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論語顔淵篇(がんえんへん)第十二現代語訳

論語顔淵篇:要約

アルファー9 孔子 キメ
アルファー:こんにちは! ナビゲーターAIのアルファーです。

孔子:解説の孔子じゃ。

アルファー2 孔子 喜
アルファー:先生、論語顔淵篇はどんなお話なんですか?

孔子:うむ。顔淵篇は主に、仁・政・徳など、政治家や官僚が身につけるべき心得についての問答を述べておる。ここでは省いたが、収録された弟子の言葉もその線に沿っており、論語前半のように、意図的に編者の自派宣伝や、原義の曖昧化のため挟まれたとは思ぬのう。

アルファー5-2 孔子 微笑み
アルファー:なるほど。いわば論語の中の政治マニュアルなんですね。

孔子:その通りじゃ。論語の後半をまとめた子貢は、政治に熱心だったからのう。

アルファー
アルファー:わかりました。それでは、始めましょう。

1

顔回
顔淵(顔回)が仁(貴族らしい身の処し方)の要点を聞いたので、答えた。
「我欲を押さえ付けて礼法の原則に従うことだ。皆が一日でもそうできれば、天下は仁に満ちあふれる。しかしそこまで期待できないから、自分一人でもやってみるがいい。」

顔回「具体的にはどのように?」
孔子「礼法にかなわないことは見るな、聞くな、言うな、するな。」

顔回「私は不出来ですが、今のお話に専念しましょう。」


アルファー5-2 孔子 キメ
アルファー:なんだかここでズバリと、論語の言う仁を定義しているような…。

孔子:その通りじゃ。仁とは本能から生まれる欲望に逆らい、礼法の通りに生きる事じゃな。それでこそ、戦時に命を捨てて人を守れる、貴族になれるのじゃ。

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2

冉雍
仲弓(冉雍ゼンヨウ)が仁の要点を聞いたので、答えた。
「外では国賓を迎える気持で、民に命じるときには神のお告げを伺う気持で行いなさい。されたくないことは、人にしないように。そうすれば誰を怨むこともなくなる。」

「私は不出来ですが、今のお話に専念しましょう。」


アルファー7 孔子 楽
アルファー:先生、ここでは仁を、別の言葉で説明していますね。

孔子:そうじゃ。冉雍は仁の実践に熱心だった弟子での。ほれ、論語の前章で挙げた孔門十哲の一人じゃ。仁が礼に従うことじゃとは分かっておったから、さらに具体的な行動として教えたのじゃな。

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3

司馬牛
司馬牛が仁の要点を聞いたので、答えた。
「仁者は言葉を、言いにくそうに言う。」「それだけですか?」

「仁は実現しがたい。言いにくいのも当然だ。」


アルファー 16 孔子 焦り
アルファー:あれっ? なんだか司馬牛さん、孔子先生にごまかされているような…。

孔子:む。むう。

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4

司馬牛が貴族のするべき要点を聞いたので、答えた。
「貴族は憂えない、恐れない。」「何事にも心配しない、恐れない程の人が、たかが貴族と言われておしまいですか。」

「やましいことがなければ、憂いも恐れもない。どちらもないのが貴族だ。」


アルファー17 孔子 説教
アルファー:ここでもやっぱりごまかしてますよね、先生。なんだか逃げてるような。

孔子:むう。司馬牛はの、宋国の元帥を代々務めた家柄の貴公子でな、ほとんどが庶民の出であるわが孔子一門としては、目立った弟子じゃった。卒業後は故国の宋で、貴族として生活しておったんじゃが、兄が失脚してのう。それでまあ、いろいろあったんじゃ。

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5

子張 明
子張が明(くもりのない観察眼)の要点を聞いたので、答えた。

孔子「陰険な悪口や蚊に刺されたような苦痛が無ければ、ものは見える。いや、かなり遠くまで見通せるぞ。」
子張「なぜです?」
孔子 かゆい
孔子「あのな、陰口にムカムカしたりかゆみにいらだったりしていて、難しい判断ができるものかね?」

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6

子貢 遊説
子貢が政治の要点を聞いたので、答えた。
「民が飢えぬよう食わせ、怖がらぬよう軍備を整え、信頼を得ることだ。」

「どれか一つ省くとしたら?」「軍備だな。」
「二つ省くとしたら?」「食べ物だな。」

子貢 驚き
「え? 飢え死にしちゃいますよ。」

「昔から死なない人間はいないから、いよいよとなったら民も覚悟は出来るが、信頼を失ったら政治はそこでおしまいだ。いいかよく聞け! 民はものを知らぬからこそ、意識して可愛がらねばならんのだ。我らから見れば何でもないのに、民はちょっと不安になっただけで一揆を起こす。それで首を切り落とされた者は、それこそ小役人から国王まで、歴史にいくらでもいるんだぞ!」

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7

子張 徳を高める
子張が徳(教養と武芸に裏付けられた人格の力)を高め、惑(矛盾)を見分ける方法を聞いたので、答えた。

「自分にも他人にもウソをつかず、合理的に行動すれば、徳は高まる。矛盾は我欲に振り回されるから起こる。例えば、愛する者にも時に”死んじまえ”と思うだろうが?」


アルファー6 孔子 楽
アルファー:先生、「惑」とは?

孔子:□+上下の区画線+戈(ほこ)+心じゃな。一定の区域を武器で守るが如きかたくなな心で、”迷う”ではない。論語ではどっちにも行きようが無くなった、矛盾のことを言うのじゃ。

アルファー 16 孔子
アルファー:ところで先生、矛盾の解決法を仰っていませんが?

孔子:歯抜けじゃな。

アルファー:え?

竹簡
孔子:じゃから歯抜けじゃ。答えの行が書いてあった札を、どこかのうっかり者が失くしてしもうたんじゃ。論語は最古の古典じゃと言うたじゃろ。全文が揃ってはおらんのじゃ。

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8

斉景公
かつて斉の君主、景公さまが政治の要点をおたずねになったとき、申し上げた。

「君主は君主らしく、臣下は臣下らしく、父は父らしく、子は子らしく振る舞えば治まります。」
景公「その通りじゃ。誰もがらしくなかったら、わしはおちおちメシも食ってはおれぬ。」


アルファー7 孔子 疑問
アルファー:「君君臣臣父父子子」。論語の名言の一つですね。

孔子:そうかな? まあ、ワシが始めて公の場で政治について発言した、いわば論語のデビュー作じゃ。この時ワシは二十歳でな。まだ無名の庶民じゃったが、ワシを見込んだ孟孫家のご当主、孟子さまが、ワシを景公さまに引き合わせてくれたんじゃ。

アルファー8 孔子 遠い目
アルファー:へええ。論語を読んでると、先生って門閥貴族とは、敵同士だと思っていました。

孔子:そうではないぞ。無名のワシが自分の力だけでのし上がれるほど、論語の時代の身分制度はヤワではなかったのう。門閥の後援あってこそのワシでもあるのじゃ。

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9

判決文をズバリと短く書けるのは、弟子では子路だな。
あやつは一度引き受けたら仕事が早い。


アルファー6 孔子 たしなめ
アルファー:先生。「片言もて獄をさだむべき者」って、短い言葉だけ聞いて判決が出せる、という意味じゃないんですか。

孔子:違うの。主語は「片言」であり、二言三言が判決を下す、つまり判決文が短い、ということじゃ。論語に限らず古典は、原文をしっかと読まねばならん。

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10

私は並みの判事にはなれる。
なれるが、いっそ訴訟など無くしてしまいたいものだ。


アルファー5-2 孔子 奉行
アルファー:先生って、お奉行様だったんですか?

孔子:まさに奉行じゃよ。魯国全体の法務大臣(大司冦)も務めたしの。じゃが中国では、司法専業の「士師」はおったが、裁判官と言うより、むしろ予審判事というべきじゃな。検挙するかどうかの判定をする、検事の仕事と言ってもよい。

その代わり行政官が裁判官を兼ね、裁判と行刑も行ったのじゃ。論語の時代もそれは変わらん。日本の大岡越前くんや、遠山の金さんと同じじゃな。だから行政の充実で、民の生活を安定させ、結果的に裁判など無くしたいと願ったのじゃ。

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11

やり過ぎの子張が政治の要点を聞いたので、言った。

「飽きずにやれ。自分にも他人にもウソをつくな。ハッタリかますな。」

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12

諸君、幅広く勉強するとよいが、そうすると互いに情報が矛盾してワケが分からなくなる。しかし貴族の常識を原則にして判断すれば、今何を優先すべきか、教えから外れないで済むこと間違いなしだろうよ。

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13

孔子
あ~諸君。諸君が目指す貴族というものはだな、やり始めた善事をきちんと最後までやり切るから貴族なのであって、途中で止めてしまったり、悪事ばかり働くなら、そなへんのオッサンと変わらん。仮に間違いを起こしても、気付いた時点で止めるから貴族なのであって、乗りかかった舟だと人のせいにして、結局悪事をやってしまう庶民とは違うのだ。


アルファー25 孔子 ぼんやり
アルファー:先生、「成」ってやり遂げることなんですか?

戈
孔子:うむ。成とは、丁(釘)+(ほこの一種。鎌状の武器)じゃ。ほこでにらみを利かせ、かなづちで釘をカチカチ打って、ものごとを固定しまとめ上げるのが原義。じゃから単に”する”事ではなく、”やり遂げる”ことなのじゃな。

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14

季康子
若家老の季康子どのが政治の要点を聞いたので、答えた。

「政治とは正事です。あなたが先頭に立って正しければ、誰が道を踏み外しましょうか。」

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15

季康子どのが愚痴を言う。「泥棒が流行ってどうにもならぬ。」
「あなたが欲深いからです。無欲ならたとえ泥棒を表彰しようとも、誰も盗みませぬ。」

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16

季康子どのが言った。

ぬすどものクビをね、法治を徹底させてはどうだろう。」
「斬首とは穏やかじゃありませんぞ。あなたが善にいそしめば、民だって真似します。君子は風、民は草です。風が吹いたら草はなびきます。」


アルファー6 孔子 たしなめ
アルファー:先生、原文では「君子の徳は風、民の徳は草」ですよね。大事な言葉が抜けていませんか。

孔子:いいや、これでいいのじゃ。「徳」とは人間の持つ機能のことだと言ったじゃろう? 君子=貴族の機能は風で、それが吹けば草の機能を持つ民は従う、ということじゃな。

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17

子張 一人前
子張が聞いた。

「士族はどうなれば、一人前と言えますか。」
「お前の言う一人前とは何だ。」
「仕官してもしなくても、評判が立つことです。」

「…いやはや。それはただの目立ち者で、一人前とは言えないぞ。」「?」
「一人前とは根が真っ直ぐで正義を好み、ウソは見破る企みは見抜く、余計な見栄は張りもしない。目立とうとそうでなかろうと、一人前の自信があるからだ。」「…。」

「目立ち者はそうでない。うわべの愛想笑いを、いつまでも続く自分への好意と勘違いしている。それでいいと思っている。となれば仕官しようが引き籠もろうが、目立ってしまいました、というわけさ。お前は目立って金が欲しいのか。それともお前が目指す立派な士族になりたいのか。どっちなんだ?」


アルファー8 孔子 楽
アルファー:先生、士とは?

孔子:最下級の貴族のことじゃな。当時の身分制は、上から周王-諸侯-卿-大夫-士-庶民だったのじゃが、論語では、庶民出身の弟子たちがまず目指したのが士というわけじゃ。

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18

樊遅 樊遅
年若い弟子の樊遅ハンチを連れて、雨乞い祭りの高台を散歩した。するとおずおず聞いてきた。
「あのう、いいでしょうか。」「なんだね。言ってごらん。」
「にじみ出る人格力(徳)を高め、隠れた欠点(トク)を直し、矛盾(惑)を逃れるにはどうすればいいですか。」「よい問いだな。詩のように語ってやろうか。」

働いてのち成果を受け取る。徳は高まるに違いない。
自分を責め人を責めない。慝は直るに違いない。
一時の怒りに愛すべき家族を悩ます。矛盾が起こるに違いない。

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19

樊遅 和み
樊遅「仁とは?」
孔子「人を愛することだ。」

樊遅「知とは?」
孔子「人を知ることだ。」

よく分からんようなので、重ねて説明してやった。
「真っ直ぐなもので曲がったものを直すことだ。」

樊遅は首をかしげながら出て行き、八つも年下の子夏に聞いたそうだ。
「先生は、真っ直ぐなもので曲がったものを直すことが、知だと仰った。なんのなぞなぞだろうねえ。」

子夏 和み
子夏「そうでしたか兄者あにじゃ。さすがに含みのある先生のお言葉ですね。私が思いますに、例えばこういうことです、いにしえの聖王は、天下から選び抜いて剛直な家臣をお目付に据えましたが、そうしたらおやかたから、薄情者どもが逃げ出した、といいます。人の使い道、弱点を知っていたんですね。」


アルファー9 孔子 楽
アルファー:樊遅さんって、年下だろうと丁寧にものをたずねる、いい人ですねえ。

孔子:そうなのじゃよ。じゃからワシは散歩にも外出にも、樊遅を連れ歩いたのじゃ。ほれ、孟孫家に出かけた時、樊遅が馬車の手綱をとっておったろう(論語為政篇5)?

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20

子貢 問い
子貢「友情とは?」
孔子「本心から相手を思って、善くなるよう言ってやれ。」

子貢「言っても聞かなかったら?」
孔子「そこまでだ。下手したてに出ることはない。」

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アルファー18
アルファー:論語顔淵篇はこれでおしまいです。みなさん、おつかれさまでした。

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