罕篇の方であるようじゃ。漢帝国の時代にワシの人気が高まるにつれ、儒者たちが片っ端からワシの言葉のメモをあつめて論語が膨らんだのじゃな。

さらに詳しく

22

諸君。忘れないでくれ。

大将軍でもクビに出来る。しかし。
凡人だろうと志を変えさせることは出来ないのだ。


論語 アルファー7 論語 孔子 キメ
アルファー:これが論語の名言、「三軍も帥を奪うべし、匹夫も志を奪うべからず」なんですね。

孔子:そうじゃ。人は従いはしても、心までは売り渡さぬものじゃて。

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23

子路も死んだ!

破れた綿入れを着たまま、上等の毛皮を着た者と並んで平気でいられるのは、お前だけだったな。


論語 アルファー23 論語 孔子 哀
アルファー:まあ、子路さんまで。

孔子:うむ。逃げようと思えば逃げられたのに、筋を通して命を落とした。最後まで、真っ直ぐな男じゃった。

さらに詳しく

24

子路よ。お前はよく歌っていたな。
「♪ひがみませぬ~欲しがりませぬ~、悪いことも致しませぬ~。」

あれはそんなに大層な歌ではなかったんだがな。

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25

それにしても今年は寒いな。
…そのはずだわ、マツやヒノキさえ葉を落としてるじゃないか。
他の木よりはがんばったな。

我らも、また。

さらに詳しく

26

同志諸君。長い間よく耐えてくれた。

知者はものを知っているから迷わない。
仁者は悟っているから悩まない。
勇者は腕があるから恐れない。

諸君らはそのいずれかだ。


論語 アルファー 15 論語 孔子 喜
アルファー:これって、論語後半の憲問篇と同じでは?

孔子:うむ、そうじゃ。じゃが現伝の論語は、前半と後半が、もともと別の本じゃったんじゃよ。

さらに詳しく

27

今や冥土に、あるいは諸国に散ってしまった幹部諸君。
諸君を選んだのにはわけがあったのだよ。

弟子入りしても、多くは技が身に付かなかった。
身に付いても、多くは革命に加わらなかった。
加わっても、多くは計略が立てられなかった。

どうか覚えていてくれ。

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28

♪スモモの花、ひらひらと~。
♪いかであなたを、忘れよう~。
♪遠いがために、行けぬのだ~。

呉国は遠いな。
こんな言い訳、昔は思いもしなかったのだがな。


論語 アルファー17 論語 孔子 楽
アルファー:先生、これって、あの…。

孔子:皆まで言わずとも良い。ワシの遺言じゃな。論語の前半のタネとなった本を編纂した弟子やその後継者たちも、そのつもりで載せたのじゃろう。呉国はまだ生き残っておったが、はたから見れば、早いうちに亡国は疑いなしじゃった。

それとこの歌は、『詩経』にもない。記憶がはっきりせんが、母上に歌って貰ったような気がしてならんのじゃ。

さらに詳しく


論語 アルファー24
アルファー:シクシク。

孔子:これアルファー君、泣くのはやめるのじゃ。ワシと同じ時代を生きたインドの賢者、ブッダどのも、「形あるものには必ず終わりが来る」とさとしておいでじゃ。じゃがワシが世を去っても、こうしてワシの言葉は論語に残っておるではないか。

論語 孔子 慈愛
う~む、仕方ないのう。閲覧者の諸賢、お疲れ様じゃったのう。

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