論語における「器(器)」

※既存の辞書類に記された漢字の字解について、あまりに無根拠なデタラメが横行していることに気付いたため、辞書類に頼るのをやめ原字の解釈から自力でやり直したところ、旧説を大幅に変更せざるを得なかったので、削除した。字解については論語語釈「器」を参照。

語義・語源・解釈

大漢和辞典

器 大漢和辞典
器 大漢和辞典

学研漢和大字典

「口四つ+犬」の会意文字で、さまざまな容器を示す。犬は種類の多いものの代表として加えた。

意味

  1. {名詞}うつわ(うつは)。いろいろな入れ物。また、道具。「土器」「兵者不祥之器=兵者不祥之器なり」〔老子・三一〕
  2. {名詞}うつわ(うつは)。才能。「斗筲之器(トショウノキ)(つまらぬ下級役人にしかなれない才能)」「管仲之器小哉=管仲之器は小なる哉」〔論語・八佾〕
  3. {動詞}うつわとする(うつはとす)。りっぱな才能の持ち主であることを認める。「器重」「先主器之=先主これを器とす」〔蜀志・諸葛亮〕
  4. {名詞}こまごました実用にだけ役だつもの。「君子不器=君子は器ならず」〔論語・為政〕
  5. {名詞}朱子学や陽明学では、現実の物象を器といい、その根原を道という。

字通

旧字は器に作り、しゅう+犬。は〔説文〕三上に「衆口なり」とするが、口は𠙵さいで、祝詞を収める器。犬は犬牲。犬牲を以て清める意である。〔説文〕三上に「器は皿なり・器の口に象る。犬は之を守る所以なり」とするが、金文の字形によると、犬は礫殺されている形である。犬牲を以て清めた器は、祭器・明器・礼器として用いられる。〔周礼、秋官、大行人〕「器物」の〔鄭玄注〕に「尊彝の屬なり」とあり、器はもと彝器をいう。彝は鶏血を以て清める意の字である。祭器の意より器具・器材・の意となり、人に移して器量・器度をいう。

訓義:うつわ。祭器。明器。儀礼の際に用いる器。器物、車服・兵器・器具の類。人物の才能・器量。器として役立つ、用いる。

㗊():http://en.glyphwiki.org/wiki/u35ca

古注『論語集解義疏』

子曰君子不器註苞氏曰器者各周其用至於君子無所不施也疏子曰君子不器 此章明君子之人不係守一業也器者給用之物也猶如舟可汛於海不可登山車可陸行不可濟海君子當才業周普不得如器之守一也故熊埋云器以名可繫其用賢以才可濟其業業無常分故不守一名用有定施故舟車殊功也

子曰く君子は器なら不。註。苞氏曰く、器者各の其の用をみたす。君子至らば施さ不る所無き也。疏。子曰く君子不器。此の章君子之人一業を守るにこだわわら不るを明む也。器者之れ物に用を給ぶ也。猶お舟の海於ほかく可く山に登る可から不、車の陸を行く可く海を濟る可から不るが如し。君子當に才の業の周く普きにして器が如き之れ一を守るを得不る也。故に熊埋云く、器は名を以て其の用を繫ぐ可く、賢は才を以て其の業を濟ます可く、業は常に分つこと無し。故に一を守ら不、名は定め有るを用いて施す。故に舟車功を殊にする也と。

「子曰く君子は器なら不。」注釈。苞氏曰く、器とはそれぞれの目的を満たすものである。しかし君子の場合は、出来ないという場面が無い。付け足し。「子曰く君子は器なら不。」この章は、君子たる者一つごとにこだわってはならぬ事を明らかにしている。器とは、特定の機能を持ったもののことである。例えば舟は海を進めるが山には登れず、車は陸を行けるが海を渡ることが出来ないようなものである。君子たる者の才能とは、どんなことでも出来ることであり、器のように一つごとしか出来ないのとは違うのである。だから熊埋は言った。「器には特定の名が付いてその機能を果たすことが出来る。賢とは才能で仕事をやってのけることを言い、その仕事にはえり好みが無い。だから一つごとしか出来ないという事が無い。(器は)名づけることによって、機能を一つに絞ってしまうのだ。だから舟や車と名づけられたように、機能が別々になっているのだ。」

論語公冶長篇3

新注『論語集注』

子曰:「君子不器。」器者,各適其用而不能相通。成德之士,體無不具,故用無不周,非特為一才一藝而已。

子曰く「君子不器」と。器者、各の其の用に適い而相い通ずる能わ不。德を成せる之士は、體に具わ不る無く、故に用に周か不る無く、特に一才一藝を為す而已に非ず。

子曰く「君子不器」。器とは、それぞれ特定の用途を果たして別の用途に融通が利かない。徳を仕上げたサムライは、その身に出来ない事が無く、だから何でも出来ることがない、ということはなく、取り立てて一芸に秀でているのではない。

論語公冶長篇3

吉川幸次郎『論語』

ここ*の器の字は、ある価値をもつ概念であろう。いかなる価値であるかは私にはよく分からない。ただ思い合わすのは、易の繋辞伝に”形乃謂之器”、形あるものをばすなわち器と謂う、といい、また形而上者謂之道、形而下者謂之器、形より上なる者はこれを道と謂い、形より下なる者はこれを器と謂う、ということである。それによれば、器とは目に見えない道理の具現として、目に見える形をもったものである。易にはまた、弓矢なる者は器なり、之を射る者は人なり、君子は器を身に蔵し、時を待って動く、ともいう。いずれも勝義の技術を意味するようである。」

論語公冶長篇3

藤堂明保『論語』

子貢が弁舌に巧みで、政治・外交の才に富む貴重な人物であることをほめたのである。
器…うつわ。人物を器にたとえることは、ここから始まった。

加地伸行『論語』

「器」は「器用」、すなわち有用な働きの出来る道具であるが、比喩で言っているので、人物としてりっぱだと褒めている意味。

宮崎市定『論語の新研究』

子曰く、お前は役に立つ男だな。曰く、どんな役に立ちましょうか。曰く、大切なまつりごとには欠かせぬ人間だ。

宇野哲人『論語』

孔子「汝の材は用に適するものであるから、器物である」
この章は孔子が弟子の材の美しいことをほめたのである。
朱子は「子貢は孔子が子賤は君子だと評したので、己のことを質問したから、孔子がこのように告げたのである。しからば子貢はまだ『君子は器ならず』というところに到達してはいないけれども、器の中の貴いものであろうか」と言っている。

瑚璉=夏の時代には瑚といい、殷の時代には璉といい、周にはという。宗廟の祭にもちきびうるちきびを盛る器物で、玉で飾ってある。器物の中の貴重で華美なものである。

警告

漢文業界の者は嘘つき中国人そっくりで、微塵も信用ならぬ(→理由)ので、数言申し上ぐ。


出典明記の引用は自由だし、訳者に連絡のお気遣いも不要だが(ただしネット上では可動リンク必須)、盗用・剽窃は居合を嗜む有段者の訳者が、櫓櫂の及ぶ限り追い詰める。

言い訳無用。訳者が「やった」と思えば全国どこでも押し込む。頭にきたら海外にも出かけ、バッサリやってすぐ帰る。暇であるし、惜しむものを持っていないし、面倒が苦にならぬゆえ、こうして古典を研究している。空港の刃物検査通過は、やったことがあるが存外簡単だ。

刀の手入れは毎日している。そして未だ人を斬ったことが無い。

盗作・剽窃の通報歓迎。下手人を成敗した後、薄謝進呈。他人にやらせた者も同罪、まずそ奴から追い回してぶっ○○る。もし長生きしたいなら、悪いことはせぬものだ。朴ったら○すぞ。それでもやるなら、覚悟致せ。



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