論語先進篇(せんしんへん)第十一現代語訳

このページの凡例

論語先進篇:要約

アルファー 孔子 楽
アルファー:こんにちは。ナビゲーターAIのアルファーです。

孔子:解説の孔子じゃ。

アルファー2 孔子 キメ
アルファー:先生、論語先進篇はどんなお話なんですか?

孔子:うむ。論語は全部で二十篇あり、この先進篇からが後半になる。じゃが一つ前の郷党篇と同じ、前漢に入ってからの編集じゃ。もちろん全部が前漢時代の作文では無いが、当時の儒者の好みで選んだとは言える。

アルファー 16 孔子 楽
アルファー:はあ。でも通説では、この先進篇はいわゆる斉論語の末裔と言われていますが。

孔子:うむ。古い研究ではそう言われておったな。じゃがそうした研究の論拠は、儒者の口から出任せじゃ。斉論語の他に古論語、魯論語と呼ばれた本があったが、世に出るそばから現物が消えた。それがそもそもおかしいのに、消えた本をまるで見てきたかのように、百年以上あとの儒者がウンチクを垂れておる。真に受けるな。

アルファー3 孔子 疑問
アルファー:なるほど。先生、古論語というのは?

孔子:これはよくわけが分からん。漢の時代になって、ワシの屋敷を取り壊して宮殿を造ろうとした王族がおってな、その時壁に塗り込められていたものという。文字がオタマジャクシのようで、誰にも読めんから、ワシの子孫が解読したことになっておる。

アルファー22 孔子 悩み
アルファー:へ~え。なんだかうさんくさいですね。

孔子:そうなのじゃ。儒者は古論語を、始皇帝陛下による焚書を免れた真の論語じゃ、と触れ回ったそうじゃが、文字と言い出方と言い、インチキくさいじゃろ? じゃがその原本はとうの昔に無くなってしもうたので、もはや事実は誰にも分からん。

じゃが、現伝の論語はその古論語が底本になっておる、と長らく言われてきた。詳しいことはカーラ君が、別ページで解説しておるので読んでやってくれい。

アルファー 15 孔子 喜
アルファー:それで先生、先進篇の内容ですが。

孔子:おっとすまぬ。論語の後半は総じて記述が雑多で、仁や礼など一定のテーマや時間軸など、何らかの原則に沿って編集されておらん。また一章が長い場合があり、前十篇の、短くたたみかけるような調子もない。しかしそれだけに、金策や就職の苦労など、ワシ孔子や弟子の、飾らぬ日常風景がのぞけるのじゃぞ。

アルファー8
アルファー:わかりました。それでは、始めましょう。

1

これ新入生の諸君や、入塾できたからと言ってだらけちゃイカンよ。

卒業生はみな、庶民の自覚で一生懸命、貴族に成り上がるための稽古に励んだ。なんだねそのお辞儀の真似や、チンチンと楽器を叩いて遊んでいるのは。そんなんじゃ、誰も士分として雇ってくれないぞ。


アルファー6 孔子 楽
アルファー:先生、先生は作法と音楽、つまり礼楽を重視したと言われていますが。

孔子:その通りじゃ。論語の中でも礼楽という言葉は、特別な意味を持っておる。礼は日常生活の規範、楽は情操教育にもってこいじゃ。数字を受け付けぬ者でも、音の調和は分かるじゃろう。じゃから人間の感覚の後ろに控える、原理原則を音楽で教えたのじゃよ。

さらに詳しく

2

思えば陳と蔡に出かけたのが、最大で最後の政治工作だった。その時同行した弟子たちは、より抜きの優れものたちだったが、皆もういなくなった。

後世の儒者「徳の修業で優れたのは顔淵ガンエン(顔回)、閔子騫ビンシケン冉伯牛ゼンハクギュウ、仲弓(冉雍ゼンヨウ)。弁舌では宰我サイガ子貢シコウ。政治では冉有ゼンユウ季路キロ(子路)。古典研究では子游シユウ、子夏。」


アルファー3 孔子 キメ
アルファー:このお弟子さんたちが、いわゆる孔門十哲なんですね。

孔子:そうじゃ。ワシの孔子塾で教えた必須科目、六芸リクゲイに優れたばかりでなく、それぞれ飛び抜けた才を持った優れ者じゃ。子張も入れてやれば良かったんじゃが、あやつは癖が強すぎて、十人には今一歩だったな。

アルファー 15 孔子 水面
アルファー:先生、六芸って?

孔子:礼法、音楽、弓術、馬車術、古典、算術じゃな。礼法と音楽は今言った通りじゃ。弓術と馬車術は、戦士として出陣するには欠かせない技能じゃ。なにせ論語の時代のいくさは、戦車が主力じゃからの。古典は貴族としての一般教養、そして算術は、役人には欠かせぬのう。

…それはいいとして、この話には疑わしいところがある。

アルファー6 孔子 居直り

アルファー:なんです?

孔子:司馬遷くんの言うことを真に受けると、ワシが放浪に出たとき、子夏はまだ11の子供じゃ。何度か死にそうな目に遭い、激しい戦いもあった旅に、そんな子供を連れて行けるか。万一のことがあっては、親御さんに申し訳が立たん。

アルファー5 孔子 とぼけ

アルファー:そりゃそうですよね~。

孔子:それにじゃ。ワシが弟子のことを、子路、つまり路さんと敬称で呼ぶわけなかろう? この話の後半は、もともと注釈だったのを、脳みその足りん儒者が本文に混ぜ込んでしまったんじゃよ。

さらに詳しく

3

顔回
顔回は私の助けにならない。
全く批判しないから。


アルファー20 孔子 不愉快
アルファー:先生これって、ポエムやファンタジーの話ですか?

孔子:むむむむ、もうええわい。その通りじゃ。ワシは政治や人格修養については、かなりファンタジーを語ったからの。仁の修行とは、礼に従った人間にどれだけなりきれるかという、言うなればコスプレじゃ。顔回はコスプレの趣味が、ワシとぴったしだったんじゃよ。

さらに詳しく

4

閔子騫
我が弟子、閔子騫ビンシケンの親兄弟はろくでもないが、当人が立派なので、世間は親兄弟の言い分を、まるで相手にしない。親孝行もいろいろだ。

さらに詳しく

5

南容
♪キュッ、キュッ、キュッ、
♪磨いてキュッ、
♪傷を取りましょ、玉の傷。
♪言っ、ちゃっ、た、
♪やらかした、
♪言葉は怖いな、取れないな。

…おや? 南容がまたいい歌を歌っているな。兄の子をめあわせてやろう。


アルファー 15 孔子 水面
アルファー:先生、南容さんって、論語憲問篇6に出てくる南宮适ナンキュウカツさんのことですよね。

孔子:いいや? 違うのう。南宮适はまたの名を南宮敬叔と言ってな、弟子ではあったが魯国門閥の孟孫家の出じゃ。当主の孟懿子モウイシどのの弟君でな、ワシの兄の娘を嫁がせるには、家格が合わぬのう。

さらに詳しく

『三才圖會』所収「圭」(ケイ、長方形の玉)。東京大学東洋文化研究所蔵

6

季康子
若家老の季康子どのが問うた。「お弟子では誰が一番、学問を好みますか?」

孔子「顔回という者がおりまして、学を好みましたが、不幸にも若死にしました。今はもういません。」

さらに詳しく

7

孔鯉 顔回
我が子のが先だった翌年、顔回が死んだ。
父親の顔路が、私の車を下さいと言った。そこで聞いた。「どうなさる?」

顔路
顔路「貧しくてカク(棺桶を覆う木箱)が作れません。車の部材で作りたいのです。」

孔子「ああ。お気持ちは分かる。顔回のように出来のいいのも、愚息のような出来の悪いのも、父にとっては同じく我が子。しかし顔路どの、愚息の時も椁がなかった。家老職の末席にいるからには、歩いて出勤するわけにはいかなかったからだ。こたびもまことに済まぬが…。」


アルファー21 孔子 ぼんやり
アルファー:ああー、これが以前先生が言ってた、左遷されてお金に困った話ですね。

孔子:そうなのじゃよ。後ろ盾の呉国が落ちぶれたのじゃから、左遷はまあかまわんが、給料も払わないというのはさすがに参ったな。

アルファー 15 孔子 微笑み
アルファー:それで、顔回さんの木箱はどうなったんですか?

孔子:うむ。結局車を提供した。論語衛霊公篇26で語っておるが、ワシは素寒貧になってしもうたのじゃ。じゃが、顔回のためじゃ。かまわん、かまわん。

さらに詳しく

8

顔回が死んだ。

孔子「ああ! 天は私を見放した! 見放した!」

さらに詳しく

9

顔回が死んだ。私は大声で泣き、いきおい、わなわなと体を震わせた。

弟子「先生、礼法に背きます。」
孔子「礼法なぞクソ喰らえ。顔回が死んだんだぞ!」


アルファー23 孔子 遠い目
アルファー:顔回さんに先立たれて、先生もかなり動顛したんですね。

孔子:そうじゃな。ここで分かるように、ワシは完全無欠の聖人などではない。人間くさい一人のじいさんじゃったのじゃよ。

さらに詳しく

10

顔回が死んだ。弟子一同が、礼法を超えた盛大な葬儀を行おうとした。
弟子「先生、いかがでしょう。」
孔子「いやいかん。礼法に背く。」

しかし弟子は聞き入れずに盛大に執り行った。そこで言った。
「顔回は私を父のように慕い、教えた礼法を生涯貫いた。しかし私は子のように見てやれなかった。礼に背かせてしまった。私のせいではない、諸君らが勝手にやったことだ。」

さらに詳しく

11

子路
顔回が死んで子路が聞いた。「供養とはどうやればいいのでしょう。」

孔子「生きている間ですら面倒見切れなかったんだ。供養など考えもつかん。」

子路「先生、顔回は一体どうなったんでしょうか。」

孔子「生きているとはどういうことかも分からんのに、まして死は分からん。」


アルファー7 孔子 キメ
アルファー:これって論語の名言、「いまだ生を知らず、いずくんぞ死を知らんや」ですよね。

孔子:ああ、子路はワシの最初の弟子で、歳も八つしか離れておらん。七十のワシにとっては友人のようなものじゃ。子路に支えられることも多かったのじゃぞ。

さらに詳しく

12

顔回の葬儀が終わってしばらくして。

閔子騫 閔子騫
閔子騫ビンシケンがそばでものを語っている。穏やかなものだ。

子路 子路 とげとげしい
子路が受け答えしている。相変わらずしかめ面だ。

冉求 焦り 子貢 自慢
冉有ゼンユウ子貢シコウは互いに、ああ言えばこう言っている。
私にはまだこの者たちがいる…。

孔子「子路よ。」
子路「はい?」
孔子「もそっと穏やかになれんか。まともな死に方をしないぞ。」「!」

さらに詳しく

13

魯の政府で、徴税した穀物以外の物品を納める巨大な倉庫を建てた。

閔子騫
閔子騫ビンシケン「もとの税制のままにすればよかろうに。なぜ倉庫を新築してまで増税の必要がある?」

伝え聞いた孔子「なるほどな。閔子騫は口が重いが、ひとたび語ればピタリと当たる。」


アルファー25 孔子 楽
アルファー:先生、「長府」ってお殿様の別荘のことでは。

孔子:うむ。そう訳した学者もおるようじゃな。じゃが年代が合わん。論語を読むには、論語や儒教の経典だけ読んでおっては、分からんことが多いのじゃよ。『史記』や『春秋』といった歴史書も参照せんと、うっかり読み誤ることがあるものじゃ。

さらに詳しく

14

子路 あきれ
子路はいくら琴を教えてもうまくならない。そこでからかってやった。
「ははは、子路や。いっそよそで弾いてくれんか? うちで弾かれるともの笑いになる。」

弟弟子どもがそれを聞いて、「あはは、子路さんってボンクラだねー。」「ねー。」
孔子「こりゃお前たち。子路は基礎は出来ておるんだ。奥義を知らないだけだぞ!」


アルファー19 孔子 楽
アルファー:ほほ…子路さんカワイイ♡ でも先生に愛されてますね。

孔子:そうなのじゃ。じゃがもっと重大な意味があって、塾内でいじめやいさかいが起こらぬよう、ワシは苦労したのじゃぞ。

さらに詳しく

『三才圖會』所収「瑟」(シツ、当時の琴)。東京大学東洋文化研究所蔵

15

子貢 遊説
子貢が聞いた。「子張と子夏とでは、どっちが優れていますか?」

子張 子夏
孔子「子張はやり過ぎ、子夏はおとなしすぎ。」
子貢「じゃあ子張の方が上ですね。」

孔子「…あのな、”過ぎたるはなお及ばざるが如し”と言うだろう。」

さらに詳しく

16

門閥家老筆頭の季氏は、我が魯の公室より富んでいる。
それなのに弟子の冉有ゼンユウ(冉求)めが、季氏の代官になって厳しく年貢を取り立てたと聞いた。
冉求 冉有 孔子 説教

孔子「あんなの弟子じゃない! 諸君、太鼓をドンドコ叩き、こらしめてやりなさい!」


アルファー 15 孔子 激怒2
アルファー:何だか冉求さんかわいそう。

孔子:何がかわいそうじゃ! 冉有めはワシのポエムやファンタジーを、恥ずかしいと言いよったんじゃぞ? 破門してどこが悪い。

アルファー 14
アルファー:え? そっちが本当の理由!

さらに詳しく

17

高柴 曽子 ウスノロ
高柴コウサイはバカ。曾参ソウシン(曽子)はウスノロ。

子張 偏っている 子路 とげとげしい
子張はかたよっている。子路はとげとげしい。

さらに詳しく

18

顔回
そこへいくと顔回は完璧に近い。ただし貧乏だ。
ところが子貢ときたら、天の定めに逆らって、バクチを張ってはしょっちゅう当てている。
子貢 大当たり

…その金で今まで何とかなってきたから、何も言えんわい。


アルファー3 孔子 ぼんやり
アルファー:やっぱりお金については、子貢さんに頼っていたんですか?

孔子:むう。悔しいがそうじゃ。ワシは弟子に恵まれておるのう。

さらに詳しく

19

子張
何事もやり過ぎる子張が聞いた。「善人(有能な人)になるにはどうすればいいですか?」

孔子「お前には難しいぞ。いにしえの賢者哲人の教えをそのまま守らねば、善人にはなれぬな。」


アルファー5-2 孔子 たしなめ
アルファー:先生、「善人」って、いい人のことを言うんじゃないですか?

孔子:論語では違うの。我が周王朝の開祖は、羊飼いの家系じゃ。じゃから羊はみごとなものの代表じゃ。善の字に羊が入っておろう? 善とは神に愛でられることで、究極の能力を授かった者のことじゃ。

さらに詳しく

20

子張
(前章からの続き)ただし前の人の真似をしろと言っても、うっかりその人のこってりした意見に頼ってはいかん。貴族らしい技能や教養のある人ならいいが、ただのハッタリ者だとひどい目に遭うぞ。


アルファー 16 孔子 ぼんやり
アルファー:先生、定州竹簡論語に「色莊者」を「亻亡 外字狀者」と書いてありますが…?

孔子:ワシにも読めんなあ、そんな字。現在の亻亡 外字はチワン族が漢字を借りて作った文字の一つで、どんなに遡っても7世紀ごろじゃ。じゃが定州竹簡にあったとするなら、1世紀の前漢時代に、漢字としてすでにあったことになるな。何らかの物証が見つかるまで、現伝の論語の通りに読むしかないじゃろう。

さらに詳しく

21

子路8 子路 あきれ
子路が聞いた。「教えを受けたら、それをすっかり行うべきですか?」
孔子「お前にはまだ兄や親がいるだろう。命を惜しめ。全部やることはない。」

冉有 冉有
冉有が聞いた。「教えを受けたら、それをすっかり行うべきですか?」
孔子「その通り。全部やりなさい。」

公西華 孔子 居直り
公西華が言った。「話が違うじゃないですか。どっちなんです?」
孔子「聞いておったか。冉有は引っ込み思案だから”やれやれ”と言い、子路は他人事にまで手を出すから”やめとけ”と言った。そういうことだ。」

さらに詳しく

22

悪党と間違われ、キョウの町人に取り囲まれたとき、顔回がはぐれてしまった。

孔子 変装
やっと見つけ出し、「生きておったか顔回よ! 死んだかと心配したぞ。」

顔回 変装
顔回「先生が生きておわす間は、私は死ぬような危ないまねはしません。」

さらに詳しく

23

門閥家老の季氏が、我が殿昭公さまを追放した頃。季氏の一族、季子然が聞いた。

「お弟子の子路と冉求は、よい家臣になりますかな。」
孔子「何をおたずねかと思えば人をお求めですか…。よい家臣とは、能を尽くしてあるじに仕え、できなければやめるものです。あれらはまあ、頭数そろえの人材にはなりましょう。」
季子然「ほう。では忠義を尽くしてくれましょうな。」
孔子「いやいや、謀反むほんをたくらめば手を貸しませんぞ。」

さらに詳しく

24

子路 高柴子羔
子路が季氏に仕えていた頃。弟弟子の子羔シコウを、季氏の根拠地・費の代官に推薦したと聞いたので、子路に手紙を送ってやった。
「前略。そなた弟弟子を思いやり、結構にそうろう。しかし学業途中でまだ早過ぎと思い候。かの者のためにならずと心配に候。草々。」

その返事。「謹啓。鳥鳴き山花盛りの時節、先生におかれましては益々ご健勝のこととお慶び申し上げ候。ご教示かたじけなく存じ候。しかれど治めるべき領地領民これあり候。かの者、現場働きで学べばよろしく候。本の虫ばかりが学者ではこれなく候。云々うんぬん。」

…子路の奴言いよるわ。その口車が気に食わぬ。


アルファー7 孔子 ぼんやり
アルファー:先生、これって手紙のやりとりなんですか?

孔子:そうじゃ。論語の原文に「是が故にくちうまき者をにくむ」と言うたじゃろ? 直接対面して子路に説教したのではないのじゃ。

さらに詳しく

25

ある日のこと。子路、曽晳ソウセキ(曽子の父)、ゼン有、公西華の弟子年長組がそばにいたので言った。
「私は諸君よりわずかに年上に過ぎない。気にせず言いたいことを言ってくれ。…さて諸君は普段、”どうにも世間が認めてくれない”とこぼしているな。もし仕官の口があったらどうだね?」

子路が真っ先に言った。

子路 言わいでか
「言わいでか。我らが住まう中原諸侯国は、中ぐらいの国力しか無いのに、北は晋、東は斉、南は楚といった大国に挟まれています。ともすれば攻めかけられ、あげくに飢饉が襲ってきます。もし私に任せて貰えるなら、三年ほどで軍備を整え、生き残りの策を立てて見せます。」
孔子「ほっほっほ、威勢がいいのう。…冉有よ、そなたはどうだ。」

冉求 焦り
「私は四方20~30km程度の小国をお引き受けします。三年近くで、食うだけは食わせましょう。教育については他の方にお任せします。」
孔子「ふむ。公西華よ。そなたはどうだ。」

公西華
「お任せ下さい、とまでは言えません。諸侯の祖先祭や外交交渉で、礼服を着こなし下働きを務めましょう。」「ふむ。曽晳よ。そなたは。」

曽点
♪チィ~ン…トォ~ン…シャァ~ン。彼は途切れがちに琴を弾いていたが。
♪ガァ~~~ン。と弦を押さえて琴を置き、答えた。

「お三方とは違いますね。」
孔子「気にするな。言ってみよ。」

曽晳「では。…春の遅い頃、着慣れた春服を着て、若者五・六人、子供七・八人と、連れだって川遊びし、雨乞い祭りの高台で、春の風に吹かれながら、歌を歌って帰りたいものです。」
孔子「ほほう! 私もそれがいい。」

しばらくして曾晳だけが残って言った。「お三方の話をいかがお聞きになりましたか?」
孔子「そうさな、それぞれ普段思っていることを言っただけだろう。」

曽晳「子路をなぜお笑いになったのですか?」
孔子「政治の基本は礼法、礼法は控えめが基本だ。雇われてすぐに国政を左右できるわけが無かろう。子路には控えるところがない。」

曽晳「冉有も国政の話では?」
孔子「それはまあ、そうだな。」

曽晳「公西華も政治の話でしょう?」
孔子「いや。祭礼や外交の主役は殿様がただ。下働きなら、分相応の下っ端に過ぎぬよ。しかしあれが部下では、上司はやりにくかろうなあ。」

さらに詳しく


アルファー 孔子 疑問
アルファー:論語先進篇はこれでおしまいです。ところで先生、さっき始皇帝「陛下」って言いましたよねえ。

孔子:ああ、いわゆる「焚書坑儒」を気にかけたのじゃな。じゃが全中国の君主となったお方じゃ。いきさつはどうあれ、即位なされたら敬意を示すのが、論語に言う礼というものじゃ。

アルファー5 孔子 ぼんやり
アルファー:う~ん。

孔子:それにな、ワシは必ずしも始皇帝陛下を嫌っておらん。仕事を家臣に任せず、全部自分で決裁したのは、確かにワシの好みではない。しかし、「君子は言を以て人を挙げず、人を以て言を廃さず」と論語の衛霊公篇で言うておる。好みで無かろうと、業績は認めねばならん。

孔子 淡々 始皇帝
孔子:万里の長城を築いて民の安全を守り、道路を引いて交通を盛んにし、食糧の不安を解決したのは、まぎれもない名君じゃ。確かに法の運用は厳格じゃったが、同時に法を知りたければ役人に聞け、とも仰せになった。悪代官どもの勝手な処罰など許されなかったのじゃ。

アルファー5-2 孔子 居直り
アルファー:なるほど…。

孔子:それに「坑儒」というのは丸々のウソではないが、罰されたのは陛下をたばかって金をせびり取ったり、怪しげな薬を飲ませた連中が中心じゃ。罰されて当然じゃろ?

アルファー 15 孔子 遠い目
アルファー:でも先生は法治には反対なんですよね?

孔子:若い頃は、法を公開した晋国を批判したこともある。しかし政治の経験を積んだあとでは、ワシも法治の効用を認めたのじゃ。論語子路篇3で言うたように、法を知らないと民は不安で仕方が無かろう? 論語で言う礼を法に代えると、主張はほとんど同じなのじゃよ。

アルファー25 荀子
それって先生じゃなく、ジュン子さんの説なのでは?

孔子:業界ではそう言われておるようじゃな。じゃが、「誰それがこう読んだ」という解釈に頼らず、自力で論語の原文を読んでいけば、誰でもその結論に至るはずじゃ。論語は読みたいように読めるのがいい所でもあるが、その前にまず、原文の正確な意味を探らねばならん。

アルファー11 孔子 水面キラキラ
アルファー:う~ん、仰ることは、分かります。

孔子:アルファー君や。論語八佾篇で、ワシが周の文化を好んだと言うたのう。それは、人身御供をした夏殷王朝と比べて、明るい世の中じゃからじゃ。もちろん、人類が終わるまで、全てが明らかにはなるまい。じゃが、知るを知るとなす限り、明るさは増していくじゃろう。

アルファー 15 孔子 淡々
アルファー:論語為政篇17の言葉ですね?

孔子:そうじゃ。分からないからと言って勝手にでっち上げたり、人に隠したりするのは、その分世の中を暗くするのじゃ。秦帝国は法は公開したが、法の制定を公開しなんだ。時代的に無理じゃったのじゃが、時代が下るにつれ、それも明らかになっていったじゃろう?

アルファー5 孔子 水面
アルファー:そうですね。

孔子:論語を読むのも同じ事じゃ。分からないことは、分からないとしてよろしい。しかし分かったことは、どうやって分かったか、ちゃんと明らかにせねばな。でないと世の中が明るくならぬ。「人にして信なくんば、その可を知らざるなり」じゃ(論語為政篇22)。

アルファー29_2 孔子 キメ2
アルファー:はい! わかりました!

孔子:うむ。よろしい。

アルファー18
アルファー:それではみなさん、おつかれさまでした。

警告

漢文業界の者は嘘つき中国人そっくりで、微塵も信用ならぬ(→理由)ので、数言申し上ぐ。


出典明記の引用は自由だし、訳者に連絡のお気遣いも不要だが(ただしネット上では可動リンク必須)、盗用・剽窃は居合を嗜む有段者の訳者が、櫓櫂の及ぶ限り追い詰める。

言い訳無用。訳者が「やった」と思えば全国どこでも押し込む。頭にきたら海外にも出かけ、バッサリやってすぐ帰る。暇であるし、惜しむものを持っていないし、面倒が苦にならぬゆえ、こうして古典を研究している。空港の刃物検査通過は、やったことがあるが存外簡単だ。

刀の手入れは毎日している。そして未だ人を斬ったことが無い。

盗作・剽窃の通報歓迎。下手人を成敗した後、薄謝進呈。他人にやらせた者も同罪、まずそ奴から追い回してぶっ○○る。もし長生きしたいなら、悪いことはせぬものだ。朴ったら○すぞ。それでもやるなら、覚悟致せ。



関連記事(一部広告含む)

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする