論語語釈「ミ」

目的の項目が表示されるまでに時間が掛かる場合があります。もしurl欄に目的の漢字が無い場合、リンクミスですので訳者にご一報頂けると幸いです。
語釈 urlリンクミス

未(ミ・5画)

論語 未 金文
利簋・西周早期

初出は甲骨文。カールグレン上古音はmi̯wəd(去)。

学研漢和大字典

象形。木のまだのびきらない部分を描いたもので、まだ…していないの意をあらわす。妹(のびきらない小さい女きょうだい)・昧(マイ)(日のまだ出ない早朝)などと同系。末(マツ・すえ)と混同しやすいので注意。

語義

  1. {名詞}ひつじ。十二支の八番め。▽時刻では今の午後二時、およびその前後の二時間、方角では南南西、動物ではひつじに当てる。
  2. {副詞}いまだ…(せ)ず。→語法「①」「未知」「人跡未到(人がまだいったことがない)」。
  3. {副詞}いまだし。いまだしや。→語法「③④」。
  4. {動詞}ない(なし)。《同義語》⇒無。「未也=未き也」〔孟子・公下〕
  5. 「未央(ビオウ)・(ミオウ)・(ツクルコトナシ)」とは、つきることがない。はてしない、無窮であるなどの意。「夜未央=夜央くることなし」〔詩経・小雅・庭燎〕
  6. 《仏教》「未来」の略。「過現未」。

語法

①「いまだ~(せ)ず」とよみ、「まだ~しない」と訳す。再読文字。否定の意を示す。▽行為・動作が完了していない、あるいは、状態が変化していない場合に多く用いる。「我未見好仁者悪不仁者=我未だ仁を好む者不仁を悪(にく)む者を見ず」〈私は、まだ仁を好む人も不仁を憎む人も見たことがない〉〔論語・里仁〕
②「未不~」は、「いまだ~ずんばあらず」とよみ、「~しないことはない」「必ず~する」と訳す。不確かな断定、あるいは強い肯定の意を示す。「君子之至於斯也、吾未嘗不得見也=君子のここに至るや、吾未だ嘗(かつ)て見ることを得ずんばあらざるなり」〈ここに来られた君子がたは、私はまだお目にかかれなかったことはない〉〔論語・八飲〕
③「いまだし」とよみ、「まだである」と訳す。否定の意を示す。「学詩乎、対曰、未也=詩を学びたるかと、対へて曰く、未だしと」〈詩を学んだかと言われましたので、まだですと答えました〉〔論語・季氏〕
④「いまだしや」とよみ、「まだであるか」と訳す。疑問の意を示す。文末・句末におかれる。「寒梅著花未=寒梅花を著(つ)けしや未だしや」〈梅の花はもう咲いてたでしょうか、まだでしょうか〉〔王維・雑詩〕
⑤「未之有也」は、「いまだこれあらざるなり」とよみ、「まだ存在したことがない」と訳す。▽「之」は、主語や前述の事柄をうける。「未有~」の強調文。「不好犯上而好作乱者、未之有也=上を犯すことを好まずして乱を作(な)すことを好む者は、未だこれ有らざるなり」〈目上にさからうことを好まないのに、乱れを起こすことを好むようなものは、今までいたことがない〉〔論語・学而〕
⑥「未之見也」は、「いまだこれ(を)みざるなり」とよみ、「まだ見たことがない」と訳す。▽「之」は、主語や前述の事柄をうける。「未見~」の強調文。「蓋有之乎、我未之見也=蓋(けだ)しこれ有らん、我未だこれを見ざるなり」〈あるいはいるかもしれないが、私はまだ見たことがない〉〔論語・里仁〕

字通

[象形]木の枝葉の茂りゆく形。〔説文〕十四下に「味なり。六月の滋味なり。五行、木は未に老ゆ。木の枝葉を重ぬるに象るなり」とする。枝葉の伸びる形で、これを剪裁するを制という。「未だ」のように時の関係に用いるのは仮借の用法で、否定詞との関係がある。

民(ミン・5画)

論語 民 金文
洹子孟姜壺・春秋晚期

初出は甲骨文。カールグレン上古音はmi̯ənまたはmi̯ĕn(共に平)。

学研漢和大字典

象形文字で、ひとみのない目を針で刺すさまを描いたもので、目を針で突いて目を見えなくした奴隷をあらわす。のち、目の見えない人のように物のわからない多くの人々、支配下におかれる人々の意となる。

また、人と結合して、「民人」「人民」と称する。

またもと眠(目が見えなくなってねむる)と同系で、泯(ミン)(水に没して見えない)・紊(ビン)(入り乱れてよくわからない)などとも同系のことば。

類義語の人はもと、自分と同等の仲間のこと。氓(ボウ)は、もののわからない人々、または流亡した人々のこと。衆は、おおぜいの人々のこと。庶は、多くの人や物が集まったこと。

語義

  1. {名詞}たみ。おさめられる人々。権力をもたない大衆。また、広く、人間。《対語》⇒君・軍・官。《類義語》人。「人民」「民衆」「民族」「使民以時=民を使ふに時を以てす」〔論語・学而〕
  2. 《日本語での特別な意味》「民間」「民営」の略。「民放」。

論語 民 篆書 論語 民 奚
(篆書)

字通

一眼を刺して、その視力を害する形。〔説文〕十二下に古文一字を録し、「衆萌なり。古文の象に従う」とするが、古文の形はその意象を知りがたい。〔段注〕に「古文の民は、蓋し萌生繁蕪の形に象る」と衆草の茂るさまとするが、金文の字形から変化したものであるらしく、金文は眼睛を刺割する象とみられる。郭沫若は萌・盲・民の声が近く、その義が通ずることから、民を奴隷であると解したが、臣もまた大きな目の形、その目を刺す形が民で、合わせて臣民という。ともに本来は神の徒隷として、神にささげられたものをいう。民は新しく服属した民をいう語となり、周初の金文〔大盂鼎〕に「四方を匍(敷)有しの民を畯正す」また後期の〔大克鼎〕に「民人都鄙」、〔かん子孟姜壺〕に「人民都邑」の語がある。民とは支配関係を以ていう語である。〔詩、大雅、仮楽〕に「民に宜しく人に宜し」とあり、人は卜辞では多種族のものをいう語で、族名を冠して某人という例であった。

訓義

1)たみ、臣民。古くは神の徒隷として、神につかえるものであった。2)ひと、新附の民。政治支配の対象たるものをいう。3)冥と通じ、くらい、おろか。

大漢和辞典

民 大漢和辞典

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

関連記事(一部広告含む)