論語語釈「ノ」

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語釈 urlリンクミス

之(の・3画)

→之(シ・3画)

能(ノウ/ドウ・10画)

論語 能 金文
能匋尊・西周早期

初出は西周早期の金文。カールグレン上古音はnəŋ(平・韻目「登」)のみ判明、同音無し。平・韻目「咍」、上声・去声は不明。

『大漢和辞典』の第一義は”~できる”。なお『大漢和辞典』によると三本足の亀も「能」と呼ぶらしい。これを食うと死んでしまい、姿形も残らないという(こちらを参照)。
論語 能 三本足 亀

学研漢和大字典

会意兼形声文字で、㠯(イ)(=以)は、力を出して働くことを示す。能は「肉+かめの足+〔音符〕厶(㠯の変形)」で、かめや、くまのようにねばり強い力を備えて働くことをあらわす。▽熊(ユウ)(ねばり強いくま)の字の上部と同じ。

意味〔一〕ドウ/ノウ・ノ

  1. {動詞・助動詞}あたう(あたふ)。よくする(よくす)。よく。物事をなしうる力や体力があってできる。たえうる。りっぱにたえて。しっかりと。「非不能也=能はざるに非ざるなり」〔孟子・梁上〕→語法「①②」。
  2. {名詞}事をやりうる力。はたらき。「有能」「技能」「才能」。
  3. {形容詞}やりての。仕事たっしゃな。「能弁」「能者」。
  4. {動詞}ゆるす。やんわりとたえる。柔らかに接する。「柔遠能邇=遠きを柔らげ邇きを能す」〔詩経・大雅・民労〕

意味〔二〕ダイ/ナイ

  1. {動詞}たえる(たふ)。物事をなしうるだけの力がある。また、仕事をなしうる力があって任にたえる。《同義語》⇒耐(タイ)。「鳥獣毳毛其性能寒=鳥獣の毳毛は其の性寒きに能ふ」〔漢書・蹌錯〕
  2. {名詞}ねばり強いかめ。▽平声に読む。
  3. 《日本語での特別な意味》
    ①のう。能楽のこと。
    ②「能登(ノト)」の略。「能州」。

語法

  1. 「よく」とよみ、「できる」と訳す。可能の意を示す。否定形は訓読が変化するので、「2.」を参照。「臣能得狐白裘=臣よく狐白裘(こはくきう)を得ん」〈私ならその白狐の皮衣を取って来れます〉〔史記・孟嘗君〕
    ▽「能・不能」は、主観的に自身の本来的・生理的な能力・資格による判断を示す。「可・不可」は、「能・不能」より客観的に、状況・道理による判断を示す。「得・不得」は、機会・条件による判断を示す。
  2. 「不能~」は、「~(する)あたわず」とよみ、「~できない」と訳す。「能」の否定形。「徳之不脩、学之不講、聞義不能徙、不善不能改、是吾憂也=徳の脩(おさ)めざる、学の講ぜざる、義を聞きて徙(うつ)る能はざる、不善の改むる能はざる、これ吾が憂ひなり」〈道徳を修めないこと、学問を習わないこと、正義を聞きながらついてゆけないこと、善くないのに改めないこと、これが私の心配ごとである〉〔論語・述而〕
  3. 「未能」は、「いまだ~なるにあたはず」とよみ、「~におよばない」「~に到らない」と訳す。「吾斯之未能信=吾これをこれ未だ信ずること能はず」〈私はそれにまだ自信が持てません〉〔論語・公冶長〕
  4. 「能不」は、「よく~せざらんや」とよみ、「~せずにいられようか」と訳す。反問の意を示す。「涕泣灑衣裳、能不懐所歓=涕泣(ていきふ)は衣と裳(しょう)とに灑(そそ)ぐ、よく歓ぶ所を懐(おも)はざらんや」〈涙は上下の着物を濡らし、友人の君を思わずにいられようか〉〔劉通・贈五官中郎将〕

字通

[象形]水中の昆虫の形に象る。〔説文〕十上に「熊の屬なり。足は鹿に似たり。肉に從ひ、㠯(い)聲」とし、その獣は堅中にして賢能と称し、彊壮にして能傑と称するのであるという。熊・羆(ひぐま)のような獣の象形字とするものであるが、金文の字形は嬴・贏(えい)の従うところの𦝠(えい)の形と最も近く、やどかりの形に似ている。〔爾雅、釈魚〕に「鼈(べつ)は三足の能なり」、また〔玉篇〕にも「能は三足の鼈なり」とあり、水中のものとする解釈があった。周初の金文〔也𣪘(やき)〕に「多王能く福したまへり」、〔詩、大雅、民労〕に「遠きを柔らげ邇(ちか)きを能(をさ)む」のように用いる。賢能の意は、〔左伝〕など、列国期以後の文に至ってみえる。能を熊の意に用いることもあり、〔左伝、昭七年〕「今、黃熊の寢門に入るを夢む」の「黃熊」を、一本に「黃能」に作り、〔国語、晋語八〕の〔韋昭注〕に「熊は羆に似たり」という。〔楚辞、天門〕に、鯀(こん)が黄熊となって羽淵に入ったとする神話が歌われており、黄熊も水中に住むものとされている。熊は水中でも活躍することができる猛獣である。能の古音は態(たい)と近く、〔楚辞、離騒〕に佩・能を韻している。

※能の古音は態(たい)と近く:能:nəŋ(平)、態:tʰnəŋ(去)

大漢和辞典

→リンク先を参照。

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