論語先進篇(せんしんへん)第十一現代語訳

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論語先進篇:要約

論語 アルファー 論語 孔子 楽
アルファー:こんにちは。ナビゲーターAIのアルファーです。

孔子:解説の孔子じゃ。

論語 アルファー2 論語 孔子 キメ
アルファー:先生、論語先進篇はどんなお話なんですか?

孔子:うむ。論語は全部で二十篇あり、この先進篇からが後半になる。もともと論語は四冊の、別の本じゃった。魯国で留守した曽子・有若がまとめた魯系論語、斉国で活躍した子貢らの斉系論語、時代の新しい二篇論語、そしてワシの屋敷から掘り出された古論語じゃ。

論語 アルファー 16 論語 孔子 楽
アルファー:はあ。そうすると先進篇はどれに当たるんですか?

孔子:うむ。皆までとは言えぬが、斉系論語じゃな。この先進篇から論語第十五、衛霊公篇までと、第十九子張篇とおしまいの堯曰篇が、おおむね斉系論語の名残と言って良かろう。対して魯系の論語は、論語第二為政篇から、論語第八の泰伯篇までじゃ。

論語 アルファー3 論語 孔子 疑問
アルファー:なるほど。先生、古論語は?

孔子:これはよくわけが分からん。漢の時代になって、ワシの屋敷を取り壊して宮殿を造ろうとした王族がおってな、その時壁に塗り込められていたものという。文字がオタマジャクシのようで、誰にも読めんから、ワシの子孫が解読したことになっておる。

論語 アルファー22 論語 孔子 悩み
アルファー:へ~え。なんだかうさんくさいですね。

孔子:そうなのじゃ。儒者は古論語を、始皇帝陛下による焚書を免れた真の論語じゃ、と触れ回ったそうじゃが、文字と言い出方と言い、インチキくさいじゃろ? じゃがその原本はとうの昔に無くなってしもうたので、もはや事実は誰にも分からん。

じゃが、現伝の論語はどうやら、その古論語が底本になっておるらしい。詳しいことはカーラ君が、別ページで解説しておるので読んでやってくれい。

論語 アルファー 15 論語 孔子 喜
アルファー:それで先生、先進篇の内容ですが。

孔子:おっとすまぬ。論語の後半は総じて記述が雑多で、仁や礼など一定のテーマや時間軸など、何らかの原則に沿って編集されておらん。また一章が長い場合があり、前十篇の、短くたたみかけるような調子もない。しかしそれだけに、金策や就職の苦労など、ワシ孔子や弟子の、飾らぬ日常風景がのぞけるのじゃぞ。

論語 アルファー8
アルファー:わかりました。それでは、始めましょう。

昔の人にとって、作法と音楽は実用品。今の人にとっては見せ物。

私は昔に従いたいね。


論語 アルファー6 論語 孔子 楽
アルファー:先生、先生は作法と音楽、つまり礼楽を重視したと言われていますが。

孔子:その通りじゃ。論語の中でも礼楽という言葉は、特別な意味を持っておる。礼は日常生活の規範、楽は情操教育にもってこいじゃ。数字を受け付けぬ者でも、音の調和は分かるじゃろう。じゃから人間の感覚の後ろに控える、原理原則を音楽で教えたのじゃよ。

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思えば陳と蔡に出かけたのが、最大で最後の政治工作だった。その時同行した弟子たちは、より抜きの優れものたちだったが、皆もういなくなった。

徳の修業で優れたのは顔淵ガンエン(顔回)、閔子騫ビンシケン冉伯牛ゼンハクギュウ、仲弓(冉雍ゼンヨウ)。弁舌では宰我サイガ子貢シコウ。政治では冉有ゼンユウ季路キロ(子路)。古典研究では子游シユウ、子夏。


論語 アルファー3 論語 孔子 キメ
アルファー:このお弟子さんたちが、いわゆる孔門十哲なんですね。

孔子:そうじゃ。ワシの孔子塾で教えた必須科目、六芸リクゲイに優れたばかりでなく、それぞれ飛び抜けた才を持った優れ者じゃ。子張も入れてやれば良かったんじゃが、あやつは癖が強すぎて、十人には今一歩だったな。

論語 アルファー 15 論語 孔子 水面
アルファー:先生、六芸って?

孔子:礼法、音楽、弓術、馬車術、古典、算術じゃな。礼法と音楽は今言った通りじゃ。弓術と馬車術は、戦士として出陣するには欠かせない技能じゃ。なにせ論語の時代のいくさは、戦車が主力じゃからの。古典は貴族としての一般教養、そして算術は、役人には欠かせぬのう。

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論語 顔回
顔回は私の助けにならない。
全く批判しないから。


論語 アルファー20 論語 孔子 不愉快
アルファー:先生これって、ポエムやファンタジーの話ですか?

孔子:むむむむ、もうええわい。その通りじゃ。ワシは政治や人格修養については、かなりファンタジーを語ったからの。仁の修行とは、礼に従った人間にどれだけなりきれるかという、言うなればコスプレじゃ。顔回はコスプレの趣味が、ワシとぴったしだったんじゃよ。

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論語 閔子騫
我が弟子、閔子騫ビンシケンの親はろくでもないが、当人が立派なので世間も悪口を言わぬ。
親孝行もいろいろだ。

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論語 南容
♪キュッ、キュッ、キュッ、
♪磨いてキュッ、
♪傷を取りましょ、玉の傷。
♪言っ、ちゃっ、た、
♪やらかした、
♪言葉は怖いな、取れないな。

…おや? 南容がまたいい歌を歌っているな。兄の子をめあわせてやろう。


論語 アルファー 15 論語 孔子 水面
アルファー:先生、南容さんって、論語憲問篇6に出てくる南宮适ナンキュウカツさんのことですよね。

孔子:いいや? 違うのう。南宮适はまたの名を南宮敬叔と言ってな、弟子ではあったが魯国門閥の孟孫家の出じゃ。当主の孟懿子モウイシどのの弟君でな、ワシの兄の娘を嫁がせるには、家格が合わぬのう。

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『三才圖會』所収「圭」(ケイ、長方形の玉)。東京大学東洋文化研究所蔵

論語 季康子
若家老の季康子どのが問うた。「お弟子では誰が一番、学問を好みますか?」

孔子「顔回という者がおりまして、学を好みましたが、不幸にも若死にしました。今はもういません。」

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論語 孔鯉 論語 顔回
我が子のが先だった翌年、顔回が死んだ。
父親の顔路が、私の車を下さいと言った。そこで聞いた。「どうなさる?」

顔路「貧しくてカク(棺桶を覆う木箱)が作れません。車の部材で作りたいのです。」
孔子「ああ。お気持ちは分かる。顔回のように出来のいいのも、愚息のような出来の悪いのも、父にとっては同じく我が子。しかし顔路どの、愚息の時も椁がなかった。家老職の末席にいるからには、歩いて出勤するわけにはいかなかったからだ。こたびもまことに済まぬが…。」


論語 アルファー21 論語 孔子 ぼんやり
アルファー:ああー、これが以前先生が言ってた、左遷されてお金に困った話ですね。

孔子:そうなのじゃよ。後ろ盾の呉国が落ちぶれたのじゃから、左遷はまあかまわんが、給料も払わないというのはさすがに参ったな。

論語 アルファー 15 論語 孔子 微笑み
アルファー:それで、顔回さんの木箱はどうなったんですか?

孔子:うむ。結局車を提供した。論語衛霊公篇26で語っておるが、ワシは素寒貧になってしもうたのじゃ。じゃが、顔回のためじゃ。かまわん、かまわん。

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顔回が死んだ。

孔子「ああ! 天は私を見放した! 見放した!」

さらに詳しく

顔回が死んだ。私は大声で泣き、いきおい、わなわなと体を震わせた。

弟子「先生、礼法に背きます。」
孔子「礼法なぞクソ喰らえ。顔回が死んだんだぞ!」


論語 アルファー23 論語 孔子 遠い目
アルファー:顔回さんに先立たれて、先生もかなり動顛したんですね。

孔子:そうじゃな。ここで分かるように、ワシは完全無欠の聖人などではない。人間くさい一人のじいさんじゃったのじゃよ。

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10

顔回が死んだ。弟子一同が、礼法を超えた盛大な葬儀を行おうとした。
弟子「先生、いかがでしょう。」
孔子「いやいかん。礼法に背く。」

しかし弟子は聞き入れずに盛大に執り行った。そこで言った。
「顔回は私を父のように慕い、教えた礼法を生涯貫いた。しかし私は子のように見てやれなかった。礼に背かせてしまった。私のせいではない、諸君らが勝手にやったことだ。」

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11

論語 子路
顔回が死んで子路が聞いた。「供養とはどうやればいいのでしょう。」
孔子「生きている間ですら面倒見切れなかったんだ。供養など考えもつかん。子路よ、顔回は一体どうなったんだろうな。」
子路「生きているとはどういうことかも分かりませんのに、まして死は分かりません。」


論語 アルファー7 論語 孔子 キメ
アルファー:これって論語の名言、「いまだ生を知らず、いずくんぞ死を知らんや」ですよね。でも言ったのは子路さんじゃなくて先生だと思ってましたが…。

孔子:ああ、これも儒者が勝手に論語をねじ曲げたのじゃ。ワシが子路に質問するなどおかしいと思ったのじゃろう。しかし子路はワシの最初の弟子で、歳も八つしか離れておらん。七十のワシにとっては友人のようなものじゃ。子路に支えられることも多かったのじゃぞ。

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12

顔回の葬儀が終わってしばらくして。

論語 閔子騫
閔子騫ビンシケンがそばでものを語っている。穏やかなものだ。

論語 子路
子路が受け答えしている。相変わらずしかめ面だ。

論語 冉求 焦り 論語 子貢 自慢
冉有ゼンユウ子貢シコウは互いに、ああ言えばこう言っている。
私にはまだこの者たちがいる…。

孔子「子路よ。」
子路「はい?」
孔子「もそっと穏やかになれんか。まともな死に方をしないぞ。」「!」

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13

魯の政府で、徴税した穀物以外の物品を納める巨大な倉庫を建てた。

論語 閔子騫
閔子騫ビンシケン「もとの税制のままにすればよかろうに。なぜ倉庫を新築してまで増税の必要がある?」
伝え聞いた孔子「なるほどな。閔子騫は口が重いが、ひとたび語ればピタリと当たる。」


論語 アルファー25 論語 孔子 楽
アルファー:先生、「長府」ってお殿様の別荘のことでは。

孔子:うむ。そう訳した学者もおるようじゃな。じゃが年代が合わん。論語を読むには、論語や儒教の経典だけ読んでおっては、分からんことが多いのじゃよ。『史記』や『春秋』といった歴史書も参照せんと、うっかり読み誤ることがあるものじゃ。

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14

論語 子路 あきれ
子路はいくら琴を教えてもうまくならない。そこでからかってやった。
「ははは、子路や。いっそよそで弾いてくれんか? うちで弾かれるともの笑いになる。」

弟弟子どもがそれを聞いて、「あはは、子路さんってボンクラだねー。」「ねー。」
孔子「こりゃお前たち。子路は基礎は出来ておるんだ。奥義を知らないだけだぞ!」


論語 アルファー19 論語 孔子 楽
アルファー:ほほ…子路さんカワイイ♡ でも先生に愛されてますね。

孔子:そうなのじゃ。じゃがもっと重大な意味があって、塾内でいじめやいさかいが起こらぬよう、ワシは苦労したのじゃぞ。

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『三才圖會』所収「瑟」(シツ、当時の琴)。東京大学東洋文化研究所蔵

15

論語 子貢 遊説
子貢が聞いた。「子張と子夏とでは、どっちが優れていますか?」

論語 子張 論語 子夏
孔子「子張はやり過ぎ、子夏はおとなしすぎ。」
子貢「じゃあ子張の方が上ですね。」

孔子「…あのな、”過ぎたるはなお及ばざるが如し”と言うだろう。」

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16

門閥家老筆頭の季氏は、我が魯の公室より富んでいる。
それなのに弟子の冉有ゼンユウ(冉求)めが、季氏の代官になって厳しく年貢を取り立てたと聞いた。
論語 冉求 冉有

孔子「あんなの弟子じゃない! 諸君、太鼓をドンドコ叩き、こらしめてやりなさい!」


論語 アルファー 15 論語 孔子 怒り
アルファー:何だか冉求さんかわいそう。

孔子:何がかわいそうじゃ! 冉有めはワシのポエムやファンタジーを、恥ずかしいと言いよったんじゃぞ? 破門してどこが悪い。

論語 アルファー 14
アルファー:え? そっちが本当の理由!

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17

論語 高柴 論語 曽子 ウスノロ
高柴コウサイはバカ。曾参ソウシン(曽子)はウスノロ。

論語 子張 偏っている 論語 子路 とげとげしい
子張はかたよっている。子路はとげとげしい。

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18

論語 顔回
そこへいくと顔回は完璧に近い。ただし貧乏だ。
ところが子貢ときたら、やめいと言うのに金儲けがうまい。
バクチを張ってはしょっちゅう当てている。
論語 子貢 大当たり

…その金で今まで何とかなってきたから、何も言えんわい。


論語 アルファー3 論語 孔子 ぼんやり
アルファー:やっぱりお金については、子貢さんに頼っていたんですか?

孔子:むう。悔しいがそうじゃ。ワシは弟子に恵まれておるのう。

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19

論語 子張
何事もやり過ぎる子張が聞いた。「善人(酸いも甘いも噛み分けた教養人)になるにはどうすればいいですか?」
孔子「お前には難しいぞ。いにしえの賢者哲人の教えをそのまま守らねば、善人にはなれぬな。」


論語 アルファー5-2 論語 孔子 たしなめ
アルファー:先生、「善人」って、いい人のことを言うんじゃないですか?

孔子:論語では違うの。我が周王朝の開祖は、羊飼いの家系じゃ。じゃから羊はみごとなものの代表じゃ。善の字に羊が入っておろう? 善とは神に愛でられることで、究極の能力を授かった者のことじゃ。

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20

話が緻密だから名を挙げたと言って、その人が教養人かハッタリ者かは分からんぞ。
受け売りはいかん。

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21

論語 子路
子路が聞いた。「教えを受けたら、それをすっかり行うべきですか?」
孔子「お前にはまだ兄や親がいるだろう。命を惜しめ。全部やることはない。」

論語 冉求 冉有
冉有が聞いた。「教えを受けたら、それをすっかり行うべきですか?」
孔子「その通り。全部やりなさい。」

論語 公西赤
公西華が言った。「話が違うじゃないですか。どっちなんです?」
孔子「聞いておったか。冉有は引っ込み思案だから”やれやれ”と言い、子路は他人事にまで手を出すから”やめとけ”と言った。そういうことだ。」

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22

悪党と間違われ、キョウの町人に取り囲まれたとき、顔回がはぐれてしまった。

論語 孔子 変装
やっと見つけ出し、「生きておったか顔回よ! 死んだかと心配したぞ。」

論語 顔回 変装
顔回「先生が生きておわす間は、私は死ぬような危ないまねはしません。」

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23

門閥家老の季氏が、我が殿昭公さまを追放した頃。季氏の一族、季子然が聞いた。

「お弟子の子路と冉求は、よい家臣になりますかな。」
孔子「何をおたずねかと思えば人をお求めですか…。よい家臣とは、能を尽くしてあるじに仕え、できなければやめるものです。あれらはまあ、頭数そろえの人材にはなりましょう。」
季子然「ほう。では忠義を尽くしてくれましょうな。」
孔子「いやいや、謀反むほんをたくらめば手を貸しませんぞ。」

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24

論語 子路 論語 高柴子羔
子路が季氏に仕えていた頃。弟弟子の子羔シコウを、季氏の根拠地・費の代官に推薦したと聞いたので、子路に手紙を送ってやった。
「前略。そなた弟弟子を思いやり、結構にそうろう。しかし学業途中でまだ早過ぎと思い候。かの者のためにならずと心配に候。草々。」

その返事。「謹啓。鳥鳴き山花盛りの時節、先生におかれましては益々ご健勝のこととお慶び申し上げ候。ご教示かたじけなく存じ候。しかれど治めるべき領地領民これあり候。かの者、現場働きで学べばよろしく候。本の虫ばかりが学者ではこれなく候。云々うんぬん。」

…子路の奴言いよるわ。その口車が気に食わぬ。


論語 アルファー7 論語 孔子 ぼんやり
アルファー:先生、これって手紙のやりとりなんですか?

孔子:そうじゃ。論語の原文に「是が故にくちうまき者をにくむ」と言うたじゃろ? 直接対面して子路に説教したのではないのじゃ。

さらに詳しく

25

ある日のこと。子路、曽晳ソウセキ(曽子の父)、ゼン有、公西華の弟子年長組がそばにいたので言った。
「私は諸君よりわずかに年上に過ぎない。気にせず言いたいことを言ってくれ。…さて諸君は普段、”どうにも世間が認めてくれない”とこぼしているな。もし仕官の口があったらどうだね?」

子路が真っ先に言った。

論語 子路 言わいでか
「言わいでか。我らが住まう中原諸侯国は、中ぐらいの国力しか無いのに、北は晋、東は斉、南は楚といった大国に挟まれています。ともすれば攻めかけられ、あげくに飢饉が襲ってきます。もし私に任せて貰えるなら、三年ほどで軍備を整え、生き残りの策を立てて見せます。」
孔子「ほっほっほ、威勢がいいのう。…冉有よ、そなたはどうだ。」

論語 冉求 焦り
「私は四方20~30km程度の小国をお引き受けします。三年近くで、食うだけは食わせましょう。教育については他の方にお任せします。」
孔子「ふむ。公西華よ。そなたはどうだ。」

論語 公西赤
「お任せ下さい、とまでは言えません。諸侯の祖先祭や外交交渉で、礼服を着こなし下働きを務めましょう。」「ふむ。曽晳よ。そなたは。」

論語 曽点子皙
♪チィ~ン…トォ~ン…シャァ~ン。彼は途切れがちに琴を弾いていたが。
♪ガァ~~~ン。と弦を押さえて琴を置き、答えた。
「お三方とは違いますね。」
孔子「気にするな。言ってみよ。」

曽晳「では。…春の遅い頃、着慣れた春服を着て、若者五・六人、子供七・八人と、連れだって川遊びし、雨乞い祭りの高台で、春の風に吹かれながら、歌を歌って帰りたいものです。」
孔子「ほほう! 私もそれがいい。」

しばらくして曾晳だけが残って言った。「お三方の話をいかがお聞きになりましたか?」
孔子「そうさな、それぞれ普段思っていることを言っただけだろう。」

曽晳「子路をなぜお笑いになったのですか?」
孔子「政治の基本は礼法、礼法は控えめが基本だ。雇われてすぐに国政を左右できるわけが無かろう。子路には控えるところがない。」

曽晳「冉有も国政の話では?」
孔子「それはまあ、そうだな。」

曽晳「公西華も政治の話でしょう?」
孔子「いや。祭礼や外交の主役は殿様がただ。下働きなら、分相応の下っ端に過ぎぬよ。しかしあれが部下では、上司はやりにくかろうなあ。」

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論語 アルファー 論語 孔子 疑問
アルファー:論語先進篇はこれでおしまいです。ところで先生、さっき始皇帝「陛下」って言いましたよねえ。

孔子:ああ、いわゆる「焚書坑儒」を気にかけたのじゃな。じゃが全中国の君主となったお方じゃ。いきさつはどうあれ、即位なされたら敬意を示すのが、論語に言う礼というものじゃ。

論語 アルファー5 論語 孔子 ぼんやり
アルファー:う~ん。

孔子:それにな、ワシは必ずしも始皇帝陛下を嫌っておらん。仕事を家臣に任せず、全部自分で決裁したのは、確かにワシの好みではない。しかし、「君子は言を以て人を挙げず、人を以て言を廃さず」と論語の衛霊公篇で言うておる。好みで無かろうと、業績は認めねばならん。

論語 孔子 淡々 始皇帝
孔子:万里の長城を築いて民の安全を保証し、道路を拓いて交通を盛んにし、食糧の不安を解決したのは、まぎれもない名君のわざじゃ。確かに法の運用は厳格じゃったが、同時に法を知りたければ役人に聞け、とも仰せになった。為政者の勝手な処罰など許されなかったのじゃ。

論語 アルファー5-2 論語 孔子 居直り
アルファー:なるほど…。

孔子:それに「坑儒」というのは丸々のウソではないが、罰されたのは陛下をたばかって金をせびり取ったり、怪しげな薬を飲ませた連中が中心じゃ。罰されて当然じゃろ?

論語 アルファー 15 論語 孔子 遠い目
アルファー:でも先生は法治には反対なんですよね?

孔子:若い頃は、法を公開した晋国を批判したこともある。しかし政治の経験を積んだあとでは、ワシも法治の効用を認めたのじゃ。論語子路篇3で言うたように、法を知らないと民は不安で仕方が無かろう? 論語で言う礼を法に代えると、主張はほとんど同じなのじゃよ。

論語 アルファー25 論語 荀子
それって先生じゃなく、ジュン子さんの説なのでは?

孔子:業界ではそう言われておるようじゃな。じゃが、「誰それがこう読んだ」という解釈に頼らず、自力で論語の原文を読んでいけば、誰でもその結論に至るはずじゃ。論語は読みたいように読めるのがいい所でもあるが、その前にまず、原文の正確な意味を探らねばならん。

論語 アルファー11 論語 孔子 水面キラキラ
アルファー:う~ん、仰ることは、分かります。

孔子:アルファー君や。論語八佾篇で、ワシが周の文化を好んだと言うたのう。それは、人身御供をした夏殷王朝と比べて、明るい世の中じゃからじゃ。もちろん、人類が終わるまで、全てが明らかにはなるまい。じゃが、知るを知るとなす限り、明るさは増していくじゃろう。

論語 アルファー 15 論語 孔子 淡々
アルファー:論語為政篇17の言葉ですね?

孔子:そうじゃ。分からないからと言って勝手にでっち上げたり、人に隠したりするのは、その分世の中を暗くするのじゃ。秦帝国は法は公開したが、法の制定を公開しなんだ。時代的に無理じゃったのじゃが、時代が下るにつれ、それも明らかになっていったじゃろう?

論語 アルファー5 論語 孔子 水面
アルファー:そうですね。

孔子:論語を読むのも同じ事じゃ。分からないことは、分からないとしてよろしい。しかし分かったことは、どうやって分かったか、ちゃんと明らかにせねばな。でないと世の中が明るくならぬ。「人にして信なくんば、その可を知らざるなり」じゃ(論語為政篇22)。

論語 アルファー29_2 論語 孔子 キメ2
アルファー:はい! わかりました!

孔子:うむ。よろしい。

論語 アルファー18
アルファー:それではみなさん、おつかれさまでした。

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